北陸徘徊人

福井・石川・富山を中心にゆるーい旅を満喫中

越前大野と国道158号線

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ゴールデンウィークどうする?」

4月のアタマ頃だったか相方がそんなことを言った。

「家でおとなしくしてよう」

私は言った。

 

ちょこちょこウロウロしてるからこそかもしれないが、

どうもゴールデンウィークに出掛ける気がしない。

昨年もせいぜい近所の極楽湯に行った程度だ。

 

まして今年は近場だって新幹線開業で

何処もいっぱいであろう。

 

さらにクルマで出かければ

渋滞に巻き込まれるのは目に見えている。

 

私がイライラしている隣で

相方が心置きなく「ツムツム」をやっているか、

寝ているかの姿は容易に想像がつく。

 

そんな矢先、愛知の友人から「コテージを借りよう」

なんて話がきた。

場所を聞けば岐阜の白鳥であるという。

白鳥なら福井から国道158号線1本で行ける。

 スクリーンショット 2015-05-06 19.30.44.png(ヤフー地図より)

そうしてゴールデンウィーク後半初日、

私と相方はクルマで白鳥へ向かった。

 

ついでと言っては失礼かもしれないが、

大野の町並みでも少し歩こうと思い、

わりと早めに家を出た。

 

で、

福井市から短いトンネルを抜けて大野市に入った瞬間だ。

私は思わず言った。

 

「何じゃこりゃ!」

 

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辺り一面ピンク、ピンク、ピンク!なのだ。 

いや、一面ではなく、ほぼ全ての水田の畦が、

ピンクで覆われている。

 

大型トラックの運ちゃんもハザードを出して写真を撮っている。

おばちゃんは路肩に軽自動車を「寄せることもなく」、

ハザードも「出さずに」車外に出て写真を撮っている。

危ないですからせめて寄せてくだされ(笑)

 

大野市のサイトによると、

最初は数件の農家が水田の畦に「芝桜」を植え始め、

それが市内全域に広がっていったとのこと。

 

それにしても前知識なしにこの光景を見たらたまげるだろう。

右も左も先も「芝桜」だ。

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天空の城として近年注目を集める「大野城」を眺めながら市街へ。

相方に「登るか」と問えば

「絶対に嫌だ」と拒絶された。

昨年登って懲りたらしい。

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大野は「小京都」とも称される美しい街並みの城下町だ。

七間通りの朝市など、

飛騨高山の朝市より歴史が古いとのこと。

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朝市があり、

町のあちこちに清水が湧いているなんて、

中高年の女性あたりにも受けそうだし、

外国人観光客も喜びそうな光景であるが、

連休中にも関わらず町は静かだ。

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いかんせん交通が不便だからだろうな、と思う。

いや、不便と思い込まれているからだろうな、と思う。

 

そもそも大野市は自ら不便であると宣伝している。

 

例えば大野市でもいいし、

観光協会でもいい、ウェブサイトを開いてみてほしい。

 

大野市

スクリーンショット 2015-05-06 18.03.21.png 

福井県大野市ウェブサイト

 

観光協会

スクリーンショット 2015-05-06 18.04.01.png 

名水のまち 越前おおの観光ガイド - 一般社団法人大野市観光協会

 

いずれも

大野市までの公共交通機関を使ってのアクセスは

JR越美北線としか記されていない。

 

散策マップなども

JR越前大野駅を起点としたコースが描かれている。

 

ところがこの越美北線、福井〜越前大野間でも

一日わずか9往復しかない。

午前の福井発など6時29分と9時08分発の二本だけと、

まったくやる気の感じられないダイヤである。

(平成27年4月現在)

 

私ならもうここで行く気をなくす。

他に行く手段はないのかと思って時刻表をめくっても出てこない。

ヤフーの乗り換え案内でも出てこない。

 

では以前からこんなに不便なところだったのか?

そんな疑問がわいた私は古い時刻表を開いた。

昭和42年9月号である。

何でこんな古い時刻表を開いたのかは当然意味がある。

 

で、この時も国鉄は9往復なのだ。

 

これに対し、当時はまだ京福電鉄が大野まで伸びていた。

こちらの時刻表を見ると何と「30分毎に運転」とある。

かなりの高頻度で県都と結ばれていたのだ。

 

所要時間は1時間10〜20分程度。

国鉄も普通で1時間〜1時間10分、

快速なら50分前後といったところか。

  

