北陸徘徊人

福井・石川・富山を中心にゆるーい旅を満喫中

特急ダイナスター3号

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3月20日金曜日。

何処かへ出掛ける日の朝は

やたらめったら早く目覚めたりする。

小学校の時からずっと、

40を過ぎた今もなお。

 

枕元のスマホを見れば3時だった。

当然あたりはまだ真っ暗だ。

隣では相方が口を開けて寝ている。

しばらくスマホをいじっていると、

いつしか夜はあけていた。

 

福井は前日までスッキリしない天気だった。

この日も相変わらず灰色の空であるが、

これが冬の北陸地方の現実だ。

とりあえず雨は降っていないなら良しとしよう。

 

福井駅まで相方とぶらぶら歩く。

 

今日の目的地は愛知県の岡崎で、

これから北陸新幹線東海道新幹線を経由して向かう。

馬鹿げてる、とは思う。

でも、わくわくする。

 

私は40を過ぎた単なる酒飲みのおっさんだが、

死んだ時には「あいつアホな奴やったよなー」と

笑われたい。

「チビのくせしてよお飲む奴やったよなー」

でも、いい。

 

とりあえず、

他人から見たら馬鹿げてることをやりたい。

わくわくしながら生きていたい。

 

私と相方の手元には

それぞれ4枚のきっぷがある。

 

まず福井〜福井の乗車券。

経由欄には「北陸・金沢。新幹線・東京・新幹線・米原・北陸」

とあり、運賃は1万2960円。

 

続いて特急ダイナスター3号の指定席特急券

乗継割引適用で850円。

 

北陸新幹線はくたか556号の新幹線特急券・グリーン券。

グランクラス利用で1万9630円。

 

東海道新幹線ひかり527号の新幹線特急券

東京〜豊橋の利用で3860円。

 

とりあえずここまでが購入済みのきっぷである。

一人あたり3万7270円。

 

我ながらとてもまともな思考回路とは思えない。

東京に用事があるならともかく

目的地は愛知県だ。

 

ただ、北陸新幹線グランクラスに乗りたくて

こんなルートを組んだ。

 

先週末にこのきっぷを買ってから、

我が家の「おかず」はすべて1袋18円のもやしになった。

来週以降もしばらくそのままであろう。

 

さて、一番列車の「ダイナスター」と初のご対面。

窓の下にブルーと黄色の帯があり、

ああ「しらさぎ」の車両かと思う。

そして先頭に向かい、写真を撮ると妙な違和感がある。

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今や北陸本線を走る特急列車は、

いまや681系と683系だけになってしまったが、

どれも同じ顔に見えて実は微妙に違う。

 

3月14日のダイヤ改正以前、

たとえば富山県神通川を渡る特急列車を見ると、

ほぼ9割の富山県民は「サンダーバードだ!」と

考えていたと思われる。

 

しかし、ちょっとした鉄道ファンの方なら

5+3の8両で黄色い帯が入っているから

「あれは実はしらさぎなのだ、ふふふ」

などと分かってしまう。

 

同じ9両編成でも

はくたか」と「サンダーバード」の違いも

先頭車両の形状や帯の色で見分けられたりする。

 私も100%とは言わないが、

90%くらいあっている自信があった。

 

でも口にしたら気持ち悪がられるので言わない。

 

さて、ダイナスターに戻る。

 

この特急ダイナスターは

6両編成にも関わらず「しらさぎ」の黄色い帯がある。

時刻表を見ればこの3月14日の改正から

しらさぎ」の基本編成は5両から6両になったようだ。

 

ただ、中京圏と北陸を結ぶ「しらさぎ」の車両は国鉄型からJR型に置き換わった際、

683系2000番台という車両が運用されていた。

新しい電車が好きな私は

富山から関西の実家に帰省するとき、

しばらく米原経由に切り替えていた。

 

ところがこの編成の先頭車両は

あきらかに681系のものである。

外観上の違いはヘッドライトの形状なのだが、

あれ、てな感じである。

 

表記されている形式を確認すればやはり681系であった。

 

すなわち今回乗る特急ダイナスター3号は

「元特急サンダーバードであるしらさぎ車両を使った特急列車」であるとも言える。

 

しかし特急「ダイナスター」は

2015年3月14日のダイヤ改正で登場した

福井始発という稀な特急列車である。

 

福井に暮らす者としては

敬意をもって乗りたい。

 

6時50分、特急ダイナスター3号は福井駅を出発した。

私が乗ったのは2号車の指定席で、

パッと見た感じでは十数人しか乗っていない。

ただ、自由席はそこそこ乗っていたような感じはある。

 

