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北陸徘徊人

福井・石川・富山を中心にゆるーい旅を満喫中

北陸新幹線の憂鬱〜福井から新潟に行くことを考えて呆然とする〜

北陸新幹線

DSC05741.jpg

 

相方から電話がある。

「5月に新潟行くから時間調べといて」などと言う。

「金沢から高速バス」私は言った。

「新幹線に乗りたいンだけど」相方は言った。

「金沢から富山まで新幹線に乗って高速バス」私は言った。

「ちゃんと調べといて」と相方は電話を切った。

 

私の手元には時刻表がある。

先日買った大型のものだ。

開けば数分で答えは出る。

だが、調べる気にならない。

調べるのが怖い。

 

私は時刻表で時刻を調べるという作業が好きである。

数字の羅列を見ただけでわくわくする。

 

本物の鉄道ファンには遠く及ばないが、

一般の方よりは多少は早くいくつかの経路を

書き出すことくらいはできる。

 

会社員時代は

同僚にもいいように使われていた。

 

「東京行く時間調べてよ」

「今度仙台行くんだけど」

 

自分で調べろよーなんて云いながら

ネットを使わず時刻表をめくる。

「おー、流石早いな−」なんて言われると

有頂天になる。

 

鉄道ファンなんて

一般人にとっては不気味な存在かもしれないが、

職場に一人いると便利な存在であると思われる。

 

職場でカミングアウトしていない輩は白状しておけば良い。

意外と重宝してもらえたりする。

 

さて、相方にごきげんななめになられても困るので、

私は仕方なく時刻表を開いた。

 

福井〜新潟、距離にしてざっと390キロ。

以前はJR一本、乗り換えなしで行ける

雷鳥」「白鳥」なんていう特急列車が走っていた。

調べてみると平成13年の3月3日のダイヤ改正までだ。

もう10年以上たつのかと思う。

 

それらの列車なき後も「北越」なる特急列車が

地味に金沢〜新潟を平成27年3月13日まで結んでいた。

福井からの接続はよろしくなかったが、

一度の乗り換えで行くことが出来た。

しかし北陸新幹線の開通の影でそっと消えた。

 

はくたか」や「トワイライト」は

さよなら、ありがとうと大騒動であったが、

実は平成生まれである。

金沢や富山の一般人にも知られている。

沿線でも多くの方が見送ったらしい。

 

これに対し国鉄時代から頑張って走ってきた

北越」には一部のマニアしか見向きもしない。

地元で頑張ってきたのに気の毒な特急列車である。

恐らく多くの地元民はそんな特急があったかも知らないはずだ。

 

さて、北陸新幹線が開通する前、

福井〜新潟の時刻を時刻表で調べるとなれば

湖西線北陸本線のページだけを開けば良かった。

 

金沢始発の「北越」もそこに掲載されており、

新潟到着の時間も掲載されている。

1ステップ、一発で分かる。

10秒もかからない。

 

閉じた状態からでも30秒もかからないだろう。

 

仮に越後湯沢経由であっても

はくたか」の越後湯沢到着時刻を見て

せいぜい上越新幹線のページを開けば良い。

せいぜい2ステップだ。

 

いくらスマホが便利になったとはいえ、

私のような中年世代には「駅名」を入力するのに

時間がかかるし面倒なのだ。

この2ステップくらいまでなら時刻表をめくる方が早い。

 

さて、北陸新幹線が開通してどうなったかだ。

JR北陸本線〜IRいしかわ鉄道〜あいの風とやま鉄道の

富山までは従来通り1ページに収められているが、

このページには新幹線の時間は載っていない。

 

むむ、次は新幹線は別ページか、となる。

 

で、新幹線だと上越妙高でおりるのかとなるのだが、

次は何だ、えちごトキめき鉄道??

もはや何じゃそれの世界である。

とてもまっとうな鉄道会社の名称とは思えない。

 

さらにこの上越妙高は最速列車「かがやき」が通過する。

ということは福井発のダイナスターが接続する「かがやき」は

使えず「はくたか」利用か、、、

で、快速に乗り継いで、、、この快速はJRに乗り入れて、、、

 

福井6時発のダイナスター1号で金沢6時50分着。

金沢7時22分発のはくたか554号で上越妙高8:26分着、

8時59分発の快速列車で新潟着が11時27分といったところか。

しかし特急⇒新幹線⇒快速など、

考えただけで疲れそうな行程である。

 

何とか時間くらいは出せるが私の劣化した脳みそでは

もはや運賃計算すらできないしする気力もわかない。

  

間違い探しでもないが、

私はヤフーの乗り換え案内で確認してみることにした。

以前に比べると性能も上がり、

まっとうな回答を寄越してくれる。

 

私は「福井」「新潟」と駅名を入力した。

 

その結果がこれだ。

 

IMG_0191.jpg

 

最上位に表示されたのは「大宮」経由であった(笑)

福井6時発で10時49分着。

もはや「ふざけるな」と笑いたくなる。

だが私の計算より40分近く早いのも事実だ。

 

