北陸徘徊人(元)

富山、福井、石川を中心にゆるーい旅を満喫中

福井の食堂と銭湯を徘徊する

昨年末、福井駅からもっとも近い銭湯だった松乃湯さんが、

ひっそりと閉業された。

平日の明るいうちからそこそこお客さんはいたような気もするし、

女将さんも「石けん貸してあげる」なんて言ってくれる気さくな方だったし、

何とも無念で残念であったりする。

 

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福井県浴場組合のサイトを確認すれば、

福井市内に13件の銭湯が掲載されているものの、

うち4件もの銭湯が昨年度中に閉店となっている。

 

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福井県浴場組合(福井県公衆浴場業生活衛生同業組合)

 

 

 

 

僕は銭湯との関わりはわりと長い。

 

初めて一人暮らしをしたのが

富山県の高岡という町で、

部屋に風呂がなかったもので、

いつも銭湯に通っていた。

 

二十数年前の高岡には、

そこいら中に銭湯が残っており、

名前はあまり覚えてないが、

今日は駅南の銭湯に行こう、

今日は駅前の銭湯に行こう、

と日替わりで色んな銭湯を楽しんでいた記憶がある。

 

富山で暮らし始めた頃も、

やはり最初は風呂無しの部屋で(笑)

近所の銭湯にいつもお世話になっていた。

そこはいつ行っても気の毒なほど空いていたが、

薪で沸かした風呂は恐ろしく温もって、

吹雪の中帰っても汗が引かなかったと記憶している。

 

その後、風呂付きの部屋に引っ越して、

久しぶりに訪れたらアパートになっていた。

 

富山の駅前にも数年前まで

観音湯っていう、

これぞ銭湯!!っていう歴史を感じる素晴らしい銭湯があり、

登山の帰りや、

駅前で飲むときは必ずひとっ風呂浴びてから出掛けていたが、

数年前、80年以上の歴史に幕を閉じた。

 

それでも、富山は何だかんだで銭湯文化が根強いのか、

富山県公衆浴場業生活衛生同業組合のサイトを確認すれば、

現在も74軒もの銭湯が所属しているという。

(うち何軒が営業しているかは確認していませんが)

福井県は上記のサイトだと上記のサイトに27軒掲載されているものの、

すでに6軒は閉店している。

 

そんなもので今日は昼飯がてら銭湯に行ってみることにした。

ここ数日はシャワーばかりだし、

たまには広い浴槽に浸かりたい。

 

最近、福井鉄道ばかり乗っているので、

今回はえちぜん鉄道の福井駅へ。

向かうは福大前西福井駅

 

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この駅から徒歩10分弱くらいのところに、

以前から気になっている定食屋があるのだ。

実はこれまでに4、5回訪れているのだが、

たまたまなのかいつも閉まっていた。

 

そのおかげでこの周辺にある素晴らしいお店をいくつか発見できた、

ともいえるのだが、

実際に閉店した可能性だってあるし、

今日駄目なら最後にしよう、

そんな思いでお店に向かう。

 

すると、

ついに「のれん」がかかっている!!!

こちらのお店、「乾徳亭」という。

 

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店構えは昭和だが、

店内はそれ以上に昭和で、かつ非常に狭い。

いかにも常連さんらしき方がサラダや冷奴をつまみつつ、

ビールをちびちび飲んでいる。

これもまた昭和らしいのだが、

この空間に何とも似つかわしくないのが

たぶん50インチ以上あるであろう巨大な液晶テレビ

 

ニコニコと愛想のいい奥さんが出てきて、

巨大なジョッキに入ったお茶を出してくれた。

このジョッキなら炭酸の入った茶色い液体が飲みたいところだが、

ま、気分だけでも味わうか。

 

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壁に掲げてあったメニューを眺める。

何とも面白いのが

麺とごはんの組み合わせが

800円、850円の「コース」となっていることだ。

 

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麺はラーメン、うどん、そばから。

ごはんは卵丼やカレーなどの組み合わせが800円、

カツ丼や親子丼の組み合わせが850円。

メインは「麺」のようでごはんは「ミニ」とのこと。

腹が減っていたので、

カツ丼とそばにした。

 

