北陸徘徊人

福井・石川・富山を中心にゆるーい旅を満喫中

東尋坊☓三国港駅

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脱サラして店を始めようとしたのはいいけれど、

実際には開店することすらできず、

夜逃げ同然で軽ワゴンに荷物を積んで街を飛び出した。

 

断崖絶壁の国道で僕は事故を起こした。

自分が無傷でいるのが不思議なくらい、

乗っていた車はくしゃくしゃになっていた。

 

僕の手元には何もなくなった。

見事なまでに何もなくなった。

 

10月某日。

僕は電車を何本か乗り継いで、福井に来ていた。

JRの福井駅前に私鉄の駅舎がひっそりと建っている。

窓口で僕は「三国港まで1枚」と言った。

 

駅員の女性は「お客さん日帰り?」と聞いてくるもので、

思わず「はい」と答えてしまえば、

「今日は週末だから乗り放題のきっぷがあるよ。 三国港まで片道780円だけど800円で乗り放題」 などと言う。

 

片道でいい、とは言えなかった。

 

三国港へ向かう電車はわずか1両編成だった。

窓に背を向けて座るタイプの車両で、

出発までまだ時間があるのかまだ空いていた。

席に座った瞬間に僕は眠っていた。

 

気づけば電車は動いており、

稲刈りの終わった田んぼの中を コトコト走っていた。

僕は再び目を閉じた。

女性の係員に起こされて目をさますと、

電車は三国港に着いていた。

 

ホームに降り立つと磯の香りがした。

 

東尋坊行きのバスが来るまでは30分以上あった。

僕はぶらぶら歩くことにした。

 

先を急ぐ必要はない。

 

左手に日本海を眺めながら、

僕はいささか拍子抜けしていた。

空はどこまでも青く、 海も穏やかで静かだった。

思い描いていた日本海とはあまりに違っていた。

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遊歩道では誰にも会わなかったが、

東尋坊は観光客で大賑わいだった。

ここは一大観光地なのだ。

僕は何だかおかしくなってきて先へ進んだ。

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先にあった島を一周して帰ってきてもなお、

東尋坊は賑わっていた。

このあたりを歩いてわかったことは、

断崖絶壁の部分には必ず大勢の人がいて、

誰もいない断崖絶壁はないということか。

 

僕は途方に暮れた。

日が沈むのを待とうと思った。

ひどく腹が減っていた。 朝から何も食べていない。

 

一件の食堂に入り、

イカ焼きをつまみながらビールを飲んだ。

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支払いをすますと、

僕の所持金は1000円を切った。

外に出ると、まもなく日が沈もうとしていた。

他の観光客と共に、 僕もじっと夕暮れを眺めていた。

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ポケットをさぐると折れ曲がったフリーきっぷが出てきた。

そうか、福井までは帰れるンだな、

僕はぼんやり思った。

その先に、帰れる場所はあるのかな、 とも思った。

 

なければ、作ればいい。

 

僕は再び駅へと向かうことにした。

 

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