僕は晩に「ご飯」を食べないもので
(酒飲むもんで・笑)
寝起きというのはほぼ空腹状態で、
昔っから朝ごはんだけはしっかり食べてきた。
もともと「ふりかけ」をかける習性もなく、
卵焼きと味噌汁さえあればいい、てな感じで
基本的に「ご飯の友」は必要としていなかったのだけれど、
以前にお土産でもらった
「ご飯のたれ」なる滋賀県の肉味噌みたいなのが
なかなか絶品で、
「うーむ、これがあれば朝から飯をおかわりしてしまう」
と、すっかり気にいって愛用していたが
先日、ついに空っぽになった。
それからスーパーに行くたびに
色々と「ご飯の友」になりそうなものを物色しているが、
どうにもこうにもなかなかピンとこない。
そんな矢先、テレビ番組で、
大野に「はまなみそ」なるものがあることを知った。
おお、これはなかなか良さげである。
そんなもので大野に行くことにした。
調べてみると福井市内でも売ってるみたいだけど、
大野で買うことに意義がある(笑)
日曜の朝、
どっかに出かける相方に福井駅まで送ってもらい、
チケットセンターで京福バスの一日券を買おうとして、
まず財布を忘れたことに気づく。
「・・・」
幸いにも小銭入れはあり、
前日にたまたま両替したこともあって、
500円玉ばかり3000円くらいはあった。
一日券を買ったので残金2000円。
ホッとしたのもつかの間、
天気予報では確実に「雨」となるはずで、
家を出た時点では「傘」を手にしていたはずだが、
どうやらクルマの中に忘れてきたようだ。
「・・・」
福井駅を出発した時点で、
大野行のバスの車内には10人ほどのお客さんがいた。
しばらく淡々と乗降もなく進み、
国道8号線のバイパスをくぐった先、
済生会病院で降車ボタンが押された。
そこで5人ほど下車し、
すっかり車内が寂しくなって
「出発します」と運転士のアナウンスが流れた瞬間、
僕の後ろの席に座っていたおばあちゃんが立ち上がる。
「ここは駅か」とおばあちゃん。
「大野駅はまだまだ先ですよ」と僕。
「私は福井駅に行きたいのだけど」とおばあちゃん。
おばあちゃん、乗ってきたのが福井駅だと思うのですが、、、
すったもんだがあった揚げ句、
おばあちゃんは結局済生会病院で降りていった。
すっかり寂しくなったバスは、
足羽川沿いの旧道を東に向けて走る。
降車ボタンがなることもなく、
どこのバス停にもお客さんの姿はない。
峠を超えて大野市に入った先のバス停でようやく1人乗車。
市街地に入った大野三番でバスを降りた。
福井市内もすっかり寒くなったが、
大野市内の寒さは一味違う。
福井市内から見える雪山は遠いが、
大野からだと目と鼻の先だ。
ダウンジャケットに首を埋めた。
大野の町を歩いていて楽しいのは、
店頭に掲げられた看板が
どこもわりと凝っているというか、
立派なものが多いということか。
寒いとつい下ばかり見てしまうけど、
大野だとつい上ばかり見上げてしまう。
ぶらぶら歩いて朝市へ。
お目当ての店は確か朝市の通りにあったはず、
としばらく歩いたが見当たらない。
この日は通りを往き来する観光客もまばらで、
朝市の奥様方も寒そうに首を埋めている。
そんな奥様方に、
地元のおじさんらしき方が、
「今年は年賀状出せないってハガキが18通来てさ」
なんて話しかけている。
「年末」が近いというよりは「年始」が近いのだな、
そんなことをぼんやり思う。
目当ての店が見当たらず、
引き返してバス通りを渡った先に、
「はまなみそ」ののぼりが立っていた。
「山元醤油醸造元」とある。
ガラス戸の先にはお目当ての「はまなみそ」が並んでいた。
その「はまなみそ」より注目してしまったのは
店内にある立派なタンクのようなもので
「できた醤油を入れておく樽です。ここで瓶詰めをします」
と奥さん。
ずらりとケースに入った醤油の「びん」が、
