北陸徘徊人(元)

富山、福井、石川を中心にゆるーい旅を満喫中

福鉄電車に乗って中華そばを食べに行く

先日、僕は連れと某県内を車で走っていた。

「腹減ったけど、この辺に何か店ないンかな」

運転しながら僕は言った。

 

助手席の連れはしばらくスマホをいじっていたが、

「ないなー、市内の方に行けばあるみたいやけど」

と言う。

 

「ま、コンビニでもえっか」

なんて言った矢先、

目の前にラーメン屋が現れた。

 

「ラーメンにすっか」

僕は言った。

「全然OK」

連れは言った。

 

お昼にはまだ早い時間だったけど、

駐車場にはずいぶん車が入っていたし、

店内も大勢のお客さんで賑わっていた。

店員さんも随分と活気がある。

 

僕はこの店いちばんのオススメやらを、

連れはつけ麺を注文した。

待っている間にもお客さんは続々入ってきて、

そのうち店の外にまで並び始めた。

 

「いいタイミングだったよな」

連れとそんな話しをしていた。

 

ほどなくしてラーメンとつけ麺が運ばれてきた。

あー、ウマそうだ。

いただきまーす!!!

 

で、一口食べた瞬間に?となった。

それは連れも同様だった。

 

もう一口食べて、???となった。

スープを飲んでみた。

?????????

 

恐ろしく、まずい。

いったいどうすればこんなまずくなるのだろう、

といいたくなる程に、まずい。

 

スープが臭い上に超濃厚。

この臭いスープがちょいと太めの麺によく絡む。

思わず、むせそうになる。

 

僕は周りを見渡した。

みんなフツーの顔をしてフツーに食べている。

恐らく、僕の口にたまたま合わなかっただけなんだろう。

 

いつもなら恐ろしい勢いで何でも食べる連れも

箸がとまった。

僕はつけ麺のスープを一口もらった。

こちらは笑えるほど生臭い。

 

僕と連れは結局食べきれずに店を出た。

店の前には大勢のお客さんが列をなしていた。

よく分からんが不思議な光景であった。

 

 

 

それがつい先日の出来事である。

以後、口直しでもないけれど、

うまいラーメンが食べたいな、とずっと思っていた。

 

無論、福井市内にも美味しいラーメン屋さんは多々あるが、

せっかく福井鉄道の回数券も買ったことだし、

昼食がてらテツ分の補給ができればまさに一石二鳥。

 

せっかくなら久しぶりに武生まで行こうと思った。

武生はラーメンではなく中華そばの聖地みたくなっている。

さらにどうせ行くなら、

いつもと違った車両に乗りたい。

 

福井鉄道は多種多様な車両が走るのが魅力であれど、

大多数はいわゆる路面電車型の車両である。

 

そんな中、異彩を放つのが鉄道型の車両で、

現役で走っているのは単行の600形が1編成、

2両連接の610形が1編成だけとなっている。

 

常日頃から観察していると、

600形は他の旧名鉄市内線からやってきた路面電車型の車両と入り混じって運用されているように思うが、

610形は主に越前武生〜田原町の急行によく使われている、

そんな気がしていた。

 

ああ、この610形の急行に乗ってみたい。

あの田園風景をかっ飛ばす感触を味わってみたい。

それは以前から考えていたことだった。

 

僕は市役所前駅に向かった。

市役所前駅のホームに上がると、

田原町発越前武生行きの普通列車が扉が閉じたところで、

これがよりによって鉄道型の600形だった。

 

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要するに福井駅で待っていれば鉄道型の車両に乗れたのだ。

「いや、俺は鉄道型の車両で急行運転を楽しみたいのだ」

そう自分に言い聞かす。

 

さあ、610形が来ますように!!

そう願っていたのだが、

やって来たのは単行の部分低床車800形だった。

「・・・」

 

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もう少し待てばさっき出て行った600形がヒゲ線を往復して現れるのは百も承知だが、

ここはおとなしく800形に乗ることにした。

800形の急行運転も考えてみれば初乗車であるし、

時刻も12時38分でいかんせん腹が減っている。

 

この800形、車内中央部の扉の部分が最も低く、

前後の運転台からは中央に向かってなだらかなスロープになっている。

その構造に合わせて集団見合い型に席が配置されているので、

僕みたいな挙動不審な人間はちょっと落ち着かない。

 

車端部だけ席が運転席側を向いているもので、

そこに陣取った。

車内には10人前後。

 

この車両が名鉄市内線で運行を開始したのは

2000年の12月であるらしいから、

車両そのものはまだ若く綺麗に保たれているし、

案外乗り心地もよく快適である。

 

