北陸徘徊人(元)

富山、福井、石川を中心にゆるーい旅を満喫中

福井県内一筆書きの旅(前編)勝山の寿司屋でカラアゲを

どこかへ出かける際、

できることなら単に往復するよりは、

ぐるりと一周したいとは思う。

 

日頃から福井駅に行く時でも、

近所のスーパーやコンビニに行く時でも、

できるだけ行きと帰りで道を変えたりしているが、

福井県内を電車やバスで移動するとなれば、

フリーきっぷなどを利用している以上、

どうしても「往復」になってしまう。

 

しかしながら、えちぜん鉄道京福バスを組み合わせれば、

大野に行って勝山に行って、丸岡に行って、東尋坊に行って、

そんなことが一気に可能となる。

 

かねてからやってみたいとは思っていたが、

元々ケチな性分なもので、

2枚のフリーきっぷを買うという根性がなかなか沸かなかった。

 

今現在福井に住んでいるのだから、

別に無理して一気にまわる必要も、ない。

 

ただ、僕が福井に来てから、という視点でみると、

鉄道は着々と便利になっていきつつあるものの、

バスは確実に本数が減りつつある。

 

 

 

例えば僕が福井に来た当時、

福井駅三国駅を結ぶバスは2系統あったが、

いまや壊滅状態といっていい。

できるうちにやっておかなければ後悔するのではなかろうか、

そんな思いはあった。

 

同じ場所を辿らず、できるだけ一筆書きで、

そんなことを考えながら、

地図と時刻表を眺める作業は

何ともいえぬ至福の時間といえた。

 

そんでもってあれこれ考えつつ、

ついつい深酒をしてしまった僕は、

決行当日の朝、寝過ごした。

「・・・」

 

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午前9時50分の福井駅

乗車するのは10時05分発の大野線。

ハピリン前の広場ではスポーツカーやバイクなどを多数展示中。

こんなクルマが似合うオジサンになりたかったな(笑)

 

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バスの乗客は10人ほどか。

駅前大通りを西に向けて走ったバスは大名町交差点で左折、

幸橋の手前で再び左折してJRの高架下をくぐる。

国道8号線をアンダークロスする西方交差点から先が国道158号線

 

国道158号線は油坂峠を越えて岐阜県郡上市高山市

さらに安房峠を越えて長野県松本市へと続いている。

 

福井インターの手前で、

「小浜」の文字を掲げたヒッチハイカーの姿があった。

8号線沿いで敦賀あたりで区切った方がいいのかな、

なんてことも思ったけど、

ヒッチハイクをしたことないものでよく分からない。

ヒマで車に乗ってればいくらでも乗せてあげるんだけど(笑)

 

その昔敦賀に住んでた頃、

本町の商店街でギター弾いてた兄ちゃんがいて、

自転車で日本一周をしてるけど泊まるとこないとか言ってて、

確かその時僕は本町の秋吉でへべれけになるまで飲んだ後で、

調子こいて「ならウチに泊まっていけばいいよ」なんて恐らく言って、

朝起きたら見知らぬ兄ちゃんがいた、なんてことがあったけど、

あの兄ちゃんはその後どうしているのだろう。

ふとそんなことを思い出した。

 

バスの乗客の半数は済生会病院で下車。

その先は走れども走れども、降車ボタンが押されることもなく、

どのバス停にも乗客の姿はない。

 

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ようやく待ち人の姿があったのは、

大野市に入って最初のバス停だった。

 

本来なら、2本ほど早いバスに乗り、

大野の朝市や越前大野城を見に行くつもり、だった。

ところが寝過ごした以上、それはできない。

 

大野勝山線は平日なら8往復あれど、

週末は5往復しかない。

 

大野三番で下車。

時計を眺めれば時刻表通りの10時58分ピッタリ。

見事なものだと感心する。

 

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ベンチにはお年を召された婦人が2人。

雑誌を広げ、何か楽しげに話をしている。

 

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僕は立ったままバスが来るのを待っていたのだが、

婦人の1人が

「兄ちゃん、どこ行きのバス乗るんや」

と聴いてきて

「勝山です」と答えたら、

「あんた、この兄ちゃんと同じバスに乗ったらいいんよ。兄ちゃん、ちゃんとバス止めてな」と2人して笑う。 

 

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2分ほど遅れて勝山総合病院行きのバスがやってきた。

「バス、来ましたよ」

僕は言った。

 

 

 

車内には年配の方ばかり10人ほどいたか。

思ったより乗っている、そう思ったが、

大半は入浴施設のある「あっ宝んど」で下車していき、

勝山市内に入った時点で車内には僕を含め3人しかいなかった。

 

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たびたび訪れている勝山の町であるが、

クルマでもえちぜん鉄道でもなく、

京福のバスを乗り継いでやってきたとなれば、

何とも新鮮な気分にもなる。

 

勝山駅のひとつ手前、尊光寺前で下車。

適度に腹も減っていたもので、

ここいらで昼食にしておきたい。

 

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商店街を入ってすぐのところに、

以前から気になるお店があるのだった。

そのお店は、モダンな感じのするお寿司屋さんなんだけど、

ランチタイムに掲げられたボードを見れば、

なぜか「トンカツ定食」や「カラアゲ定食」があるのだった。

 

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勝山では「なごや」さんや「ゆかり」さんでカラアゲを食しているが、

カラアゲ好きな自分としては、

お寿司屋さんの「カラアゲ」っていうのに

非常に心惹かれるものがあった。

その名は与志美寿司さん。

 

重厚な扉を開けると、

その先には重厚なカウンター。

ふだんなかなかお邪魔することのない類のお店だなあ(汗)

 

お寿司屋さんなもので当然お寿司のランチもあったけど、

当初の予定通り「カラアゲ定食」を女将さんに注文。

メニューを眺めれば串揚げなどもあったから、

居酒屋的な使い方をされているのかもしれない。

 

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キリッとした白衣姿の旦那さんからサラダが供される。

カウンターの奥からパチパチパチと

鶏肉を揚げる音が聴こえる。

しばし待つと「から揚げ定食」が供された。

 

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まずはから揚げを一口。

下味は醤油ベースのしっかりしたもので、

肉汁の旨味が口いっぱいに広がる。

ああ、シアワセだなあ、、、、

 

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味噌汁も、小鉢の煮物も、お新香も、

すべてにおいていい塩梅。

 

テレビでは豪華寝台列車

トワイライトエクスプレス瑞風」の運行開始を伝えるニュースが流れていた。

それを見ていた女将さんが

「(お金を)持ってる人は持ってますね」と笑う。

「そうですね」と僕は応える。

 

福井にもつい数年前までトワイライトエクスプレスが走っていたンだよなー、

そんなことを思う。

トワイライトエクスプレスならちょっと頑張れば乗れるような気がしたが、

瑞風だとかなり頑張らないといけないよな、とも思う。

身も心も律して、あんな豪華列車が似合う親父になりたいものだ。

 

ちょっとリッチな気分になれる昼食を頂いて、

「与志美寿司」さんを後にした。

ごちそうさまでした。

 

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お店を出たのは12時10分。

勝山発の電車は日中は20分発と49分発となっている。

できれば20分発の電車に乗って永平寺口駅で下車、

丸岡方面へと向かうバスを待つ間に、

東古市の街を散策するつもりでいた。

 

ま、いっか、次の電車でも、とは思うものの、

せっかちな僕はどうしても急ぎ足になってしまう。

 

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九頭竜川を渡って勝山駅前のロータリーへ。

ちょうどその時踏切の警報音が鳴り響き、

20分発の福井行きの電車が、

目の前を走り去っていった。

 

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