IMG_0192.jpg

 

しかし 何が悲しくて福井駅から新潟駅に行くのに、

埼玉まで行く必要があるのか。

福井県⇒石川県⇒富山県新潟県⇒長野県⇒群馬県⇒埼玉県⇒群馬県新潟県である。

あまりにもふざけている。

 

現実的に相方には高速バスを勧めておこう。

新幹線経由の富山乗り継ぎなら11時35分、

金沢乗り継ぎなら12時28分に新潟駅前に到達する。

 

新幹線など無理に使わなくていい。

金沢乗り継ぎなら

福井6時50分のダイナスター3号に乗ればいいし、

乗り換えも1回ですむ。

 

うちの相方など列車に乗れば5分後には寝ている。

気づけば東京であったという可能性は高い。

  

私は時刻表を閉じた。

 

何だか涙が出そうであった。

  

「新幹線、新幹線」

富山にいた頃、私の周りの人間は口を揃えて言っていた。

「いらないですよ」なんて言うと白い目で見られた。

「余所者が余計なこと言うな!」なんて怒られたことも多々ある。

 

「東京に気軽に行けるようになる、東京からもお客さんが来てくれる」

 

本当に、北陸新幹線の開通を、北陸の人たちは待ちわびていた。

何かが変わる、そう信じて。

そして3月14日を迎えた。

 

3月16日。

さあ、一週間のスタートだ。

お祭り騒ぎの週末は終わった。

マスコミもたくさん取り上げてくれた。

これほどまでに「北陸」を連呼してくれることなど、

後にも先にももうないであろう。

 

いつもの日常が始まる。

金沢にも、富山にも、福井にも。

 

富山だと、

通勤・通学時に「JRじゃなくなったンだな」などと感じるかもしれない。

金沢までのきっぷを買おうとして運賃表を見れば、

あれ、970円が何で1220円になってんのさ、と固まるかもしれない。

 

時刻表を眺めてみれば、

魚津方面は黒部行きと泊行きしかない。

県境を超えて糸魚川に達するのはわずか2本。

金沢方面も金沢行きと高岡行きばかりだ。

金沢を超えてJRに乗り入れる列車は一本もない。

 

なーんかそっけないなーと感じるかもしれない。

 

どの駅も在来線の長いホームは持て余し気味になるだろう。

鋭い方なら、特急列車の通過待ちがなくなったンだ、

なんてことに気づくかもしれない。

 

旅好きな若者は

青春18きっぷが2コマ残ってるけどどうするか、

と頭を悩ますかもしれない。

 

あれ、新潟出張なんだけどどうすればいいんだ?

大阪出張なんだけどサンダーバード何処行った?

首都圏往復フリーきっぷなくなったの?

と、ビジネスマンはとまどうかもしれない。

 

歓迎ムードに水を刺すつもりはない。

ただ、便利なものが出来たおかげで

「あたりまえ」だったことが失われていく。

 

そして便利だと思っていたものも、

実は案外使わなかったりする。

 

開業初日、

金沢駅富山駅に押し寄せた方々の大半は

「入場券」で新幹線ホームに上がったらしい。

 

私はそれを聞いて何だか悲しくなった。

新幹線に乗る訳ではなく、

見るために駅へ行ったことになる。

 

この日を待ちわびていた、

と、口にする割りにはひと駅すら乗らない。

 

私は何日か分の空席情報をJRのサイバーステーションで確認してみた。

席が埋まっているのはグランクラスばかりで、

平日はスカスカと言ってもよい。

 

それでも週末はまたどっと観光客が押し寄せるだろう。

 

これまでは静かな雰囲気が好きで

金沢を訪れていたリピーターも、

あまりの人の多さにとまどうだろう。

足が遠のくかもしれない。

 

以前も書いたが金沢なんて新幹線が開通する前から

週末は充分すぎるほど観光客でごった返していたのだ。

 

宿泊料金もあきらかに値上げしている。

昨年末に3000円台前半で泊まれたボロ宿も

普通に6000円なんて価格だ(笑)

とてもじゃないがしばらく金沢には近づけない。

 

北陸新幹線は私の大好きな北陸を、

ズタズタにしていく。

そう考えただけでやはり何だか泣けてくる。

 

ただひとつ救いがある。

今朝の情報番組で新幹線で金沢に来た客が

何処へ向かうのかという調査をやっていた。

大半は、近江町市場であったり21世紀美術館であったり、

兼六園であったりした。

 

これには続きがあって富山に来た客は何処に向かうのか、

そんな質問もしていた。

私はその答えに非常に興味があった。

 

すると大半は「帰省」であったという。

家族の顔を見に行く、会いに行く。

それが容易くなる。

 

そっか、そうだよな。

 

北陸新幹線が出来て

悪いことばかり考えてしまってたけど、

富山で再会を喜ぶ家族の様子を見ていたら、

新幹線が出来て良かったね、って、

初めて思えた自分がいた。

 

 

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