北陸徘徊人(元)

富山、福井、石川を中心にゆるーい旅を満喫中

福井路線バス放浪記 〜ワンダーランドと三国観光ホテルの畳風呂〜

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永平寺を出たバスはかつての京福永平寺線の線路跡を横目に見ながら、

淡々と山を下っていく。

相変わらず、何処のバス停にも待ち人の姿はない。

国道を外れて永平寺口駅に寄っても、誰もいない。

バス車内には僕を含めて3人のみ。

 

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こんな観光のかき入れ時なのに、

果たして平日などお客さんはいるのだろうか。

 

永平寺口駅の次に東古市という名のバス停がある。

京福時代の永平寺口駅は「東古市」という駅名だった。

何とも懐かしい気持ちになる。

 

無論、観光客を考慮しての駅名変更なんだろうけど、

個人的には本来の地名を大事にして欲しいな、とは思う。

駅前を安易に変えると案外観光客には分かりにくいものだ。

 

 

 

僕は若かりし頃、

富山地鉄立山駅前にあるとある家でお世話になっていたのだが、

駅前を散歩していると一台の車がやってきて、

「なあ、兄ちゃん、立山プリンスホテルって何処や」

と尋ねられたことがある。

 

立山プリンス?はて、、、てな感じである。

立山国際ホテルなら車で5分くらい。

ホテル立山ならアルペンルートの室堂だし、

はて立山プリンスホテルなんて何処だと思ったら、

何と長野県の大町温泉郷にあるのだった。

 

こんな冗談みたいな紛らわしい話が実際にあるのだ。

ちなみに立山駅はかつて「千寿ヶ原」と称していたし、

実際の住所地名も千寿ヶ原である。

何とも美しい響きのある地名があるし、

地元の方はみんな「せんじゅ」と呼んでいる。

 

今現在、電鉄富山駅立山駅の運賃は1200円だけど、

僕が高校生の頃は1010円だった。

せんじゅで1010円、とある意味とても分かりやすかった(笑)

 

さらに富山地鉄だと「有峰口」なんて駅があるけれど、

地元の方はみんな「小見(おみ)」って言っている。

実際、有峰の入り口にあたるのだが、

そもそも半年間くらい有峰は閉鎖されている。

 

東古市はどうなんだろ。

何とも心地いい響きの、素敵な地名であるように感じるのは僕だけか。

 

丸岡バスターミナルを過ぎても、

バス車内の乗客は3人のままだった。

僕を除いた2人は女性だったけど、

2人とも果たして何処まで行くのだろう。

 

そんな車内に賑わいが訪れたのは芦原温泉駅である。

若い女の子5人組と他にも何人か乗り込んできて、

車内は急激に賑やかしくなった。

 

「何、この整理券って。とらないといけないのー!?」

なんて言っている。

福井にいるから整理券なんて当たり前だと思っているけれど、

都市部の子たちなんて「何じゃこりゃ」の世界かもしれない(笑)

 

あわら湯のまち駅で賑やかな女の子たちは降りて行き、

似たような人数の乗客があった。

永平寺から乗ってきた女性2人もいつしかいなかった。

 

さて、というか、

僕は今回、このバスの終点にある三国観光ホテルで入浴するつもりでいた。

平日だと13:00〜23:00まで日帰り入浴を受け付けているのだが、

週末だと〜16:00までとなり、

さらにゴールデンウィークなどの繁忙期などは日帰り入浴をやっておらず、

これまでも行ってみたいと思いつつ、

なかなか伺う機会に恵まれない入浴施設のひとつだった。

 

この日は日曜日だったから16時までは入浴可。

まだ少し時間に余裕がある。

そう考えた僕は、途中下車してみることにした。

三国ボート場の先、

鴨ヶ池の案内放送が流れたところで降車ボタンを推す。

 

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あわら温泉から三国なり東尋坊なりへ車で向かうと、

誰もが思わず「?」となってしまう施設が右手に現れる。

それが「ワンダーランド」という名の遊園地である。

 

僕が北陸に来た頃はちゃんと遊具も動いていたし、

お客さんだっていた記憶がある。

しかし、すでに営業なんてしていないと思っていた。

実際に、以前訪ねた時は入り口にロープが掛けられていた。

 

ところが先日、某テレビ番組で営業中であることを知った。

さらに公式サイトも存在しており、

普通に営業しているかのような、

動画が流れていたりする。

wonderland.vc

ただ、このサイトにもあるのだが、

営業しているのはセグウェイとグラウンド・ゴルフだけ、とのこと。

セグウェイには未だに乗ったことがないし、

せっかくなので向かってみることにした。

 

場所はまさに鴨ヶ池バス停の目の前。

 

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駐車場には大阪ナンバーの車が1台。

入ろうか入るまいかで悩んでいる、

そんな様子だった。

 

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確かに一歩足を踏みいれるにはちょっと勇気が必要な気がする(笑)

 

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園内は廃墟、まさにそんな風情。

ほかに言葉が思いつかない。

 

 

 

平成19年の5月5日、

大阪のエキスポランドでジェットコースター事故が起きた。

その事故が要因で、エキスポランドは客足が遠のき閉園となった。

そしてまさにその日、

ここワンダーランドでもジェットコースターの事故が起きた。

 

