北陸徘徊人(元)

富山、福井、石川を中心にゆるーい旅を満喫中

太郎さんに会いに行く 越前陶芸村

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情けない話をすれば、

週末の朝から相方と大げんかになり、

私は何処へ行くつもりでもなく自転車にまたがった。

 

どうせなのでバス旅でもすれば良かったのだが、

いまいちそんな気力もわかなかった。

とりあえずコーヒーでも飲もうとコンビニに寄り、

たまたま立ち読みした雑誌で

岡本太郎のやきもの展」なるものの開催を知る。

 

場所は福井県陶芸館。

そんなの何処にあるのかと思えば越前町である。

先日、織田から鯖江まで暗闇の中を歩いたが、

その近くだ。

 

期間は12月7日まで。

家に帰って車を取りに行くのも面倒だった。

私はそのまま自転車で越前町へ向かうことにした。

 

 

 

鯖江の県道を走っていると、

ずいぶん賑やかしい一画があった。

農産物直売所のようだが、

駐車場にテーブルが並んでいる。

どうやら地元のそばを食べさせてくれるらしい。

 

350円払って席につく。

おばちゃんがやって来て「もち食べるか?」と言う。

「いただきます」と言えば早速おもちを持ってきてくれた。

それはまさに「つきたて」のもちだった。

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向かいでそばを食べていたおじさんが、

(私もおじさんであるが)

「何処へ行くのか」と聞くもので、

「陶芸館ってところでやってる岡本太郎展を見に行きます」

と答える。

 

「ならここから10分くらいか」

「いや、自転車なんですけど」

「なぬ、自転車!」

「どこから来た」

「いや福井市内からです」

 

そばを持ってきたおばさんに

「このお兄さんは福井から自転車で来たらしい」

と紹介されたりする。

「あれまー」おばさんは言ったが、

だからと言ってその後に続く言葉もない。

 

そばともちで腹を満たして出発。

道はゆるやかな登りに差し掛かる。

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トンネルを抜けると越前町に入った。

このあたりは旧宮崎村に属し、

越前焼」で知られる地であるらしい。

なるほど「窯元」の看板を多く見かける。

橋の欄干でも焼き物を作っている。

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福井県陶芸館は

越前陶芸村として整備された巨大な公園の一画にあった。

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私は「芸術」というモノがさっぱり分からぬ人間であるが、

岡本太郎は単純に好きである。

理由は簡単で「力をくれる」からだ。

 

ズバリ答えよう

金と名誉を捨てたら人間の「生命」がのこるんだ

 

自分という人間をその瞬間瞬間にぶつけていく

そしてしょっちゅう新しく生まれ変わっていく、

エネルギーを燃やせば燃やすほど、

ぜんぜん別な世界観が出来てくる

 

いちいち書き出せばキリがないが、

人生の岐路に立たされた時、

私は岡本太郎の作品や言葉に触れるようにしてきた。

 

僕は流れるって感じが好きなんだ。

固定したものは全然つまらない。

人生だってそうだろう?

いつも流動的で、何が起こるかわからない。

だから面白いんだ

 

挑戦した不成功者には、

再挑戦者としての新しい輝きが約束されるだろうが、

挑戦を避けたままオリてしまったやつには

新しい人生などはない。

 

久々に岡本太郎の作品を鑑賞して

スッキリした私であったが、

相方との意地の張り合いは続いていた。

 

「ごめん」

そう一言メールをおくればいいだけの話なのだ。

どちらかが先に。

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どこかで一泊して帰ろう、

そんなことも考えたが世間は三連休で、

見事なまでに部屋が埋まっていた。

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私はとりあえず福井市内に戻り、

市内に唯一残った健康ランド「ゆー遊」へ入った。

風呂に入れば自宅へ帰る気力もなくなった。

相方からのメールはない。

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何度確認しても、ない。

私は意地になっていた。

よし、もう今日は帰らない。

私はビールを飲んだ。

 

一日自転車で走り回った身体の、

毛細血管の隅々にまでアルコールがまわっていく。

もう一杯、ビールを飲んだ。

さらにもう一杯。

 

いい気分だ。

さあ、寝よう。

 

そして、

深夜の仮眠室はすさまじいばかりの

いびきと歯ぎしりの巣窟であった。

 

私は結局一睡もできぬまま朝を迎えた。