武生からはオレンジのフクラムで帰路につく。
ki-boとフクラムを乗り比べてみると、
内装は派手さがないぶん、
フクラムの方が洗練されてる、
そんな気がする。
何せ、40過ぎのオジサンにki-boは可愛すぎるのよな(汗)
最初はこのまま田原町へ行き、
えちぜん鉄道に乗り継いで、
極楽湯でビールでも飲むかと考えていたが、
珍しく今日は共通のフリーきっぷを持っているもので、
三国まで風呂に入りに行くことにした。
今年の3月、
まだフェニックス田原町ラインが開業する前、
武生の湯楽里に送迎バスを使って行ったのだけれど、
その時、年配のご婦人が運転手さんとこんな会話をしていた。
「ねえねえ、運転手さん、今度あわらの方まで直接行けるようになるんやってね。楽しみやね」
送迎バスの運転手さんは福井鉄道の方である。
「いや、直接は行かないんじゃないかな。どっか途中までだったと思うけど」
「え、直接行けないの?」
ご婦人はひどく悲しげな顔をしていた。
武生からあわら温泉は距離にすると40キロほどだが、
車をもたぬ世代には案外行きづらいのかな、
そう感じた事例がもう一回あった。
以前にJR芦原温泉駅から福井に帰ろうとした時、
かなり年配のご夫婦と駅でお話する機会があったのだが、
このご夫婦が武生の方だったようで、
ずいぶん不安そうなのである。
「なあなあ、お兄ちゃん、武生行くにはここで待ってりゃいいのか」
と言われ、
「そうですね、あとは福井で乗り換えですね」
「来る特は息子につれてきてもらったんだけど、大変だな。バス乗って、電車乗って、また乗り換えか」
このときは芦原温泉始発の電車に乗ったのだが、
足も不自由な様子で、
電車に乗り込むのもやっとこさ、
そんな感じだった。
福井駅の乗り継ぎはホームをまたぐことが大半なので、
「次の電車までご一緒します」と言ったら
「助かるわー」と言われ、
いろいろお話しながら福井駅に着いたら、
このときは幸いにも対面乗り継ぎができたもので、
敦賀行きの電車の車内まで案内して、
お別れした。
福井鉄道の沿線には、
案外温泉施設というか、
一日すごせる施設が少なくて、
だからこそ送迎バスが出ている武生の湯楽里や、
平日の日中なんかも思いのほか多くの年配の方がいる、
それは日頃から思っている点だ。
実際のところはよく分からぬが、
福鉄沿線に在住で、
日頃湯楽里や神明苑で過ごされてる年配の方は、
電車1本で行けるならあわら温泉にも行きたいと考えているのではなかろうか。
そんなことを考えているうちに
フクラムは市役所前駅に到着した。
車内にいた大半のお客さんが下車して、
乗っているのは僕を含めて2人のみ。
仁愛女子高校前から1人乗ってきたが、
田原町からの乗車はなく、
福大前西福井で2人下車してゆき、
その先は貸し切りとなった。
いつも残念に思うのは、
この乗り入れ区間におけるお客さんの少なさだ。
昔、地元の山陽電車の特急が阪急六甲や、
阪神大石まで走っていたことを思い出す。
山陽が六甲や大石まで乗り入れていたのだが、
いつも三宮から先なんてガラガラだった記憶しかない。
鷲塚針原駅に着いたのは定刻の14時09分。
武生からなら55分でここまで1本で来れる。
次の三国港行きは14時30分発で、20分ほど時間がある。
ちなみに鷲塚針原〜あわら湯のまち駅の所要時間は
普通列車で19分と案外近い。
ちなみに乗ってきたフクラムは、40分ほど停車して、
14時49分発の越前武生行きとなる。
鷲塚針原駅周辺をぶらぶら歩いて時間をつぶし、
14時30分発の三国港行きに乗り継いだら、
1両編成とはいえ、
席のほとんどが埋まる盛況ぶりだった。
列車はあわら湯のまち駅に到着。
ここで下車する方も多いのだが、
