北陸徘徊人

福井・石川・富山を中心にゆるーい旅を満喫中

福鉄電車で武生におろしそばを食べに行く 〜御清水庵と昆布のおにぎり〜

福井も連日の晴れ、かつ暑い日が続き、

暑さが苦手な僕の脳みそはすでに半分ばかし溶けたのか、

考えるという行為を忘れてしまったようで、

晩飯のメニューもさっぱり思い浮かばず、

2日に1度はそうめんばかり食べているような気がする。

 

その日は久々に一人で家にいて、

手元に1コマ残った18きっぷがあるにも関わらず、

「考える」ことを放棄した我が脳は

時刻表をめくるという行為も忘れている。

 

ただ、じっとしていても暑いことは暑いし、

それなりに腹も減ってくる。

とりあえず駅に向かえば何か思いつくかもしれない。

そう思って福井駅に向かった。

 

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福井駅前に着くとすでに身体は汗ばんでいた。

ちょうど緑のFUKURAMが入線してきた。

うむ、これに乗って武生に行くのもひとつの手かもしれぬ。

そう思ったが行き先は「田原町」とある。

 

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財布を確認したら、

まだ福井鉄道区間フリー回数券が残っていた。

よし、武生に行こう、ひとまず電車にさえ乗れば涼しい、

そう考えた。

 

日中の福井駅から越前武生に向かう福井鉄道の電車は、

毎時09分発、39分発の2本あり、いずれも各駅停車だ。

しかしながら5分ほど歩いた市役所前駅に出れば、

平日だと毎時08分発、38分発の急行電車がある。

 

このうち08分発がいわゆるフェニックス田原町ラインなる

えちぜん鉄道から乗り入れてくる電車で、

ほぼ「Ki-bo」なり「FUKURAM」といった

快適な新型の車両で武生へ向かうことができる。

 

そしてもう一方の土日休日運休となる38分発の急行は、

田原町〜越前武生間の福武線内のみの運行で

従来の路面電車タイプの車両か、

大型の鉄道型車両が入っていることが多いのは

以前に記した通りである。

 

この大型の鉄道車両に乗りたくて、

僕はこの38分発の急行列車でたびたび武生に行っているのだが、

見事にふられてばかりいるのは過去にも書いた通りだ。

時刻は10時25分。

今日こそは、そんな思いで電車通りを市役所前駅に向かった。

 

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大名町の交差点の手前で、

前武生行きの普通列車がヒゲ線に入ってくるのが見えた。

そしてこれが800形という車両である。

この800形は2編成しか在籍していない。

そして、この車両はかなりの確率で線内急行の運用に入っている。

 

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これは鉄道型車両で武生に行けるのではないか、

そう考えただけでワクワクしてきて、

地下道を経由して市役所前のホームに立った。

 

しかしながらやって来たのは大型の鉄道型車両(600形または610形)ではなく

やはり800形だった。

最近、武生に行くときはいつもこの車両のような気がする。

もはや鉄道型車両に嫌われている、というよりは

この車両に好かれているのだ、そう思うことにした。

 

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稲刈りの始まった田んぼを眺めつつ、

武生に行って何を食べようかと考える。

武生といえば自分の中ではすっかり食堂めぐりにはまっているのだが、

何故かこの日は定食や中華そばに惹かれなかった。

 

そして武生といえば、、、

「そば」があるではないか!!

そういや駅の近くにずいぶん賑わっているそば屋がある。

あの店に行こう。

 

さらに、福井鉄道の線内急行は運用が2本あればいいから、

もう一方が鉄道型車両である可能性は非常に高い。

行きに乗れなくても帰りに乗れればいい。

 

そんなもので神明駅ですれ違った車両を確認したら、

この日はなぜか路面電車型の車両だった。

「・・・」

 

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急行電車は越前武生駅に着いたが、

構内に600形の姿はあれど、

610形の姿は見当たらない。

北府駅の車庫にでも入っているのだろうか。

 

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前武生駅からJR武生駅方面に、

アルプラザのわきを真っ直ぐ進む。

JR武生駅を過ぎて銀座通りと交わった先に、

正面に以前から気になっていたそば屋「御清水庵」さんがある。

 

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店構えは昭和だが、

店内は清掃が行き届き、かつ何ともモダンな感じがする。

メニューは基本的に「そば」のみで、

ためらうことなく「おろしそば・大」(750円)を注文。

 

ただ、「そば」だけでは足りないかな、

なんて考えていたら、

メニューに「おにぎり」(100円)なんてのもある。

そしてこの「おにぎり」が海苔を巻いたものか、

昆布を巻いたものかを選べる、とのこと。

 

まず思ったのが

「福井でも昆布を巻いたおにぎりがあるンだ」

と、いうことか。

せっかくなどで「昆布おにぎり」も注文した。

 

待っていると中高年の男女3人ずつ、

計6人のグループが入ってきて、

静かだった店内が急に賑やかになった。

 

女性の1人が「おろしそばでいいかな」なんて言うと、

男性が

「こういうとこのおろしそばって物足りないンだよ、大にしとけ」

なんて言っている。

 

ずいぶん失礼な言い方のような気もしたが、

その気持ちは分かるような気もする。

現に僕もためらいなく大を注文しているし(笑)

 

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ほどなくして運ばれてきたそばの美しいこと!!

