日曜日の天気予報は曇り時々雨だった。
ここ数日の福井の天気はどうも不安定で、
雨が降れば一時的にありえんほどの土砂降りになるし、
日中も晴れていたと思ったら気づけば雨が降っていた、
なんてこともあった。
ただ、一雨降るごとに確実に秋が近づいてきている、
そんな気はする。
夕暮れ時など、半袖でいれば肌寒く感じるほどだ。
日曜日もまた、すっきりしない朝だった。
珍しく家にいる相方に
「なあ、ボルガライスでも食べに武生でも行かないか」
僕は言った。
「わざわざ武生まで行かなくても近くにある」
と何とも愛想のない返事。
ま、実際、うちの近所のお店でも出していて、
これが案外ウマイ(笑)
「武生まで行って食べるからこそウマイのではないか」
僕は行った。
「なら車で行く?」
「武生なら電車で行きたい」
「なら行かない」
朝からそんな実に面倒くさいやりとりがあり、
結局相方が行きたいと言った
ちょいと小洒落た店でランチをすることになった。
自分ひとりだと
まず行かないような類の店である。
いわゆる定食屋やラーメン屋が最も居心地がいい人間にしてみれば、
席についただけで落ち着かないし、
カタカナばかりのメニューを眺めていると、
それだけで具合が悪くなりそうだった。
別にそれで喧嘩になった訳ではない。
夕方、相方は友達と食事に行くと出て行った。
それに合わせて僕も家を出た。
↑ハピリンで何があった訳でなく、
消防関係のイベントです。
ハピリン前のチケットセンターで、
「福鉄の一日券ください」と言ったら、
「今からですか」とお姉さんが笑う。
越前武生までの片道運賃は400円、
福鉄の休日フリー切符は550円だから、
往復するだけでも充分元はとれる。
先日に引き続き武生に向かっているのは、
「洋食のいし川」さんが復活した!!
そんな情報を頂いたからだ。
ここ数日、いてもたってもいられなかった。
そんなもので昼間に伺おうと思ったのが叶わなかったのは
前述の通りであったりする。
駅前で電車を待っているより、
市役所前駅に出た方が武生に早く着けるもので、
市役所前駅をめざす。
ハピリンができて、
週末ごとにイベントをやってくれているから、
少なくとも週末に関しては確実に人が増えている印象がある。
そして、西武がある電車通りは確実に賑やかになった。
にもかかわらず
かつてすまいるバスのターミナルが目の前にあった
ミスタードーナツは来月に閉店するとのこと。
また、駅前大通りもバス停の移転に伴い
客足が大幅に減少した、と福井のニュースでやっていた。
市役所前のホームには、
日曜の夕方にも関わらず、10人前後のお客さんの姿があった。
田原町方面に目をやると、
ずいぶん遠くに「Ki-bo」の姿が見える。
小学生くらいの男の子がその姿を見つけ、
「やった!Ki-boだ!!4回目だ」
と喜んでいる。
若いお母さんは「え、どこ?」なんて言っていたが。
フェニックス田原町ライン、越前武生行きの急行電車は、
市役所前に着いた時点でそこそこ乗っていた。
福井鉄道の電車が賑わっているのはいつだって嬉しい光景である。
急行電車はそこそこの乗車率を維持したまま越前市内へ。
終点まで行くかどうかは悩ましい点であったが、
北府駅で下車する。
「Ki-bo」が4回目の男の子も下車していった。
武生の街も夕暮れ時はすっかり秋モード。
ぶらぶら歩いていても何とも心地よい。
今後は徘徊も夜にした方がいいのかもしれぬ。
そして、ほどなく「いし川」さんへ。
ああ、今日は回転灯が回っている。
この時点で17時前だった。
きっと、まだ空いてるはず、、、
と思って扉に手をかけたら何だか中が騒がしい。
中は男衆でごった返していた。
奥さんが申し訳無さそうな顔をして出てきた。
「団体さんが来てね、ごはんが全部なくなっちゃって、今これからまた炊くところなの」
「・・・」
「本当にごめんなさい。せっかく来てもらったのに」
「いやいや、また来ますンで」
「あ、お兄ちゃん、ちょっと待ってて」
奥さんは店の中に入ると、
「せっかく来てもらったのに、ごめんね」と
缶入りの烏龍茶を出してくれた。
「お元気そうで何よりです」
僕は言った。
「ま、歳だからね」
奥さんは笑った。
僕みたいな若造が言うのも何だけど、
本当に笑顔が素敵な奥さんだ。
忙しそうなので引き留める訳にもいかない。
「また来ます」
僕は言って店を後にした。
さて、どうしよ、てな感じである。
ここ数日、いし川さんに行こう、とばかり考えていたもので、
代案をまったく考えていなかった。
せっかく武生まで来たもので、
他にも幾つか気になる店もあるし、
と寄ってみたのだが、
いずれも「準備中」の札が掛かっていた。
「・・・」
西鯖江に戻って、
以前から気になっている食堂に行こうか、
そんなことも考えた。
JRの武生駅まで出てきた。
するとそこにも「ボルガライス」の文字が。
武生駅の目の前に店を構える「大江戸」さんも
ボルガライスを出していることは以前から存じてはいたが、
駅に近すぎることによりこれまでお邪魔したことがなかったお店である。
やはり今日はボルガライスを食べに来たのだ、
そう思ってお店ののれんをくぐった。
店内はテーブル席が中心で広い。
メニューを出してくれたお姉さんに
迷うことなく「ボルガライス」を注文する。
奥の座敷には家族連れの姿があり、
待っている間にも
地元の方とおぼしき1人客が適度な間を置いて入ってくる。
定食から中華そば、麺類に寿司まで何でもあるみたいだし、
何よりJRの改札口からなら1分あれば着きそうだし、
地元の方には重宝されそうな店であると察する。
相方と来てもメニューで揉めずに済みそうだ(笑)
ボルガライスの定義は以下のサイトに詳しく述べられているが、
僕は基本的にオムライス+とんかつ+ソースであると考えている。
ちなみにこの「北陸徘徊人」の一番最初の記事は
約2年前に訪れた武生であり、
そこで食したのはヨコガワ支店さんのボルガライス。
大江戸さんのボルガライスはまず、
デミグラスソースがたっぷりかかっているのが印象的。
店構えはおもいっきり「和」のテイストなのに、
オニオンリングが添えられていたりと、
何とも見た感じは「カフェ」っぽい。
たっぷりデミグラスソースがかかっているぶん、
中のケチャップライスは薄めだ。
スプーンでカツと卵とソースをまとめて頬張れば、
おー、こりゃいけるわ(笑)
ソースがたっぷりなのも嬉しい。
また、大江戸さんでは食後のコーヒーもセルフで頂ける。
ごちそうさまでした。
それにしても、
武生は「食」を通じた町おこしに長けていると思う。
越前そばも、中華そばも、ボルガライスも、
福井市内でも美味しい店はあるけれど、
武生の街で食べるからこそいっそう旨さがますような気がするし、
そのために僕は福井市内から電車に乗って来ている(笑)
イメージというか印象って、
ほんと大事なことですわな。
今回いし川さんには伺えなかったけど、
そのおかげで大江戸さんのボルガライスに巡り会えた。
しかしながら再開したいし川さんに伺えなかったのは事実である。
まだしばらく僕の武生詣では続きそうな気がする。