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北陸徘徊人

福井・石川・富山を中心にゆるーい旅を満喫中

JR越美北線・越前東郷駅 〜トックリ軒の若鳥と中華そば〜

JR 福井

午前9時の福井駅

ホームに上がると金沢行きの特急サンダーバード1号を待つお客さんが多くいた。

そのホームを武生方面に向かうと、

切り欠き式のホームの先にエンジン音を響かせた2両編成の気動車が止まっている。

9時08分発の越美北線九頭竜湖行きだ。

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今日はこの列車に乗って越前東郷という町を目指す。

地図で見れば福井市中心部から足羽川沿いに約9キロ。

戦国時代に越前国を支配していた朝倉氏の城下町である

一乗谷朝倉氏遺跡」のほんのすこし手前に位置する。

 

何で越前東郷を目指そうかと思ったかと言えば、

先日町で見かけたポスターに心惹かれるものがあったのだ。

道路中央を流れる川と古い町並み、

それだけと言われればそれだけなのだが妙に行ってみたくなった。

 

よくよくポスターを見たら福井市内であるし、

いつも自転車で行っている県立図書館の先あたりである。

自転車でも十分行ける距離であったが、

ぶらっと街歩きでもしてビールでも飲むべと思い

越美北線で向かうことにした。

福井駅からの運賃は210円。

 

2両編成の列車には思ったよりお客さんが乗っていた。

越美北線というのは恐ろしくやる気のないダイヤが組まれており、

福井発の一番列車は6時29分発の越前大野行き、

で、二番目がこれから乗車する9時08分発の九頭竜湖行きである。

 

この2本で午前中は終了で、

この列車を逃せば次は12時49分発になってしまう。

こんな少ない本数でガラガラならお先真っ暗であろうが、

パッと見たところ20人程度は乗っており、

まずは一安心である。

 

9時3分、隣に金沢行きのサンダーバード1号が入ってきた。

時刻表を確認すれば2分遅れ。

12両もある長大編成にも関わらず、

驚くほど乗っている。

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このお客さんたちが数年後には福井で新幹線に乗り換えになるのか、

そう考えると何だか気の毒にもなった。

 

「9時8分発、越美北線に入ります九頭竜湖行きです。2両編成ではございますが2両目は途中の越前大野で切り離します。越前大野から先までご乗車のお客様は前よりの車両にご乗車ください。車掌は乗務しておりません。北大野駅まででお降りのお客様は一番前の扉をご利用ください。発車までもうしばらくお待ち下さい」

運転士の丁寧なアナウンスが流れる。

 

出発間際、運転士が席をたってホームに降りた。

20代後半と思われる若者である。

安全確認をして扉を閉め、

さらに乗ってくる客はいないかと小窓から確認。

9時8分、定刻に出発。

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2両編成のディーゼルカー北陸線の線路上を「快走」する。

貨物駅である南福井駅の数多い側線がまとまった先に分岐があり、

列車は本線を外れ左側への線路に入っていくと、

越美北線の起点である越前花堂駅に到着。

この駅が「はなどう」ではなく「はなんどう」と読むのは

福井に来てから知った(笑)

 

ホームには数人の客が列車を待っていた。

そしてこの駅で降りる客もいた。

ここで感心したことがある。

乗車券を回収した運転士がわざわざ自分で扉を開けに行ったことだ。

 

越美北線で使用されているキハ120系という車両は、

JR西日本の非電化区間ではわりとよく見かける車両なのだが、

とりあえず高山線で使われている車両と

越美北線で使われている車両に関しては、

駅に着いても自動で扉が開くことはない。

(他の地は知りません・笑)

 

プシュッーという空気音がするのを確認して、

乗客自らが開ける。

この扉が折戸となっていて、

降車する時は内側に引っ張り、

乗車する時は内側へ押し込むような形で開けるのだが、

意外と開けづらいし、力もいる。

 

乗客が扉を開けるのに苦労しているのを

面倒くさそうに見ている運転士は何度か目撃したことはあるが、

こうやって自ら開けに行く運転士を見たのは初めてだ。

「ありがとうございました」と挨拶も丁寧だし、

安全確認、指差呼称もキビキビしており安心感がある。

 