880形や700形だと、

江端から浅水にかけての直線区間など

「もうちょっとゆっくり走った方が、、、」

と言いたくなるほど揺れるけど、

800形だとそこまで感じない。

 

それでも神明駅ですれ違った

田原町行きの急行が610形だったのは

やはり悔しい(笑)

 

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終点まで行っても良かったが、

国府駅で下車。

運転士に回数券を渡そうとして、

前面のガラスが濡れていることに気づいた。

 

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あれ、雨降るのって夕方からじゃなかったの、、、

飯食べてすぐ福井に戻る予定だったもんで、

僕は傘を持っていない(涙)

ま、ポツポツだし大丈夫か。

 

 

 

国府駅から中心部に向けて歩き始める。

 

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武生が何度訪れても魅力的な街に感じるのは

そこいら中に地元の方に愛される食堂があり、

昭和の時代から続いているような喫茶店や本屋、

電気屋さん、肉屋さんが今なお商売を続けていることか。

 

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そんな中に次々と神社やお寺が現れる。

人通りは少ないし、

観光客もほとんど見かけないが、

色んなお店から声が聞こえてくることもあってか、

街がちゃんと息をしてる気がする。

 

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いし川さんの閉店はつくづく残念。

昔から居心地のいい食堂って、

高齢の夫婦の方が2人でひっそりやってる店が多い。

 

(2016年7月に復活との情報を頂きました!!ありがとうございます!!)

 

僕の地元、赤穂の駅前にも、昔「美松」っていう、

500円で素晴らしい定食を食べさせてくれるお店があって、

そこも高齢の夫婦が2人でやっていた。

高校時代、たびたび通ったもので、

閉店した時は本当に泣けてきたものだ。

 

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今回おじゃましたのは「若竹食堂」さん。

平日の昼食時を過ぎた時間にも関わらず、

まだ何人もお客さんがおり、

常連さんらしき方と旦那さんが会話を楽しんでいる。

 

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席につき、迷うことなく「中華そば」600円を注文。

まわりを見渡せばみんな中華そばを食しているようだ。

そして、京都七福神の色紙もあった。

 

僕も先日参ってきたばかりで

何かご利益があったかと言えば、、、

毎晩酒飲んでるけど至って体調不良にもならず、

元気に生きてるのが何よりのご利益ですな(笑)

 

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待つこと数分で

「はい、中華そばお待たせ」

と中華そば大が運ばれてきた。

あれ?僕の滑舌が悪かったのかな。

 

まわりの丼と見比べてみても圧倒的に大きい。

40過ぎのオッサンに平らげられるであろうか、

そんなボリュームである。

 

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それにしても何て見事な黄金色のスープなんだろ。

一口すすれば、、、

 

うめーなー、

 

の一言しか出てこんわ。

思わずほっこり、うっとりしてしまった。

麺もすする。

もちっとしてて、黄金色のスープをよくまとう。

 

ぶっちゃけて言えば、

何の特徴もないンですよな。

具もチャーシュー、ハム、メンマ、ネギと至ってシンプル。

スープだって(たぶん)鶏ガラベースの醤油味という、

至ってシンプルなもの。

 

でも、そのシンプルな組み合わせが、

不思議なことに最上級を生み出す。

 

福井で中華そばの美味しさに目覚めて、

色んなお店を食べ歩くようになったけど、

中華そばとラーメンの違いって、

「味そのもの」で勝負してる=中華そば

「見た目と雰囲気」で勝負してる=ラーメン

そんな気がしてきた。

 

ラーメン屋さんって、今や無数にあるけど、

何処もかしこも凝り過ぎで、

さらに店員さんがやたらめったら元気がありすぎて、

僕みたいな徘徊中年には

さっぱり落ち着かない店が多い。

 

けど、

この若竹食堂さんにしろ、

武生で中華そばを提供する食堂の多くは、

店の方の人柄を感じることができるし、

総じて居心地がいい。

 

あたりまえのことなんだけど、

ちゃんと基本に沿った美味しいものを提供していれば、

どんなに場所が不便であれ、

お客さんは来るンだよな、と思う。

 

今回は大盛りでどうなるかと思ったけど、

最後の一滴まで美味しく頂けた。

ごちそうさまでした。

 

ちなみに大盛りは750円。

麺2玉くらい入ってるンじゃないかと思ったけど、

するするするーっと胃袋に収まった。

 

店を出ると少しずつ雨粒が大きくなってきた。

 

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本当ならもう少しのんびり武生の街を散策したいけど、

残念ながら手元に傘がない。

あと30分待てば610形の急行電車に乗れるのは分かっていたが、

おとなしくKi-boに乗って福井に帰った。

 

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