北陸徘徊人(元)

富山、福井、石川を中心にゆるーい旅を満喫中

敦賀優柔不断紀行 〜赤レンガ倉庫・中池見・そば処はやし〜

相方が「敦賀の赤レンガ倉庫に行きたい」などと言い出した。

敦賀の赤レンガ倉庫とは先ごろオープンした観光施設で、

福井の情報番組などではたびたび紹介されている。

tsuruga-akarenga.jp

紹介している映像を見る限り、

カフェやレストランなんかもあって女性好みの洒落た造りとなっているようであるが、

僕のようなアルコール依存症気味の中年男にはもっとも似つかわしくない空間であるといえる。

 

たまには相方に付き合って今時のカフェなんかに行ったりするが、

最近は店内に足を踏み入れただけで息苦しくなったりする。

 

そんなものでいつもなら「友達と行ってくれば」てな具合で終了であったろうが、

素直に「おう、行くか」と応えたのには訳がある。

 

それは全長27メートル、奥行き7.5メートルもある「ジオラマ」の存在だ。

少年時代、Nゲージにあこがれて「鉄道模型趣味」を読みつつも、

結局高価すぎて手を出せなかった僕にとって、

巨大ジオラマなんていうのはいつまでも夢の世界といえる。

 

日曜の朝、福井は快晴だった。

福井市内からクルマを走らすこと約1時間20分で敦賀に到着。

赤レンガ倉庫の開館時刻は9時30分、

到着したのは9時40分であったが駐車場にはそこそこクルマが停まっていた。

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敦賀赤レンガ倉庫そのものの歴史は古く、

敦賀市のサイトによると1905年に建てられたとあるから、

築110年になるということか。

当初は石油貯蔵庫として使われていたが、

昆布貯蔵庫として使われたこともあるとのこと。

 

建物は2つ並んでおり、

エントランスをくぐれば手前がレストラン館、

奥がジオラマ館になっていた。

ジオラマ館の入場料は大人1人400円。

 

扉の向こうには明治後期から昭和初期の敦賀の町並みを再現したという

巨大なジオラマが広がっていた。

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客層は圧倒的に「親子連れ」の姿が多く、

続けて年配の方々も多い。

子どもたちは食い入るように、

年配の方々は懐かしげにジオラマを眺めている。

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このジオラマの最大の特徴は、

ジオラマの中に顔を出す空間が設けられていることか。

入り口は狭いものの顔を出してみれば

まわりから眺めているのとは違った景色が楽しめる。

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ただ、正直言って走っている車両そのものが少ないような気がした。

もう少し、鉄道に関する展示があっても良いと思うし、

400円という入場料もちょいとお高いように思う。

 

京都のジオラマJAPANの入場料は500円だけど、

トロッコの乗車券を持っていれば400円で入場できる。

規模は違えど糸魚川駅のジオラマなんて無料で見学できるよな、

とケチな中年オトコはついついそんなことを考えてしまった(笑)

 

ま、無料で公開されている「敦賀鉄道記念館」とセットで考えれば

妥当な金額なのかもしれないが。

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コーヒーを飲んでから金崎宮に向かった。

 

途中に踏切の設備が山積みされている。

敦賀駅敦賀港駅を結んでいた「敦賀港線」のものだ。

僕が敦賀に住んでいた頃はまだ現役で貨物列車が走っていたし、

当時開催されていた「つるが・きらめき・みなと博21」にあわせて

SLが運転されたこともあった。

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敦賀港線の線路は

敦賀駅から市街地を回りこむようにして港に到達しているのだが、

途中、氣比神宮にもほど近い所を通る。

 

線路は残っているし、

門司港レトロのように

観光列車でも走らせれば人気が出そうにも思えるが、

そんなことを考えるのは僕だけなんだろうか。

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金崎宮は桜の名所として知られ、

春には多くの花見客で賑わうが、

この時期は訪れる人も少なく閑散としていた。

個人的には眺めもいいし好きなスポットだ。

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「昼飯、どうすっか」

腹も減ってきたので相方に聞いてみたら、

「海鮮丼が食べたい」と言う。

 

