2両編成の電車は越前花堂駅に着いた。
えちぜんはなんどう、と読む。
何気に難読駅であるような気がする。
福井駅からだとJRでひと駅。
北陸本線側にホームが設けられたのは昭和43年とのこと。
しかしながら現在の駅本屋は北陸線側にあり、
いったん敦賀方面へのホームにおりて、
さらに細い通路を辿って越美北線のホームに達している。
北陸本線側にホームがなかった頃は、
果たしてどんな構造だったンだろうかと思う。
何とも懐かしい感じのする駅名票を眺めつつ、
越美北線には「越前」の名がつく駅は多々あれど、
北陸本線で「越前」と名のつく駅はここだけなのか、
なんてことに気づいた。
駅前の通りを西に向かうと、
ほどなく踏切がある。
福井方面に目をやれば花堂駅が見えた。
花堂駅で運賃表を眺めてみれば、
福井駅前まで230円とあった。
JRが140円であるからいささか高いような気もする。
こんな調子だと福井と武生の間など、
とんでもなく値段の差がでそうなものだが、
福井鉄道の場合、福井駅前から越前武生まで乗り通しても400円。
対してJRの福井〜武生は320円であるから
なかなか苦労の多い運賃設定のように思えてくる。
駅周辺は閑散としているが、
県道228号線に出ると車の通りは多い。
福井方面に進むと南福井のバス停があった。
京福はそこそこ本数があるが、
調べてみると越前町のかれい崎から福井市の田原町を結ぶ路線が現存しているようだ。
所要時間は約2時間。
この路線の時刻表を確認してみれば、
かれい崎発が6時05分、7時00分、7時50分、
さらに6時05分発は日祝日が運休。
これに対して田原町発は13時30分、16時55分、17時50分、18時50分と
4本設定されている。
乗ってみたいような気もするが、
あきらかに越前町の学生向けのダイヤであると察するし、
なかなか踏み出せぬままでいる(笑)
それにしても回送が多くなりそうなダイヤだし、
いったいバスのやりくりはどうしているのだろうか。
(時刻は平成27年10月1日改正時のものです)
県道228号線は多くの車が行き交っているが、
山沿いの通りへ入ると至って静かな空気が流れていた。
銭湯があり、床屋があり、
八百屋の軒先ではオジサンがテレビを見ながら留守番中。
さらにぶらぶら歩いていると、
思いもかけず立派な山門が現れた。
専照寺とある。
前の道を歩いていた婦人が山門の前で立ち止まり、一礼して去っていく。
さらに進むと今度は鳥居が現れた。
木田神社とある。
拝殿では年配の女性が手を合わせている。
何となく彼女が去ってから僕も合掌しようと思い、
境内にある晴明神社や願い牛を眺めていたのだが、
彼女は微動だにせず手を合わせたままだった。
隣で小さく合掌。
昨年までは神社に行くと
「美味しいお酒が飲めますように」とだけ祈っていたが、
今年に入って色々あってそれだけではすまぬようになってしまった。
願いすぎだ、賽銭が足りぬと怒られるかもしれない。
さらに進むと今度は不動寺というお寺が現れた。
足羽山は市内何処から見てもなだらかな山であるが、
ここだけは岩肌が露出している。
「福井市民の誇り百選」なるサイトを開くと、
次のような記述があった。
正徳元年(1711)、頻繁に起こる天災に恐慌をきたしていたところ、夢のおつげで朝日のあたる場所に「不動明王」を設置したのが不動寺のはじまりと伝えられている。節分の日は、年中最大行事の一つとして節分大祭が行われ大勢の人で賑わう。この寺の裏手は、足羽山となっていて、笏谷石が剥き出しになった岩 肌がそびえるさまは壮観である。
そういえば先日ニュースで見かけた豆まきはこの寺だったのか、
なんてことを思い出した。
岩肌の前には子安観音象。
その岩肌には「落石に注意」という看板。
誰一人いない静かな境内に、
「カラカラカラ」と石が落ちる音がした。
福井駅前まで戻ってくるとすっかり腹が減っていた。
新しい店でも探したいところだが空腹には勝てず、
平日だしと結局県庁へ行った。
今日のB定食は野菜炒めと温奴と舞茸の天ぷらがついて450円。
懐が寂しい人間にとっては非常にありがたい存在だ(笑)
食事を終えてホールにでると賑やかな園児の声が響いていた。
はやくも「ひな祭り」の催しをやっているらしい。
園児たちの声を聞きながら、
あー、もうすぐ春がやってくるんだな、と思った。
何だかんだで春を迎えるのはいつだって嬉しい。
北陸新幹線が開業して乗りに行ったよなー、
あれからもう1年か、早いなー。
高崎の友人の息子は無事に希望校に合格したよ、
なんていう喜ばしいメールも届いた。
そこまでは穏やかな気分でいたのだが、
さらに昨年の春の悪夢を思い出した。
花粉症である。
40年以上生きてきて、昨年初めて発症した。
それまではずっと他人事だった。
「花粉症の方って気の毒だなー」と。
くしゃみ鼻水、すべて無縁だったのだ。
そんな人間にいきなり襲いかかってきたのが「花粉症」だった。
さらに去年は春だけでなく、
夏場も「稲花粉」にやられてズタボロ状態だった。
せっかく春だと喜ばしい気分でいたのに、
何だか目の前が真っ暗になってきた、
そんな気がした。