さて、

JTB「私鉄の廃線跡を歩く」にこんな一文がある。

越前本線勝山ー京福大野間は、1960年12月15日に越美北線南福井ー勝原が開通すると奥越地方における独占的な輸送機能を失った。勝山ー大野間の輸送実績は昭和35年度旅客130.5万人・貨物8.4万tが、昭和46年度45.8万人・2.1万トンに落ち込んだ。この間、列車回数の削減、人件費の削減などの合理化を実施したものの収益の回復はままならず、収入2790万円に対して支出1億350万円を記録した。このような状況であったことから1972年8月以来、地元との話し合いを進め、1974年8月12日限りでの廃線が決定した。

 (私鉄の廃線跡を歩くⅢ北陸・上越・近畿編より)

昭和35年国鉄の路線が開業したために京福が赤字に陥り、

路線縮小となった、とも読める。

 

そもそも越美北線

越美線として福井(越前)と岐阜(美濃)を結ぶ路線として計画されたものだ。

 

歴史に「たら」「れば」は禁物だが、

越美線がまともに開通していれば、

大野も現在の高山のような賑わいとなっていたかもしれない。

 

さらに越美線なんぞ計画されなければ、

今もえちぜん鉄道として大野まで路線が残り、

30分毎に電車が走っていたのかもしれない。

 

何だか鉄道に翻弄された町、という気がしなくもない。

 

鉄道はそんな状況であるが、

バスは京福が福井ー大野間を

1時間に1本の割合で走っている。

所要時間は約1時間、運賃は片道990円だ。

 

案外高頻度と言えないか?

 

JRの駅は観光スポットから遠いが、

バスは町のど真ん中を通る。

にも関わらずJRやJTBの時刻表には載っていない。

 

私は福井に来るまで

そんな路線が存在することすら知らなかった。

大野市のウェブサイトでも一切触れられていない。

 

京福バスなら週末1000円のフリーきっぷもある訳で、

福井から充分日帰りも出来る。

大野〜勝山なんてバスもあるのだから、

えちぜん鉄道と組み合わせた周遊だって出来る。

 

それに勝山と大野の距離はわずか10キロ程度だ。

途中に峠がある訳でもない。

勝山駅で自転車を借りても1時間もかからずに来れる。

そして勝山には30分ごとに福井から電車が来ている。

何だか実にもったいない。

 

多分、JRの呪縛から逃れない限り、

今後も大野は静かな街でありつづけるような気がする。

 

福井からはJRよりバスが便利です、と

自虐的に触れるだけで随分かわると思う。

 

ま、高山がすっかり観光地と化し、

人で溢れかえっている様子など見ていると、

この静けさこそが大野の魅力であるんだろうな、とも思う。 

 

他所者の心理とは複雑だ(笑)

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国道158号線を九頭竜川沿いに東に向かう。

市街地を抜けると一気に山深くなり、

ずんずんと高度を上げていく。

木々の新緑が目に染みる。

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道の駅九頭竜で一息つく。

駐車場はクルマとバイクで溢れかえっていた。

凄まじい人、人、人だ。

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イワナなんてかじったらすっかりビールが飲みたくなった。

余計なことを言うと相方に殴られそうなので、

お茶を飲んで先へ進む。

 

九頭竜ダム

九頭竜湖を眺めながらさらに東へ。

多くの荷物を積んだ、自転車もかなり見かける。

 

自転車旅行か、いいなと思う。

 

私もロードレーサーを盗まれてさえいなければ、

今頃日本各地を自転車で巡っていたかもしれない(涙)

詳しくはコチラに書いております。。。

九頭竜湖が再び九頭竜川と化せば県境は近い。

国道158号線はまっすぐ走ると「油坂峠道路」なる

高規格道路に入っていく。

かつては料金所があったところだ。

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そして、旧道は「通行止め」となっていた。

 

この先はS字状にトンネルと高架橋で一気に白鳥の街へ下る。

なかなかダイナミックな景観が楽しめるところだ。

ここまで来て私はふと気づいたことが有る。

 

自転車の旅人たちだ。

 

九頭竜湖から先で追い抜いた人数は10人や20人どころではない。

 

そしてこの道はどう見ても「自動車専用道路」であろう。

こんな道を自転車で走るなど自殺行為だ。

 

「あの子達、いったいどうするんだろ」

私は言った。

「引き返すんじゃない」

相方は言った。

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私達は白鳥の街へ出た。 

 

私は長良川鉄道の美濃白鳥駅を見たいと思った。

2002(平成14)年まで、

九頭竜湖から路線バスが走っていたのだ。

 

駅に向けてクルマを走らせると、

無常にも「通行止め」の看板がある。

 

この日は「まつり」が行われるようだ。

結局駅を見ることもなく、

私は来た道を引き返した。

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