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僕はその日からずっと閉園していると思っていたから、

平成25年に再びワンダーランドのジェットコースターで事故が起きた、

そんなニュースを聞いた時は

「まだやっていたのか」と正直言って驚いた。

 

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華やかな音楽が流れているわけでもない、

家族連れやカップルの姿があるわけでもない、

そもそも従業員らしき方すらいない。

いるのは僕ひとりだ。

 

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それこそ若かりし頃、

えらい雨模様の平日にエキスポランドに男ばっかり5人だかで行ったら、

びっくりするくらい空いていて、

ここぞとばかりにアトラクションを堪能した、

なんてことはあったけど、

このワンダーランドではそもそもアトラクションが動いていない。

 

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セグウェイの乗り場はあったけど、

やはり誰もいない。

 

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唯一まともに整備されているような気がしたのはグラウンド・ゴルフ場だったが、

やはり誰もいない。

脇にあった飲料水の自販機は作動していたから、

何らかの需要はあるのかもしれないが。

 

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僕は人混みも苦手だし、

観光地も人が多いだけでつい足が向かなくなるが、

誰もいないというのがこんな寂しいことだとは思わなかった。

その寂しさに耐え切れなくなって、

ワンダーランドを出た。

 

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バス停で待ちがてら車を観察していると、

やはり他県ナンバーの方は「何じゃこりゃ」てな感じで、

つい目が向いているのが分かる。

何台かの車が駐車場に入って行ったが、

誰ひとり車を降りた方はいなかった。

 

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再びバスに乗って三国観光ホテルを目指す。

海水浴場も越前松島水族館東尋坊も、

大賑わいだ。

このバスにも十数人乗っていたが、

東尋坊をすぎると、僕とあと1人だけになった。

 

以前、あわら温泉東尋坊を結ぶ路線は、

三国駅先回り」「水族館先回り」と、

ちょっと複雑な運行をしていたが、

今は「水族館先回り」だけになった。

 

そんなものでバスで三国に来ると、

ずいぶん遠くにきたような印象がある。

あわら湯のまち駅から三国駅までは半島をぐるりと回るから、

40分ほど時間がかかる。

無論、この区間はえちぜん鉄道が10分ほどで結んでいるから、

特に問題はない。

 

この日、帰路も乗客の様子を確認していたら、

ほとんどの乗客は東尋坊エリアのフリーきっぷを所持しているようだった。

 

いつも思うのだが、

福井県嶺北地方の観光地は、

えちぜん鉄道京福バスを組み合わせれば、

ほとんどの場所に案外スムーズに到達できる。

 

近々挑戦するつもりでいるが、

福井駅から大野に行って、勝山行って、永平寺行って、東尋坊行って、

福井駅に戻る、なんてこともできる。

 

京福さん、えち鉄さん、何卒手を組んだフリーきっぷの発売を(笑)

お二方が手を組んでいただければ、

福井県の旅の魅力は一気に向上します。

 

三国駅からは貸し切りとなって、三国観光ホテルに到着。

バスはそのまま芦原温泉駅行きとなって出発して行ったが、

なかなか運転手泣かせのダイヤであるような気がする。

 

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さて、初の三国観光ホテルでの入浴。

入浴料金は600円。

前述の通り日帰り入浴できない日もあるのでご確認ください。

www.mikuni-hotel.com

まずありがたいなと思ったのが、

受け付けでフェイスタオルが出てきたこと。

さらに浴室にはバスタオルや髭剃りまで置いてあった。

流石はホテルだわ。

これで600円なら十分すぎる価値がある。

 

内湯は八角形の浴槽が何とも特徴的で、

大きくとられた窓から、

たっぷり光が入って明るく、

何とも開放的だ。

 

そして、楽しみにしていたのが畳を敷いた風呂である。

風呂に畳、

何とも違和感のある光景なはずなのに、

何故かしっくりくる。

 

他に誰もいなかったので、

素っ裸のまま畳の上で大の字になってみた。

よくよく考えたら、

40年以上生きてるが、

畳の上で素っ裸で大の字になるなんて、

初めての体験である。

 

開け放した窓からは涼し気な風が入ってきて、

何とも心地よい。

クセになってしまいそうな体験であるが、

あまり人にみられたくない光景であるもので、

早々にやめておいた。

 

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入浴を終えて表に出たら、

一本早いバスに乗れるなと思った。

ちなみにこの時間、丸岡に行くバスはないもので、

今日はJRの芦原温泉駅まで行って駅前で晩飯でも食べて、

電車で帰るつもりでいる。

 

ところが待てども待てどもバスは来ない。

あれ、もう行っちゃったのかな?

なんて思う。

10分待てども来ない。

 

せっかく風呂に入ったばかりだというのに、

だらだら汗が流れだす。

ありゃ、時計狂ったか?

ああ、めちゃくちゃ喉が渇いた。

ビール飲みたい!!!!

 

仕方なく、

僕は三国駅へ歩いて向かうことにした。

坂道を下っていると、

遅れてきたバスが上がって行った。

バスはすぐに折り返し、

僕の隣を通過して行った。