鉄道にしろバスにしろ、

運輸に携わっている方は若い方の方が愛想もいいし、

動きもしっかりしているように思うのは僕だけだろうか。

9時21分、越前東郷着。

 

「ありがとうございました」ときっぷを受け取った運転士は、

やはり扉を開けてくれた。

何となく気分がいい。

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駅前の通りを歩いていると、古い食堂を見つけた。

「トックリ軒」とある。

看板を見れば営業は11時からとのことで、

さらに定休日でもなさそうだ。

帰りに寄ってみよう。

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さらに進むと、

道路の中央部に川が流れる通りに出た。

川の両側がそれぞれ一方通行の道となっており、

なかなか風情があるし、

流れを覗いてみれば鯉も泳いでいるし、

カッパも遊んでる。

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槇山登山道という看板を見つけた。

目の前にある小高い山のことだろうか。

歩道を進んだら神社に出た。

「三社神社」とある。

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目の前にあったのが「町名地蔵堂」で、

お堂の中には何体ものお地蔵様が安置されていた。

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しかしながら「槇山登山道」がいまいちよく分からない。

さらに「クマに注意」なんていう恐ろしい看板もある。

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用水路沿いに歩くと柵がしてあった。

「おいおい、行き止まりかよ」と思ったら、

獣避けで自分で開け閉めするようになっていた。

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さらに進むと「槇山」の看板が現れた。

しかし林道入口にはあまりにも立派な柵がしてあった。

これも獣避けで自分で開け閉めするようになっていたが、

車で訪れてこの柵を見れば9割9分の方は「通行止め」だと思うだろう。

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林道をしばし登る。

これが予想以上に急登で、にわかに汗がにじみ始める。

道路上には落ち葉が積もっており、

長らく車が行き来した形跡がない。

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さらに進むと看板があり、

杉林の中に登山道らしきものが見えた。

はて、何処が登り口だったのだろう。

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さらに進むと木々の合間に福井平野の眺めが広がった。

ここにはかつて「槇山城」なる城があったと言う。

あたりは整備の行き届いた公園のようになっていた。

木々から落ちた歯を見ていると、

秋なんだなあ、としみじみ思う。

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それにしても人っ子一人いない。

下の集落からは小学生だろうか、

歌声のようなものも聞こえてくるが、

とにかく誰もいない。

 

杉林の中の登山道を下る。

先ほど見かけた「クマに注意」の看板を思い出した。

この人っ子一人いない山中で

クマに襲われたりしたら

いったい誰が発見してくれるのだろうかと思う。

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僕は過去、3回山でクマに遭遇している。

一回目は10代後半のゴールデンウィーク前、

まだ雪の多く残る春山を山小屋の先輩と2人で歩いていた時だ。

 

沢でクマが水を飲んでいた。

そしてクマは僕達の方を見て、向かってきた。

びびったなんてものではない。

 

すると隣りにいた先輩は、

手にしたストックをクマに向け、

「うおおおおおお!」と凄まじい声で叫んだ。

するとクマはどっか行った。

 

2回目は20代の半ばである。

夏、僕は川の源流部をビールを飲みながらちんたら歩いていた。

するとやはりクマが目の前で水を飲んでいた。

僕はビビって動けなくなった。

幸いクマには気づかれていないが、目と鼻の先である。

 

で、ちょっと後ずさりしたら、

つるっと滑ってドボンと川の中にひっくり返った。

全身ずぶ濡れになってあたりを見たら、

クマはいなくなっていた。

 

3回めは30代の始め、

職場の新入社員2人をつれて1泊2日の登山にでかけたのだが、

下山時に1人がへばってしまった。

1人は元気に先を歩いているが、

へばった方は数歩歩けばしゃがみ込み、数歩歩けばしゃがみ込む。

 

僕にできるのはその新入社員の荷物を持って励ますことくらいだった。

子供なら背負ってでも降りるが、

この新入社員は身長180センチ以上、体重も70キロ以上あるような男だ。

身長157センチの男がどうこうできる訳でもない。

 

