福井にしろ富山にしろだけど、
冬が来たなア、と思える光景は
融雪の点検があちこちで始まることで、
空は晴れてるのに道路はびしょびしょで、
路肩を歩けば車に水を引っかけられ、
全身ずぶ濡れになる、
なんてことも起きたりする。
そんなもので徘徊を趣味とする人間にしてみれば、
どうにもこうにも街を歩きづらい季節、
とも言える。
だからと言って歩かずにいると、
僕の場合は途端に体調が悪くなる。
さらに腹まわりも中年っぽくなってしまう。
現実だから仕方ないのだけれど。
この日は決して「いい」天気とは言い難く
いつ空が泣き出してもおかしくなさげではあったけど、
この先天気を気にしていると
まったく外にでれなくなってしまうので、
とりあえず飯でも食いに行くべと家を出た。
今月は鯖江の「マーシン」さんに伺った時も、
「味見屋」さんに伺った時も、
ずっと「カツカレー」という注文を耳にしており、
この日は朝から気分は「カツカレー」だった。
カツカレーと言えば、
でもないが、
ここ数回食べ損ねているお店が福井市内にもある。
リベンジの意味もこめて再度伺ってみることにした。
目指すは県営球場のある「社」なる地区で、
前回同様に足羽山を超えて行こうと思う。
しばらくご無沙汰しているもので、
黒龍神社から登るつもりで、
福井駅から
公園口まで電車を使うつもりでいたが
この時点で9時50分。
次の電車は10時08分。
福井鉄道の売上に協力したいところであるが、
20分近く待つのも何だかなーてな気分である。
福井駅から公園口まで電車に乗ると所要時間10分なのだが、
まっすぐ公園口まで歩いても10分あれば着くのよな(笑)
福井鉄道さんごめんなさい、
そんな気持ちで公園口まで歩き、
さらに毛谷黒龍神社へ向かった。
「来年も美味しいお酒が飲めますように、、、、」
毛谷黒龍神社で参拝してから、
足羽山へと足を進める。
紅葉はすでに終わりを迎えつつあるが、
葉が落ちた分だけ視界はいい。
平日のスッキリしない天気ではあったが、
足羽山は多くの方々が散策を楽しまれていた。
すれ違うたびに「おはようございます」
そんなあいさつが交わされるのも心地よい。
しばし歩いて動物園へ。
週末はそこそこ賑わっているが、
冬も近い平日とあってか園内は閑散としていた。
何だか動物たちもヒマそうだった。
足羽山を下り、
車道に出た頃には既に腹が減っていた。
この日は目覚めた時から「カツカレー」な気分だったもので、
朝飯もかなり抑えていた。
てなもんで腹は素直に「グーグー」と鳴っている。
途中で非常に魅力的な洋食屋さんを
見つけた。
「カレー食べ放題」なんて書いてある。
非常に心ひかれたが、
今日は目的の店があるのだとぐっと我慢してひたすら歩く。
あれ、こんなに遠かったっけ?と思いつつ、、、
運動公園のすぐ隣の住宅街の中に、
目指す「やまだ食堂」さんはあった。
この時点で11時20分すぎであったが、
のれんがかかっておりホッとする。
扉を開けると、
目の前に病院の診察室みたいな仕切りがあり、
その奥には一昔前の社員食堂を思わせるような
空間が広がっていた。
先客は男性の3人グループ。
ニコニコと愛想のいい奥さんに、
メニューを見ることもなくカツカレーを注文。
ご主人の趣味なのか、
壁には多くの山の写真や手形?が飾られていた。
その後入ってきた男性客もカツカレーを注文。
先客も3人のうち2人はカツカレーだったようである。
さて、やまだ食堂さんのカツカレーとはいかがなものか、
何せ我が家から2時間近く歩いてきたもので、
空腹感は極限に達していた。
ほどなくカツカレーが登場。
無論下調べしてきていたから分かってはいたが、
皿を埋め尽くすほどにたっぷりかかったルーが嬉しい。
カツなんて完全にルーの下に隠れている。
こんな豪快にルーがかかったカレーなんて、
なかなかお見受けしないような気がする。
具は玉ねぎがたっぷり入っており、
その甘さがルーのスパイシーさを一層引き立てている。
カツも案外食べごたえがあるもので、
手にしたスプーンが止まらない。
後から入ってきたお客さんのもとにもカレーが届き、
店内はカレーの香りで満たされていた。
この状況下で入店すれば、
やっぱりカレーを注文しちゃうだろうな、と思う。
ぺろりとたいらげたら奥さんが
「ちょっと待ってて」と
アイスコーヒーを出してくれた。
こういうのって妙に嬉しいのよな(笑)
ごちそうさまでした。
やまだ食堂さんの目の前にはバス停があり、
どちらの方角も福井駅行きで
平日ならそれぞれ20分間隔で運転されている。
ただ、この周辺はどちらのバスも似たような時刻となっており、
ベル前経由の便が出発した直後の次は
道守高校経由の便まで15分ほど待ち時間があった。
バス停でじっと待っていると、
せっかくカレーであったまった身体が冷え切ってしまいそうである。
天気予報だといつ雨が降ってもおかしくない、
そんな感じであったが幸いにもまだ降り出す気配はない。
まあ、普段から京福バスにはお世話になってるし、
やっぱり今日は福井鉄道の売上に協力しよう。
そう考えた僕は赤十字前駅まで、
40分ほどかけて歩き、
15分ほど電車に揺られて福井駅に帰った。