土曜の夜、連絡をよこした相棒が
「明日は何をしているのだ」と言う。
「電車に乗ってぶらぶらしてる」と答えたら、
「好きやなー」と述べたのち、
「俺も行こうかな」なんていう。
先週一緒に出かけたばかりなのに何事だろう。
考えられることはパチンコが絶不調とか、
そんなことくらいしか思いつかない。
個人的には「パチンコ勝ったし飯でも行かないか」
なんて言ってもらえた方がありがたいのだが、
まあ、いい(笑)
「ちょっと山も登るし動きやすい格好で」
僕は言った。
福井の先輩ブロガーさんの記事を拝見していると、
時折出てくるのが城山(じょうやま)なる山である。
福井鉄道の電車に乗って武生方面に向かうと、
左手に文珠山が見えてくるのだけど、
その反対側、右手に見える山。
標高は202メートルの低山ではあるが、
山頂からの眺めはわりと良さげだ。
登山口からの所要時間も30分程度、なんていうのも、
すっかりなまりきった身体にはちょうどいい。
日頃は車ばっかり乗ってる相棒も、
ま、何とかなるだろう。
そんなこんなで迎えた日曜の朝、
僕と相棒は福井駅前にいた。
ハピリンのウェルカムセンターでフリーきっぷを購入し、
越前武生駅行きの普通電車に乗り込んだ。
この日もまた、電車通りでもイベントが行われるようだけど、
ヒゲ線は運休にならず何より。
浅水駅で下車。
ホームの案内板に城山は記載されているものの、
かなりざっくりしたイラストマップとなっていた。
先輩方の記事によると足羽高校のあたりが登山口だったはず、
そんな記憶を頼りにひとまず足羽高校を目指した。
足羽高校の脇を歩いていると、
一段高いグラウンドから、部活でもやっているのか、
高校生たちの元気な声が聞こえてくる。
すると目の前にサッカーボールが転がってきた。
見上げるとフェンス越しに高校生がこっちを見ている。
ここでボールを蹴り上げて返すことができれば、
なかなか絵になる光景であろうが、
僕はまるっきり球技が苦手だし、それは相棒も同様だった。
仕方ないのでボール持って斜面を駆け上がったら息があがる(涙)
ほどなく城山登山口の看板が現れた。
樹林帯に足を踏み入れると、
足元にシダが生い茂る、緑が深い光景が広がっていた。
心なしか、空気もひんやりとしている、
そんな気もしなくもない。
ぼちぼちと登っていく。
10分ほど歩くと、相棒が「休憩」と言った。
ちょっと先が思いやられる、そんな気もしなくもない。
「パチンコ行った方が良かったのではないのか」
僕が言ったら
「もう行かない」と言った。
ま、僕が年中タバコやめる、酒やめる、と口にするのと同様だろう(笑)
30分ほどで山頂へ。
「おお」と相棒が声を上げた。
残念ながら白山の辺りには雲がかかっていたが、
十分に満足できる眺望が広がっていた。
夏だなあ、なんてことを思う。
しばし景色を堪能したのち、山頂を後にする。
上りはくたばっていた相棒も、
下りは「あっという間だった」なんて言っている。
浅水駅に向かいながら、
「昼飯、どうする」と僕は問うた。
「何がある?」と相棒は言う。
「フリーきっぷあるから、どこでも何でも。福井戻ってもいいし、武生や鯖江行ってもいいし」
「福井帰ってきっぷの元とれるの?」と相棒。
それが、とれるのだな(笑)
福井鉄道はわりと極端な運賃設定になっており、
地方私鉄にしては割安かなと思えるレベル、
まだこれはいいとして、
田原町ー浅水は7.9キロしかないが320円もするのだった。
550円のフリーきっぷでも十分モトがとれてしまう。
「せっかくだし武生の方に行ってみようかな」
相棒は言った。
だいぶ「鉄ちゃん」化しつつあるのかもしれない(笑)
相棒がラーメンか冷やし中華なんていうもので、
武生まで行って中華そばでも食べるかと思ったが、
神明駅に着く手前で気分が変わった。
「寿司とラーメン食べに行こう。一度おぬしに食わしてやりたい」
神明駅から歩くこと10分少々。
久しぶりに丹波やさんにやってきた。
およそ1年ぶりの再訪。
また伺いたいと思っていたが、なかなか機会がなかった。
「うどんと寿司じゃなしにラーメンと寿司?」
メニューを眺めながら相棒は妙な顔をしたが、
まあいいから、いいからと寿司とラーメンのセットを注文する。
ほどなく寿司とラーメンのセットが運ばれてきた。
ラーメンなら、醤油などのスープの香りがするんだろうけど、
丹波やさんの場合は「出汁」の香りがする。
澄んだ「出汁」をすする。
旨い、ほかに言葉が思いつかない。
そして、妙にほっこりする。
年齢的なこともあるのだけど、
間違いなくこれまで食してきたラーメンの中でベスト3に入る一品、
(僕の独断と偏見だけど)だと思う。
寿司も、旨い。
無論、世の中にはお金さえだせば、
美味しいものなど多々あるけれど、
丹波やさんほど値段とボリューム、味に満足できるお店など、
なかなかないのではなかろうか。
相棒はペロリと寿司をたいらげ、
ラーメンも一滴残さず食べきった。
「ふだんはスープ残すんだけどな」
と、相棒は満足げな表情を浮かべている。
僕もまた同じ。
神明駅に戻り、その後の610形の様子が気になって、
北府駅まで向かうことにした。
果たしてまだあるのか、
もう姿を消しているのか、、、、
北府駅では「北府駅を愛する会」によるイベントが開催中。
以前、このイベントにお邪魔してからはや2年近くたっていた。
いやはや、時が経つのは早い。
そして、まだ610形はまだ変わらず留置線にいた。
もう予定は決まっているんだろうけど、
あえて知りたくもないような気もする。
いると思えばまた武生に来れるし、
いないと思えば武生も足が遠ざかっちゃうのかな。
しばし眺めて越前武生駅まで歩き、
この日の運行をもって
「冬眠」ならぬ「夏眠?」に入るレトラムに乗って福井駅に戻った。
初めてレトラムに乗った相棒が、
「この旗、ファミマみたい」と笑う。
なるほど(笑)
この日の駅前では「街フェス」なるイベントをやっていたが、
線路すれすれの所まで設置された露店が、
なかなか楽しげな光景をかもしだしていた。
タイの線路市場に見えなくも、、、、ない、、、(笑)
駅前は再開発を控え、
ドトールもスーパーも撤退してすっかり寂しくなったけど、
ヒゲ線も活かしつつこうしたイベントを定期的にやって、
賑わいを維持してほしいものだと思う。
露店をぶらついていると、
地場野菜の販売なども行われていた。
屋外で見る野菜って何でこんなに美味そうに見えるんだろう。
僕も相方もついついあれこれ買い求め、
両手に袋をぶら下げて家路についた。