家からぶらぶら歩いて福井駅に到着したのは11時すぎ。
この日の天気予報はくもり時々雨。
でも、朝の天気予報では
「洗濯物は乾くでしょう」
なんて言ってたし、
ヤフーの天気予報もこんな↓だったから、
僕は傘ももたずに出てきた。
ところがハピリンやプリズムをうろうろしていると、
にわかに空が暗くなり、
突如として土砂降りの雨に。
何だかなー、てな気になる。
だいたい、
この日の僕の予定は連れと「野球」を見に行くのだ。
僕は空を見上げた。
雨は一向にやむ気配を見せない。
ただ、僕なんかはまだいい。
今回一緒に野球を見にいく連れは、
わざわざ野球をみるために富山からやって来るのだ。
11時半すぎ、
改札口に現れた連れは
「いつもは車で来るけど、福井まで高速で来て、中止になって帰ったことなんて何回もある」
と気にする様子もない。
「中止という連絡は入っていない」とのことで、
バスに乗って福井県営球場へ向かう。
球場の近くには、
以前から訪ねてみたかった食堂がある。
野球の開始時刻は13時であるし、
ちょうどいい。
バスを降りたころには雨もやんでいた。
そして目指した食堂は、
何故か閉まっていた。
「・・・」
仕方なく、渕町の交差点まで歩き、
角にあるお好み焼き屋さんに入ってビールで乾杯する。
平日の昼間から、
一緒に飲める連れがいるのは本当にありがたく、
かつ嬉しい。
福井には「福井ミラクルエレファンツ」という、
僕は以前から試合を見てみたい、
と考えていたけれど、
なかなか行く機会がなかった。
そんな矢先、
今回の連れから連絡があり、
「一緒に見に行かないか」なんて言う。
「サンダーバーズ(富山のチーム)と福井の試合か」
と尋ねたら、
「福島と福井だ」
なんて言う。
要するに彼は野球ファンであり、
サンダーバーズの熱心なファンでもあるのだが、
何よりBCリーグそのものを愛している訳である。
休みと日程があえば、
新潟や福島まで足を運ぶことも多々あるとのこと。
昼間っから生ビールを2杯飲んで店を出たら、
また雨が降り始めた。
酔っぱらいのオッサン2人は球場へ駆け込む。
それにしても球場なんて久しぶりだ。
前に行ったのは5年前だったか。
僕はからっきし運動が苦手な人間であるけど、
スポーツを観戦するのは好きで、
以前は高校野球にしろ、
プロ野球にしろ、
ボクシングにしろ、
シュートボクシングにしろ、
キックボクシングにしろ、
プロレスにしろ、
(野球と格闘技ばかりですな・笑)
以前は各地の球場や、
後楽園ホールなんかにも足を伸ばしていた。
しかしながらある日、はたと気づいた。
僕がわざわざ往復の交通費を使い、
チケット買って、
場合によっては宿泊を伴い、
そこまでして応援する選手なりチームは
100%負けるのである。
生まれて初めて野球観戦に行ったのは
確か小学校5年生、夏の甲子園だったけど、
僕が応援していた学校は、
桑田投手、清原選手を擁するPL学園にボロ負けした。
「今年の阪神タイガースは絶好調だ」
と甲子園にわざわざ行けばボロ負けする。
防衛を重ねていたボクシング王者の試合を見に行けば、
KO負けする。
キックボクシングも、
応援してる選手が「まさか」の判定負けであったりする。
BCリーグも、
僕が富山にいた頃、
通ってたジムにはサンダーバーズの選手の方がトレーニングをしており、
せっかくだし一度見に行こうと思って行ったら
やっぱり負けた。
僕は絶対に現地観戦をしてはならぬ、と心に決めた。
今回の対戦に関しては、
福島の球団にしても福井の球団にしても、
特に思い入れがある訳でもない。
どんな選手がいるのかも知らない。
色んな意味で気楽である。
要するに、野球を現地で観戦できればそれでいい。
本来は13時プレイボールであったものが、
雨でグラウンドが濡れたこともあり、
試合が始まったのは14時25分。
驚いたのは福島の先発投手が
以前に大リーグでも活躍した大家友和投手であったことだ。
さらに福島の監督はヤクルト、大リーグ、楽天で活躍した
岩村明憲氏であるという。
さらに佐藤貴規外野手って、
あの甲子園を沸かせた現・ヤクルト、佐藤由規投手の弟で、
実際にヤクルトでもプレーされていた方ではないか。
こんな方々のさい配なり、
プレーを生で見れるなんて、
これだけでも来た甲斐があったと思った。
ところが4回表が終了した時点で雨がひとくなり、
試合が中断。
しばらくすると雨もやみ、
選手、スタッフみんなでグラウンドの整備をし、
さあ、試合再開だ!