この時間ならまだ空いているかと思って漁港近くにある「どんと屋」さんへ。

するとすでに長蛇の列となっていた。

「・・・」

 

海鮮丼への思いが捨てきれぬ相方が

「さかな街に行こう」と言ったが、

ちょいと前にも行ったばかりである。

「あそこ行ったら余計なもん買っちゃいそうだし」

と適当に言いくるめる。

 

美浜にさ、海鮮バイキング食わせてくれるとこがあるらしいねん。そこにしよう」

僕は言った。

「二千円でさ、地ビールまで飲み放題なんだってさ。安いよな」

「誰が帰りに運転するんよ」と却下された。

 

「ヨーロッパ軒は?」

「俺はカツ丼は卵とじの方がいい」

敦賀に住んでたんやろ、オススメの店とかないん?」

「居酒屋しか知らん」

 

帰りは今庄の365温泉に寄るつもりだった。

「今庄でお蕎麦にしよう」

相方は言った。

これ以上あーだこうだ言っても険悪な雰囲気になりそうだったので、

素直に従うことに。

 

すると「中池見湿地」の看板を見かけた。

その湿地の一端は国道8号線バイパスからも見えるのだが、

実際に足を踏み入れたことはない。

「ちょっと寄って行こう」と僕は言った。

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すぐ傍に敦賀の市街地がある、

そんなことを忘れさせるほど、

中池見は静寂に満ちた空間だった。

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かつてこの場所に、

大阪ガス液化天然ガス基地を建設する計画があった。

しかしながら市民団体が反対の声をあげ、

計画は凍結された。

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当時、僕は敦賀で商売を営む方と酒を飲む機会があった。

 

原発敦賀の発展のためには仕方ない」

普段からそんなスタンスの陽気な方であったが、

酔いがまわると、目に涙を浮かべ、

絞りだすような声でこう言った。

 

「関西の連中は危ないもんは福井に押し付ければいいと思ってやがる」

 

時折、その言葉を思い出す時がある。

 

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中池見を散策すると空腹はピークに達しようとしていた。

今庄までとてももたぬと助手席の相方がネットで検索し、

「ここにしよう」とナビに入力。

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「そば処はやし」さんは氣比神宮からほど近い場所にあった。

店の前の駐車場にも空きがあったもので、

空いているかと思い中へ入ればびっくりするほど賑わっていた。

後で確認すれば隣に広い駐車場があったようだ。

 

幸いにもすぐに着席。

メニューは豊富で、これなら相方ともめなくてすむ。

相方はうな丼を、僕は天丼とそばのセットを注文。

店員のおばちゃんたちがハキハキ思想よく気持ちいい。

 

店内の混み具合から注文の品が届くのに相当待つことを覚悟していたが、

拍子抜けするくらい早々に天丼がやってきた。

蓋をあければほれぼれする位に美しい天ぷらが、

でーんとゴハンの上に載っている。

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敦賀にいた頃、この店の存在を知らなかったことを後悔した(笑)

 

帰り道、この夏2回来て2回とも閉まっていた今庄365温泉にようやく入浴。

露天風呂から白山が見えたことに驚いた。

ぬるめの湯であったがすっかり身体もあたたまる。

 

風呂あがりにはしゅわーっとしたものを欲するのは当然のことだ。

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(写真は駐車場より撮影)

 

「こないだの博多の天ぷら屋でさ、旦那が飲みたいって言ったら、

隣の奥さんは『いいよ、運転してあげる』なーんて言ってたよな」

たっぷりの皮肉をこめて、僕は助手席の相方に言った。

相方は「キッ」と僕を睨んだが、

無視を決め込んだようでスマホのゲームに夢中になっている。

 

僕は大人しく福井に向けてクルマを走らせた。

 

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