「カツ丼はソースと卵とじができますが」

さらにそばも温かいのかおろしそばを選べるとのこと。

カツは卵とじ、おろしそば、を注文。

 

しばらく待っていると、

奥さんがトレーを持って出てきた。

そこには丼がのっていなかったもので、

あ、隣の常連さんの注文かと思ったら、

何故か僕の目の前に置かれる。

 

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このコースの内容を見ると、

「サラダ」もつくらしい。

しかしながら一般的なお店のセットのサラダなど、

小鉢にちょびっと、程度のものではないか。

何じゃこりゃの量である。

おまけに冷奴までついている。

 

何だかこれにビールだけでも十分な気がしてきた。

 

そして、サラダと冷奴を食べ終えたころ、

今度はおろしそばが出てきた。

なるほど、「コース」と称している意味が分かる。

丼になみなみとそばが入っている。

 

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つるつるっとした、

何とも喉越しのよいそばだ。

つゆの味も自分にはちょうどいい。

うーむ、しかし結構な量であるな、

 

と食べていると、

「はい、お待たせしました」

と、とてもミニではない、

普通の丼に並々ともられたカツ丼が運ばれてきた。

「・・・」

 

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うーむ、40過ぎのおっさんに完食は厳しいかも、、、

ここまで歩いてくれば良かったとも思う。

 

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ところがこのカツ丼も案外上品な味で、

食べてしまえるものである。

小皿にたっぷりのったキュウリの漬物がまたウマイ。

無事に完食したが腹はパンパンである。

あー、苦しい、けど満足だわ。

 

850円の会計をすますと、

「この扉、開けにくいから」と、

最後までニコニコした奥さんが扉を開けて見送ってくれた。

こんな店、大好きだな。

今度は家から自転車で来るかな。

 

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花月橋通りをぶらぶら歩いて足羽山を目指す。

 

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足羽川を渡り、

公園通りを競輪場方面に向かった先に、

目的の銭湯「たきのゆ」さんはあった。

 

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こちらの銭湯がありがたいのは、

営業開始が早いということで、

平日だと13時から、

土日祝日だと7時から開いているとのこと。

 

www.huroya.com

受付も番台ではなくカウンター、

入浴料の支払いも券売機があるなど、

一見はほとんどスーパー銭湯といっていいレベル。

 

しかしながら中はしっかり銭湯の風情が残っており、

多くの人生の先輩方で賑わっていた。

 

ふと思ったけど、

スーパー銭湯と銭湯の最大の違いが、

各洗い場に洗面器と椅子がセットされているか、

されていないかってことなのかな。

整然と積まれた洗面器と椅子が美しい。

 

そして、

とにかく掃除が行き届いている、

そんな印象がある。

小さいながら露天風呂や、

子供用のプールまであった。

 

石鹸やシャンプーの備え付けはないけれど、

これで430円はやはりありがたい。

湯温もちょうどよく、

珍しく長湯してしまう。

 

あー、やっぱスーパー銭湯や温泉もいいけれど、

銭湯もやっぱりいいや。

 

そして風呂あがりにはこれですな。

 

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ええ、僕だって風呂あがりのビールを我慢できるンですよ。

たまには(笑)

 

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福井駅まではバスで帰ろうと思った。

「すまいるバス」で100円で帰れる方法もあったようだが、

それは後から気付いた話である。

 

この時は近くの京福のバス停で待っていた。

ここを走る路線は以前に球場へ行った時に利用した運動公園線で、

京福の路線バスのなかでは格段に本数が多い。

 

ところが待てどくらせど来ない。

そこで、あ、今日は休日ダイヤであったか、

なんてことに気づく。

この運動公園線、平日は20分間隔なのだが、

休日は30分間隔になるのだ。

 

うーむ、待ってるくらいなら歩くか、

と思って歩き出した瞬間、

僕の隣を福井駅行きのバスが通過していった。

「・・・」

 

どうも最近まともに時刻表も読めなくなってるみたいである。

結局家まで歩いて帰った僕はすっかり汗だくになり、

真っ先にシャワーを浴びた。

 

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