福井駅前に着いたのは12時20分すぎだった。
とりあえず昼飯を食べに行こうと思う。
今日は福井市でも色々と店が立ち並ぶ
二の宮と呼ばれるあたりに向かうことだけは決めてあった。
最寄り駅はえちぜん鉄道のまつもと町屋駅、西別院駅、田原町駅で、
どこから歩いても大差なさそうであったが、
西別院駅はまだ乗降したことがなかったもので、
窓口で西別院駅までのきっぷを買った。
三国港行きの電車に乗ってもなお、
目指す店を決められずにいた。
候補は2店舗。
ひとつは福井の方に評判のいい「とんかつ屋」さん。
先週、連れが「今日はとんかつな気分だ」などと言いだし、
「おー、それはいい、俺もとんかつな気分だ」と行ったら
中途半端な時間で中休みの時間だった。
なら別の店に行くのかと思ったら、
「やっぱ今日は焼肉の気分だ」と言い出して、
結局焼肉に変更になっていた。
それからずっと、脳裏に「とんかつ」がぐるぐるとまわっていた。
そんなもので今日は「とんかつ」を食べに行くつもりだったのだが、
このお店の近所に、以前徘徊した時にみつけていた、
何とも哀愁漂う食堂があるのだった。
その食堂の向かいには「天下一品」という、
僕が若かりし頃から愛してやまないラーメン屋があり、
富山にはなかったもんで(今はある)、
福井に来た時にはたびたび訪れていたにも関わらず、
先日までその存在に気づかなかった食堂であった。
そんなもので朝から気分は「とんかつ」だったにも関わらず、
何ともその食堂にも行きたい思いで揺れているのだった。
西別院駅で下車。
こういった住宅街の真ん中にある、
行き違いのできる駅って何だか心惹かれるのよな(笑)
二の宮地区を目指して歩く。
何だかんだでもうすぐ10月。
半袖だと心なしか肌寒い。
途中に分岐点。しばし悩んで食堂に向かうことにした。
もし休みならとんかつにしよう。
大宮の交差点を巨大な歩道橋で渡る。
今現在、福井には「イオン」が存在しないのだが、
現在「ゲンキー」というドラッグストアがある場所に、
かつてはジャスコがキーテナントになっていた「ピア」という
ショッピングセンターがあったとのこと。
閉店時にはかなりうだうだしていたことは、
当時の福井新聞をたどれば何となく分かるし、
そりゃ、今、イオンが来ないのも納得しちゃうけど(笑)
それもまた福井っぽいよなー、とも思う。
ときや食堂さんは、
そんなかつてのショッピングセンターがあった目と鼻の先、
天下一品の向かい、
8番ラーメンの真横にあった。
店内はこじんまりとしており、
たくさんの「おかもち」が並んでいる、
というより雑然と積み上げられていた。
僕が知ってる「昭和」なんて、
せいぜい中学生の頃までだけど、
けど、間違いなく「ときや食堂」さんは、
僕の記憶にある「昭和」そのものだった。
「平成」を感じるのは小さな液晶テレビだけだ。
白衣を着たおんちゃんに、
ラーメンと焼き飯のセットを注文。
奥さんらしき方が「暑くないか」と扇風機をまわしてくれる。
以前、武生の森林食堂さんに伺った時は、
「親戚のおばちゃんとこに来たみたい」と思ったが、
ときや食堂さんはまさに「じいちゃん家」てな感じか。
ほどなくしてラーメンと焼き飯のセットが登場。
「見た目」も何だか昭和、そのもののような気がする。
ラーメンは「あっさり」ではなく、
醤油と胡椒がわりとガツッと効いている。
最近、中華そば名乗るものを食する機会が多かったから、
ラーメンといえば、これぞラーメンって感じ。
焼き飯は今時のパラリと仕上がった「チャーハン」ではなく、
これぞ「焼き飯」だよなてな感じの王道を行ってる感じ。
ハムや卵といった具材がたっぷり入っているのも嬉しい。
何なんだろ、この懐かしさ。
勘定をお願いすると、
奥さんが「お冷や、もうよろしいでしょうか」と言い、
厨房から出てきた旦那さんも同じことを言ってくれた。
ごちそうさまでした。
帰路は田原町駅を目指した。
フェニクス田原町ラインが開業した頃は
たびたび乗降していた駅ではあったが、
最近はすっかりご無沙汰している。
そんなもので帰路は福井鉄道で(笑)
ちょうどえちぜん鉄道のホームに電車が到着。
幼い男の子を連れた母親が降りてくる。
FUKURAMを見て喜ぶ子供に、
「良かったなあ、かっこいい奴が停まってて」と、
えち鉄の若い駅員が笑っている。
久しぶりの福鉄電車だったし、
帰ったところで別に誰もいないもので
福井駅を通り過ぎで結局足羽山公園口まで乗ってしまった。
20分以上乗っているのに運賃は160円のまま。
すっかり福井のお気に入りスポットと化している
毛谷黒龍神社神社をお参り。
はて、お酒も最近休んでるし、
今日は何をお願いするべか。
ここ「くろたつさん」にお参りするようになってから、
という訳でもないのだろうけど、
ここ数年のことを思い出してみれば、
格段に「いいこと」があったとも思えぬが、
「悪いこと」も特になかったような気がする。
何だかんだで数年前までは、
身体のあちこちに支障をきたし、
マッサージや接骨院、病院に四六時中通っていた。
休みなんて上記3つのほぼいずれかに行っていたと思う。
今現在、完全に病院がご無沙汰という訳でもないが、
日々健康で過ごせるというのは何ともありがたいことだな、
とは改めて感じる点だ。
これも「くろたつさん」効果だと勝手に思っている。
さ、あと願うべきは、
煩悩の塊みたいなことを願ってしまったので、
ここでは改めて書けない(汗)
僕はぶらぶら歩いて福井駅に戻った。