となった瞬間に土砂降りの雨。
しばらくすると主審がグラウンドにあらわれて、
試合の中止を告げた。
そして、球場を後にする頃、
雨はやんだ。
今回の富山の連れは「テツ仲間」でもある。
それこそ北海道から九州まで、
ただひたすら鉄道に乗りまくった。
そんな彼が「フェニックス田原町ライン」に乗りたい、
と来る前から言っていた。
「まだFukuramもKi-boも乗っていないし」
とのこと。
当初は試合開始時刻が13時であったもので、
楽勝であると思っていた。
バスで移動してベル前なり赤十字前から
フェニックス田原町ラインの電車に乗れば、
鉄道線〜軌道線、そして乗り入れという、
福井の鉄道の魅力を存分に楽しんでもらえる。
ところが最終的に試合が中止になったのは16時、
熱心なBCリーグファンである連れは
顔見知りも多く、
いろんな方に挨拶をして球場をでたのは16時30分をまわっていた。
こうなると
市役所前を16時51分に出る電車にも間に合わない。
だからといってその後は17時51分で
間が開きすぎる。
はて、どうするかとしばし悩み、
フェニックス田原町ラインの電車で市役所前へ、
さらに乗り継いで福井駅前へという、
いつもと逆のルートをたどることにした。
雨上がりの駅前周辺をぶらりとまわり、
駅に戻って
窓口で福井駅までの連絡乗車券を購入。
17時50分、
福井方面のホームには多くの学生の姿があったが、
電車が出発していくと、
ホームには僕と連れの2人、
男子高校生が1人だけ取り残された。
と、いうことは彼がフェニックス田原町ラインを有効活用している、
貴重な乗客の1人といえる。
何だか寂しいなあ、なんて思っていたら、
その後ちらほらと乗客が現れて、
最終的には低床ホームには10人前後の方がいた。
正直言って、
嬉しい意味で予想が外れた。
絶対数は少ないかもしれないけれど、
福井に生まれた新たなるルートを、
ちゃんと日常的に利用している方が存在するということだ。
これは何より喜ばしいできごとであった。
そして入線してきたのは、
Fukuramでもなく、KI-boでもなく、
770形だった。
「・・・」
駅前の居酒屋、「石田屋」さんに入ってビールで乾杯。
こちらのお店、
以前にランチで伺ったときも感じたが、
ご主人の人柄がにじみ出たような、
何とも居心地のいい店である。
カウンターに座ったもんで、
店員さんのやりとりや動きを見ていたが、
若い店員さんに指導するご主人の動作が非情にいい。
トマトの切り方ひとつにしても、
まずは店員さんにやらせてみる。
そこで「僕ならこうする」と手直しする。
若い店員さんも「あー、なるほど」てな具合で頷いている。
厚揚げの切り方、
キュウリの切り方、
盛り付け方、
まずはやらせてみてから手直しをする。
日頃から料理をやってる自分にしても、
参考になることが多々あった。
そして、
何とも居心地のいい空間で、
ついつい飲み過ぎたのはいつものこと。
実に味わい深いおでんを頂きつつ、
「前は揚げ物ばっかり食えたけど、この年になるとこういうのがいいな」
そんなことを言い出した連れに
激しく同意。
石田屋さんでは
シメに「おでんのつゆ」を出していただける。
これが何ともオツでほっこりする。
ごちそうさまでした。
店を出ることには再び土砂降りの雨に。
改札口まで連れを見送る。
「野球は中止になるし、Fukuramにも乗れないし」
連れが苦笑いを浮かべる。
「また福井に来いってことだ」
「まあ、そうゆうことか」
駅を出ると雨はやんでいた。
結局何ら目的を達成できなかった一日というのも、
ある意味僕達らしいよなと、
ついつい笑いそうになったが、
最終的に僕がスポーツを現地観戦するとろくなことがない、
そんな現実に気づいて背筋が寒くなった。