奈良への所用のついで、
でもないけれど、
比叡山坂本駅で途中下車。
僕が若い頃は「叡山」という駅名であったと記憶しているが、
何だか随分立派な駅名になったような気がする。
湖西道路の下をくぐり、
ケーブル方面のゆるやかな坂道を上っていくこと10分弱、
「湖都古都・おおつ1dayきっぷ」600円を購入。
ことこと、と読むのかな、
何となく洒落てるような気がしなくもない。
ホームには2両編成の電車が既に停車していた。
両手で足りるほどのお客さんを乗せて、
石山寺行きの電車は出発した。
僕はずっとこの路線名を、
石山坂ー本線(いしやまざか本線)だと思っていた。
何てことはなく、いしやま・さかもと線なんですな(汗)
電車は高台から大津市内を目指し、下っていく。
この日は平日の日中という、
何とも中途半端な時間であったが、
どの駅もそこそこお客さんがいる、
というのが率直な印象で、
滋賀里をすぎたあたりからは立ち客も現れた。
車内は寂しくなったが、
個人的に楽しみにしている区間はまさにこの先であるもので、
運転席の後ろに陣取る。
電車は左手にカーブする。
にわかに軒先が近づいてきて三井寺。
その先の線路はまさしく道路上。
どうしてこんなに併用軌道ってワクワクするのだろう(笑)
(画像は後から撮影したもの)
ちょっと一服してから再び石山寺行きの電車に乗る。
見習いだろうか、
若い運転士が先輩らしき運転士の傍らに立っており、
客室にも聞こえてくる指差呼称が何とも初々しい。
次の島ノ関駅には、
狭いホームにあふれんばかりの高校生の姿があり、
車内は急激に賑やかになった。
そして運転席の窓ガラスにはポツリポツリと雨粒が、、、
言うまでもなく僕は傘を持っていない。
終点の石山寺駅に着く頃には雨は本降りになっていた。
本来なら石山寺を参拝するつもりであったが、
看板を確認すると1キロほど先にあるようだった。
コンビニでもあれば傘を買おうと思ったが、
周囲を見渡してもそれらしき建物は見当たらない。
ま、いいや、飯にしよ(笑)
ここまでの道中で気になった店が2軒。
1軒は島ノ関駅手前で見えた「カツ」の文字。
1軒は膳所本町駅で見えた昔ながらの食堂。
ああ、どっちにしよう、、、、
調べてみると、
膳所本町駅前にある「美富士食堂」さんは、
滋賀県でも有数のデカ盛りの店であるそうだ。
しかしながら写真を拝見すると、
とてもではないが40過ぎの中年オヤジに完食できそうな量ではない。
島ノ関駅前にある「最後にカツ。」さんは、
トンカツの店かと思ったら、トンテキが名物らしい。
福井だとトンといえばカツだし、
長らくトンテキなんて食べていない。
よっしゃ、トンテキにするべ、と再び電車に乗り込んだ。
島ノ関駅で下車。
道路を挟んだ目の前にお店はある。
雨はしとしと降っていて、
何故か目の前にある信号はさっぱり変わらない。
入ると目の前に券売機があり、
迷うことなくとなく「伝説のトンテキ」を注文。
店員のお姉さんがめちゃくちゃ愛想よくて、
これだけで好感度がかなり増すし、
普段はおばちゃんがやってる店ばかり愛用してるから、
何だか新鮮に思えたりもする。
店内は非常に細長い作りで、
カウンターに座ると目の前に壁が来る。
奥の厨房からは何とも肉肉しい香りが漂ってくる。
ぐうう、と腹がなる。
隣に座ってた男性客のもとに、
巨大な肉が載ったカレーが運ばれてきた。
目の前が壁なものでついついちら見してしまったが、
これがまた空腹感を刺激するような
素敵な香りが漂ってくる。
ぐうううう、と腹がなる。
ほどなくしてトンテキが供された。
鉄板の上にキャベツがデン、
肉がデンと載っている。
これを白いご飯の上に乗せて食せば、、、
ああ、シアワセ、、、、
とにかく、
「俺は今、豚肉を食っているのだ」
そんな気にさせられる。
タレがもっとこってりしているのかと思ったが、
酸味の効いたあっさりしたもの。
だからこそ余計に肉の旨味が引き立つ。
肉の下にはモヤシが敷いてあり、
肉の旨味とタレを吸って、
これだけでも十分飯のおかずになりそうだった、
というより、なった。
添えられたスープも何とも優しい味でほっこりする。
ふう、食べた、食べた、満足だわ。
ごちそうさまでした。
今度はカレーも食べてみたい。
それにしても
夏に訪ねた彦根のスイスさんといい、
滋賀県の食べ物って自分にあってるような気がする。
ラーメンも来来亭、大好物だし(笑)
再び電車に乗って三井寺駅へ。
雨も落ち着いてきたので、
福井にしろ、富山にしろ、
確かに併用区間はあるのだが、
それでも線路と道路はそれなりに区別されている。
ところが石山坂本線の場合、
まさに道路と一体化している。
電車が道路の上を走っているのか、
クルマが線路の上を走っているのか、
もはや訳が分からなくなってくる。
浜大津駅まで戻ると、
いよいよ雨は本降りになってきた。
いろいろ見て回りたかったけど、
いかんせん雨にはかなわない。
まあ、また来い、つうことであろう。
「最後にカツ。」さんでカレーも食べたいし、
何だかんだ言っても滋賀県ならお隣さんである。
せっかくきっぷの有効範囲が御陵駅までだったので、
とりあえず御陵駅まで足を伸ばす。
御陵駅で引き返すと雨は完全にやんでいた。
何だか悔しかったので、
このまま浜大津まで行ってやろうかと思ったが、
僕が行った瞬間に雨が降り出しそうな気がしたし、
何よりこんな調子だといつまでたっても奈良に着けない(笑)
僕はおとなしく山科からJRに乗り継いで京都に出て、
奈良へと向かった。