何とも懐かしい。
せっかくだし醤油も買い求めたいところであったが、
冷静に考えると自分で作る料理に
ほぼ醤油など使うことはない。
全部「めんつゆ」だ(笑)
それ以前に所持金が2000円しかない(涙)
「はまなみそ」を試食させて頂いた。
ごろりと入っているのは
「なす」や「大豆」で、
あー、こりゃ最高のご飯の友だわ、
そんな感じがする。
「田楽とかにも合いますよ」と奥さん。
なるほど、
というか、この日は朝から「おでん」を仕込んであった。
大根やこんにゃくに添えるとオツかもしれぬ。
隣に「なんばみそ」もあったもので、
小サイズを一つずつ買い求めた。
合わせて770円だったか、たぶんそれくらいの値段。
これで「ご飯の友」だけでなく
「酒の友」も買えたと思えば満足である。
残金は1000円ちょっと。
帰りのバスの乗車券はあるから、
後は昼飯だけ食べて帰ればいい。
店を出るとポツリ、ポツリと冷たいものが。
傘は持たぬが、
大野には市内各所に「置き傘」があり、
自由に返却できるのでそれを借りた。
さて、後は昼飯だ。
「みそ」つながりでもないが、
以前に大野を徘徊していて見つけたお店に行ってみることにした。
店頭に大きく「みそかつ」の文字があり、
大野で「みそかつ」かいな、
そんなことを思った記憶がある。
JR越前大野駅の前を通り過ぎ、
さらにその先へ。
上神明の五叉路を曲がった市街地の外れに
記憶にある「みそかつ」の看板が見えた。
「ときわ食堂」とある。
あれ、大野ってほかにも「ときわ食堂」があるような気がする。
店内はそのまんま「昭和」の世界そのもの。
外は寒いが店内にはブルーヒーターがでんとあり、
しみじみその暖かさが嬉しい。
ダウンジャケットを羽織ったおばちゃんに
「みそカツ定食」を注文した。
若い頃は「みそカツ」って苦手だったけど、
30過ぎてからめちゃくちゃハマったのよな(汗)
新聞を広げると、
勝山の山間では除雪車が出動なんて記事が出ていた。
その写真を見てると、
とても同一県内の光景には思えない。
12月に入ってもなお福井市内は雪とは無縁だけど、
ぜんぜん降らないなんて思ってると、
ちょっとした雪がドカ雪に思えてしまうから恐ろしい。
適度に降ってくれた方が、
除雪なんかで身体を動かせていいのだけど、と、
ゆるみつつある腹回りを感じつつ思う。
ほどなくしてみそカツ定食が登場。
本場の名古屋で食す「みそかつ」は、
どっぷり味噌ダレにカツが浸かっている、
そんな印象があるが、
味噌ソースが上品にかかっている、そんな感じ。
そしてこの味噌ソースが、
ぜんぜん甘くなく、
味噌そのものの「尖った」感じがそのまま残っており、
あ、こりゃこれで最高のご飯のおかずだな、てな感じで、
白いご飯がわしわしすすむ。
嬉しいのかカツにたっぷり野菜が添えられていたことと、
卵焼きと里芋の煮物という小鉢がついてたことで、
この二品がまたいい味付け。
卵焼きには海苔がかかっており、
最初は卵焼きに海苔?なんて思ったが、
卵カツ丼や卵ご飯に海苔は合うわけで、
当然のことながら何とも美味。
うーむ、白いご飯が足りぬぞ(笑)
ごちそうさまでした。
おばちゃんに1000円払って店を出た時間が、
ちょうど越前大野駅を福井行きのバスが出発した時間だった。
とはいえ残金が数百円となると
もはや何処にも行きようがない。
越前大野駅で傘を返却し、
暖房の効いた待合室で
ナンプレをしながら1時間近くを過ごす。
ところが悲しいほどに解けない。
年々脳みそが退化している、そんな気もする。
結局1問も解けぬままあっというまに時間は過ぎて、
再びバスに揺られて福井へと帰った。
福井駅前に着いたら、
案の定、雨が降り始めた。
追記
はまなみそ、おでんにもピッタリ、
ご飯の友にもピッタリでした。
こりゃまた太るわ(汗)