こりゃ日が暮れる前に下山できねーな、僕は思った。

 

最悪の場合、元気な方に先に下山してもらい、

助けでも呼んでもらうかな、そこまで考えた矢先である。

 

ガサガサッと音がして目の前にクマが飛び出してきた。

クマと言っても子グマである。

登山道を横断して再び藪の中に消えていった。

 

だが子グマということは確実に親がいる可能性が高い。

僕はすっかりびびったが、

もっとびびったのは新入社員の方だったようで、

いきなりダッシュし始めた。

 

さっきまでへばっていたのは何だったのだ。

僕は2人分の荷物を背負って山を降りた。

 

そんなことを思い出しつつ登山道を下ると、

先ほど見かけた神社の裏手に出た。

時計を見るとまだ11時前。

食堂が開くにはまだ時間があるのでもう少しぶらぶらする。

 

するともう一軒、渋い食堂を見つけた。

うーむ、こっちも捨てがたい。。。

さあ、どうするか。

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11時をまわって「トックリ軒」の前に行ったが、

のれんすらかかっていない。

そもそものれんがない店なのか、

それとも臨時の定休日なのか。

 

扉を開ける勇気もなく、

店の前を通りすぎてしばらく待っていたら

中からオヤジさんが出てきてのれんをかけた。

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店内は「THE・昭和」である。

平成時代であるのは薄型テレビくらいだ。

短冊メニューは多彩で、しばし悩む。

麦茶を出してくれたのは若い女の子だった。

 

手元のメニューを見ると名物「若鶏」「ひね鶏」とある。

はて、どんなものなんだろう。

女の子にその違いを訪ねたら、

「ひね鶏は親でかなり噛みごたえがあります。若鶏は子で柔らかいです」

とのこと。

 

「なら若鶏と瓶ビールください」

「アサヒ、キリン、サッポロとありますが」

「キリンでお願いします」

「若鶏は骨付きのままでいいですか?ほぐすことも出来ますが」

「骨付きのままでいいです」

 

きゅーっとビールを飲んでいると、

調理場にいたオヤジさんが顔を出し、

「ちょっと時間かかるからゆっくり飲んどいてな」と言う。

「はーい」と答えてビールをチビリ。

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改めてメニューを見れば、

うどんにそばからカレーライスにオムライス、焼きそば、

親子丼にかつ丼まで色々ある。

ホワイトボードには居酒屋メニュー的なものも書かれており、

ボトルキープの焼酎もずらりと並んでいる。

 

しばし待っていると若鶏が届いた。

昔、四国の高松で食べた「骨付鳥」を思い出す。

巻かれたアルミホイルが持てないほどにアツアツだ。

皮目はパリッ、中はやわらか、且つジューシー。

醤油ベースのタレが効いている。

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こりゃたまらん、

で、ビールも進む。

骨までしゃぶりつくす。

 

再びメニューを眺め、

中華そばを注文。

注文してから短冊メニューに「ライス」の文字を見つけ、

あー、このタレぶっかけて食べても良かったなと思う。

 

しばし待つと中華そばが届く。

チャーシューではなくてハム、

ナルトではなくカマボコが載ってるのがご愛嬌。

スープをすすれば昔懐かしい味が口の中一杯に広がって、

あー、これだよこれ、と何だか妙に嬉しくなった。

すっかりいい気分になって店を出た。

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越前東郷駅に戻り列車を待つ。

時計を見れば12時過ぎ。

12時9分発の列車を逃せば次は15時49分だ。

ただ、越美北線同様に本数は少ないが

13時21分に京福・東郷線のバスもある。

 

足羽川の向かいは国道158号線だから、

1時間毎に京福・大野線のバスもある。

何より車で来れば我が家から15分ほどだろう。

相方に運転してもらい次回は「ひね鶏」でビールを飲むのもいい。

 

福井行きの列車がやってきた。

来る時と同じ若い運転士である。

彼が遠路はるばる九頭竜湖まで(?)運転して帰ってくる間に、

僕は平日の午前中から駅前でビールを飲んでいた訳で、

流石にちょっとだけ反省した。

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