ここで乗ってくる方も案外多い、
それはいつも感じること。
三国で大半の客は下車して、
14時58分、電車は三国港駅に到着した。
一日2回も三国港に来たなんて初めてだ(笑)
駅前から5分も歩けば三国温泉ゆあぽーとに到着。
恐ろしく温まる湯にしばし浸かれば
なかなか汗も引くことがなく、
仕方なく2階のスナックコーナーに上がって
ビールとポテトのセットにチキンを注文。
しばし待って出てきたビールセットは、
想像以上にポテトが山盛りになっており、
こんなんじゃ1杯で終わるわけないではないかと思う。
休憩室の一画で、
おそらく地元の年配の方々に交じってビールをぐびり。
ほんとよく出来てるダイヤだよなーというのは、
実際に乗ってみても時刻表を眺めても
つくづく関心してしまう点だ。
福井鉄道の場合は大半が単線で、
併用軌道もあって、
ヒゲ線があって、
それに急行列車まである。
普通列車がヒゲ線に入ってる間に、
上り、下り、ともに急行列車が追い抜きをする。
これが日中はきれいなパターンダイヤになっている。
三国港行き、勝山行きがそれぞれ30分毎に走り、
福井口駅で双方の列車が乗り継げるよう考慮されている。
ダイヤとしてはかなり完成度が高い中に、
福井鉄道の急行列車がフェニックス田原町ラインとして、
鷲塚針原駅まで乗り入れてくる、
そんな感じなのだが、
直通運転によってお客さんが激増したなんていうニュースを聞いても、
実際に乗ってみるとほんまかいな、
というのが実感。
通勤や通学には確実に便利になっているのだろうけど、
運転は朝と日中のみと言っていい。
http://www.fukutetsu.jp/pdf/souchoku-dia.pdf
フェニックス田原町ラインは紆余曲折を経て
現在に至っているのは日頃から福井新聞の縮刷版を読んでいると、
非常によく分かる点であり、
もうこれ以上のことはやらないだろう、
という前提で書くと、
願わくば三国芦原線内も急行列車として、
あわら湯のまち駅や三国まで乗り入れないかということか。
自分はどちらかと言えば、
相互直通運転をするよりはスムーズな乗り換えができた方がいい、
そんな考えの持ち主であるが、
せっかくそれなりのお金を投じて乗り入れをやったのだ。
現状はあまりにも「もったいない」
全駅に低床ホームを整備するわけではなく、
あくまで急行停車駅のみに限定して、、、
そうすれば武生や鯖江でクルマを持たぬ方にとっても
あわら温泉や三国がもっと身近な存在になるような気もする。
三国芦原線なんて会社の経営努力もあるのだろうけど、
日中も案外お客さんが乗っている、
そんな印象がある。
1時間に1本くらい急行があってもいいのではなかろうか、
そんな気もしなくもない。
西武百貨店や映画館のあるエリアって意外と離れており、
さらに福井県最大の歓楽街である片町も、
福井鉄道の市役所前駅なら目の前だ。
三国・あわらエリアから急行で直接行けるようになれば、
かなり利便性は向上する、
そんな気もするのだけど、、、
ま、しょせんは酔っぱらいの戯言ですが(笑)
すっかりいい気分になって、
三国温泉ゆあぽーとを後にした。
再び電車に揺られて福井へ帰る。
三国港駅を出た時点では空いていたが、
三国駅を出るころには車内はそこそこ埋まる。
鷲塚針原駅に緑のフクラムが停まっていたのを確認して、
あわてて下車。
出発直前に1人やってきて、
自分を含め2人で鷲塚針原駅を出発。
西福井までは乗客の姿もなく、
すっかり暗くなった福井市の郊外をフクラムは淡々と走る。
快適な車両だし、
このまま越前武生駅まで行ってやろうかとも考えたが、
風呂入って酒も飲んだ後だし、
おとなしく市役所前で下車して、
僕は家へ帰った。