薬味のネギの色も鮮やかだ。

「どうやって食べるのが正しいンですか?」

僕は店員の女性に聞いてみた。

 

「お好みです。お好きなように召し上がってください」

彼女はニッコリ笑った。

遠慮せず、出汁も薬味もぶっかけた。

見た感じ、かなり濃い目の出汁だ。

思い切ってズルリと食す。

 

「キーン」ときた。

久々に、大根おろしの「辛味」が効いたそばを食したような気がする。

もちっとした噛みごたえのあるそばに、

この「辛味」が絶妙に「絡む」。

どうこう言わぬ。

ただ箸がとまらない。

 

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そして、おにぎり。

「あー、懐かしいよな」

そんな思いでほおばれば、

長年過ごした富山の景色がよみがえる。

 

とろろ昆布を巻いたおにぎりというのは、

富山においてはわりと日常的に食べられる。

そして僕は富山で暮らし始めたころ、

このとろろ昆布を巻いたおにぎりが大の苦手だった(笑)

 

僕は富山で暮らし始めた18の頃、

驚いた4つの食べ物がある。

 

1つはブラックラーメン、

1つはいかの黒作り,

1つは結婚式の引出物の巨大かまぼこ、

もう1つがこのとろろ昆布を巻いたおにぎりだった。

 

初めて食べたのは山小屋開きの時だったと思う。

5月の連休前、朝から雪の残る林道を4時間近く歩き、

「とりあえず昼飯にするか」

とオーナーの奥さんが持たせてくれた弁当を開いた。

 

すると出てきたのがこの「とろろ昆布」を巻いたおにぎりだったのだ。

おにぎり=海苔、

とろろ昆布なんてうどんの具としか考えていなかった僕には

あまりにも衝撃的なビジュアルだった。

 

無論、驚いているのは自分だけで、

先輩方はあたりまえのように食している。

恐る恐る食べてみたのだが、

うまいことはうまいのだが、

喉の奥の水分を昆布が吸い取って行くような気がして、

非常に喉が乾くのだ。

 

海苔のおにぎりが食べたいよー、

と泣きそうになった。

 

だが、外作業の時に奥さんが作ってくれるおにぎりというのは

常にこの昆布のおにぎりだった。

そのうちよそのお宅にもおじゃまするようになって、

昆布のおにぎりが富山では日常であることを知った。

 

そして慣れというのは不思議なもので、

とろろ昆布のおにぎりに慣れると、

今度は「海苔」だと物足りなくなってくる。

 

富山で暮らしていると、

香典返しなどにほぼ「昆布」がついてきて、

一人暮らしの我が家にも常に昆布が常備されていることになり、

その結果、あたりまえのように自分でも昆布のおにぎりを作っていたが、

富山を離れてからは昆布が日常生活から遠ざかった、

そんな思いもある。

 

そして、こんな懐かしくなるおにぎりが、

「御清水庵」さんではわずか100円で頂けるのだ。

ラーメン屋でライスを食べれば普通に200円、

コンビニでおにぎりを食べても120円くらいするのが当然のこのご時世に。

 

そばにもおにぎりにもすっかり満足していると、

今度は小さなお皿が出てきた。

サービスの「きびだんご」とのこと。

これがまだ「あたたかく」かつ「柔らかい」。

 

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わざわざ武生まで出てきてよかったと思う。

すっかり満足して「御清水庵」さんを後にした。

 

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せっかくだし、

もう少し武生でゆっくりしていっても良かったのだが、

あまりにも暑かったので総社大神宮だけお参りして越前武生駅へ。

FUKURAMに揺られて福井へ帰った。

 

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時間もあるし、床屋にでも寄って帰ろうと思った。

夏も終わりかけだが、

バッサリ切ることにした。

 

店員さんも「相当短くなりますけどいいンですか」なんて言う。

ま、短い方が抜け毛も白髪も気にならぬ。

 

気づけば坊主の一歩手前くらいになっていた。

うーむ、短くしすぎたか。

でもすっきり。いい気分だ。

 

缶酎ハイを飲みながら晩飯を作っていたら、

帰宅した相方は「何、その頭」といって絶句した。

「すっきりしていいだろ」と言ってみたが

相方は腫れ物を触るような目をして、何も言わない。

 

僕らは会話もなく晩飯を食べた。

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