出発してすぐ、北陸新幹線の高架に、

えちぜん鉄道新福井駅(仮駅)を建設している

様子が見える。

おー、着々と進んでるなーと思う。

 

「この列車は特急ダイナスター3号金沢行きです」

そんな放送も新鮮で嬉しくなる。

 

金沢到着時刻は7時37分とアナウンスされた。

 

冷静に考えると特急ダイナスターの

始発から終点までの距離はわずか76.7キロ。

この3号に関しては所用時間47分。

運行されるのは朝晩の3往復のみ。

時刻表を開けば端っこの方にひっそり現れる、

何とも愛おしくなるような特急列車ではないか。

 

6時53分、九頭竜川を渡る。

この先は私にとっては20年以上に渡って見慣れた北陸本線の車窓だ。

新しくうまれた特急列車だからといって

残念ながら車窓が変わる訳でもない。

すぐに眠くなる。

 

石川県に入っても空は暗いままだった。

この先、北陸新幹線から眺める立山を期待していたが、

恐らく無理であろう。

 

進行方向右手に加賀温泉の観音様が見えてきた。

右側に大きくカーブして、

観音様が左手の車窓に移ると加賀温泉駅に到達する。

 

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私は昨年、福井から路線バスを乗り継いで金沢に行ったが、

ここまで半日かかった記憶がある。

特急列車だとわずか22分。

 

hokuhai.hatenadiary.jp

  

7時20分に小松着。

ガラガラの指定席にも1人乗ってくる。

こんな一区間で指定席かいな、と思ったが

恐らく新幹線への乗り継ぎ客かもしれない。

 

新幹線と在来線の特急列車を当日中に乗り継ぐと

「乗継割引」といって在来線の特急料金が半額になる

「特例」がある。

残念ながらすべての駅で、という訳ではないのだが、

金沢は対象駅だ。

 

そんな訳で福井〜金沢の指定席特急料金は

通常期なら1700円なのだが、

今回は850円となる。

これが自由席だと1700円から520円を差し引き、

その半額であるから590円と算出される。

 

要するに通常なら520円かかる座席指定が

半額の260円で可能な訳でこの安心感は代えがたい。

実は私達が乗り継ぐ新幹線には

この後の「おはようエクスプレス」でも間に合うのだが

あちらは全車自由席の3両編成である。

 

おそらく通勤のビジネスマンがわんさと乗っている。

そんな訳であらかじめ避けてダイナスターにしたのだ。

さらにこのダイナスターの自由席も

これから仕事に向かう方々で賑わっている。

そんな方々の貴重な座席を旅人が占有するのは

何とも申し訳ない。

 

多少の追加料金を払ってでも座席指定できるのは

いろんな意味で気楽である。

 

加賀笠間を通過する。

隣で爆睡していた相方を起こす。

「もうすぐ新幹線の車両基地だ」

 

7時29分、

右手に新幹線の車両基地が広がる。

初めてここで新幹線の車両が見えた時は純粋に感動した。

 

しかし、この車両基地

在来線から見ると一段高い位置にあるもので、

奥の方はさっぱり見れない。

 

結局新幹線の車両は一編成も見えなかった。

相方は呆れたように目を閉じた。

 

金沢の町並みが広がる。

北陸新幹線つるぎ702号富山行は〜」

などというアナウンスが新鮮だ。

 

「IRいしかわ鉄道経由七尾線

も新鮮だったが、

「IRいしかわ鉄道経由あいの風とやま鉄道経由富山行は」

まで来るともはや苦笑するしかない。

 

新幹線ホームに新幹線の車両が止まっている。

そんなあたりまえのことが、

何でこんなに嬉しく、わくわくすることなんだろう。

本当に、北陸の地に新幹線がやって来たのだ。

 

冗談抜きで私は涙を堪えられなかった。

 

7時37分、特急ダイナスター3号は定刻に金沢駅の7番線に到着した。

 

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ホームに降り立ち、見上げる。

金沢駅の6・7番線は下り線のホームでつい先日まで、

多種多様な特急列車が発着していた。

そのため、列車の乗降位置をしめす案内板が設置されていたのだ。

 

それが今やこのホームから出発する下り列車は

和倉温泉行きのサンダーバードとのとのかがり火だけになっている。

消えた列車名は適当に紙で覆われていた。

 

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そこに

長きに渡って活躍してきた特急列車に対する

敬意を感じることは出来なかった。

私は何だか悲しくなってきていた。

 

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