北陸徘徊人

福井・石川・富山を中心にゆるーい旅を満喫中

武生・路地裏の中華そば

金沢在住の山小屋時代からの友人と飯を食う機会があり、

話は先の大雪の話となった。

彼は金沢市内といっても湯涌温泉に近い山沿いの集落に暮らしているのだが

市内で仕事を終えてやっとこさ帰宅したら、

集落から家までの細道が完全に雪で塞がれ、

これはまずいと必死に除雪し続けたらそのうち夜が明けて

結局家に入れないまま出勤したそうな。

 

「ま、下界にいると冬の次には確実に春だからいいや」

と友人は笑う。

僕らは冬場はスキー場、夏は山小屋にいたもので、

スキー場が終わって春の便りが聞こえてくると、

山に上がって再び雪の中である。

当時のことを思えば、どんな厳しい冬であろうと、

続いて春が訪れるというのはありがたいことだよな、としみじみ思う。

 

 

 

福井市内も朝方の冷え込みは厳しかれど、

日中は春を思わせるポカポカ陽気、そんな日が続いた。

市内のあちこちに雪は相変わらず残っているが、

鉄道やバスも通常運行に戻りつつある。

木曜日の夜に福鉄のツイッターを確認してみたら、

いつも通り「キーボ」や「フクラム」の運行予定が記されていた。

 

そんなこんなで迎えた金曜の朝、

この日の僕の予定は床屋に行くことだった。

年末に行ったっきりで髪はすでにボサボサ、

おまけに顔は雪焼けで真っ黒である。

春を迎える前にここいらでちょっとスッキリしておきたい。

 

さらにこの日は金曜日なので福鉄のフライデーパスも利用できる。

朝のうちに西山公園でも行って、動物でも眺めて、

床屋行って、昼飯でも食べて帰ってこよう、

そんな思いで家を出た。

 

すると家を出て間もなく雪が舞はじめ、

福井駅に着く頃にはしんしんと降り始めた。

「・・・」

 

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僕が乗車するつもりだったのは8時14分に福井駅を出る越前武生行きの急行である。

本来なら8時8分にはホームに入っているはずだが、

8時10分を過ぎても現れる気配がない。

8時14分を過ぎても現れない。

この時、ホームにいたのは中年の男性が1人と、

スーツ姿の男女、そして僕。

 

8時20分になってこんな放送が流れた。

「本日、停電の影響で電車が遅れております。恐れ入ります、福井駅で越前武生行きの電車をお待ちのお客様は市役所前駅までお越しください」

 

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通常、電車が遅れてもその場で待っていればいつか電車は現れるものであろうが、

福鉄のヒゲ線に関してはそういう訳には行かないらしい(涙)

スーツ姿の男女は早々に駅を出ていったが、

中年男性は放送が聞こえなかったようでベンチに座ったままでいる。

「停電で電車が来ないみたいです。市役所前に来てくださいって」

そう声をかけてみたら、

「もっと早く言ってほしいよね」と男性は寒そうな表情を浮かべて言った。

 

そんでもってぶらぶら歩いて市役所前駅へ。

さぞかし混乱しているかと思ったが、

そもそもお客さんの姿がほとんど見えない。

ホームにいた駅員(朝、夕にだけいる)が

「恐れ入ります。本日停電の影響で電車が遅れております。電車はまだ路面区間にも来ておりません。その電車が田原町で折り返して武生行きとなります。まだしばらくお時間かかる見込みです」と、ホームに客が現れるたびに繰り返している。

 

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仕事の方々は電車の利用を諦めたのか、

ホームに来ては姿を消していく。

女子高生の姿もあったが、いつしかいなくなった。

僕は別に「どうしても」といった用がある訳ではなかったもので、

しばらく様子見がてら待ってみることにした。

 

田原町行きの青のフクラムが姿を見せたのは8時58分。

学生で一杯である。

このまま田原町へと向かうのかと思っていたが、そうではなく、

律儀に方向転換してヒゲ線へと入っていった。

 

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続いて田原町行きの桜色のフクラムが姿を見せたのは9時8分。

この電車はヒゲ線に入ることなく田原町へ。

 

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9時13分、先程ヒゲ線に入っていった青色のフクラムが再び姿を見せた。

相変わらず学生で一杯である。

後から来た桜色のフクラムに先を越されたわけで、

中にいる学生たちが何だか気の毒になってくる。

 

田原町駅で折り返してきた桜色のフクラムがやってきたのは9時22分。

この時、市役所前駅の表示と案内は

福井駅経由、越前武生行きの電車が参ります」と繰り返していた。

ここで福井駅に戻るのもやりきれないなあ、と思う(笑)

 

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すると運転士はこんな放送を流した。

「この電車は9時9分、福井駅発、9時17分市役所前発の越前武生行きとなります。恐れ入りますが福井駅には参りません」

なかなか複雑なダイヤの苦労が浮かばれる案内ではある。

 

乗り合わせた女子高生たちは

「今日遅刻扱いになるって」そんな会話をしている。

 

市役所前駅を出た時点ではそこそこ天気は回復していたが、

鯖江市に入る頃にはどんどん薄暗くなってきて、

雨もまじり始めた。

この時点で西山公園に行く気力を失い、結局終点の越前武生まで行った。

 

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前武生に到着したのは10時13分。

僕は福井駅に8時過ぎにはいたので、ざっと2時間近く要したことになる。

比較しても仕方ないが福井駅を8時03分に出るサンダーバードは、

10時03分には大阪駅に着いている(笑)

 

それにしても10時すぎとは昼飯にも中途半端な時間である。

ただ、天気は再び回復してきたもので、

武生のまちなかでも、これまであまり足を踏み入れたことのないエリアを歩いてみることにした。

 

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JR武生駅の前を通り過ぎ、森林食堂さんがあるエリアへ。

その先は未踏の地であったもので、そのまま細い通りを進む。

すると「観音山・帆山寺」なる看板が現れた。

 

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一見、まちなかの何処にでもありそうなお寺、それが第一印象だったけど、

本堂に足を踏み入れると、予想外というか、涅槃像がいらっしゃる。

案内板によると、

「涅槃像は、お釈迦様の入滅の場面を尊像化したもので、お釈迦様は2月15日に入滅され、それを悲しむ仏弟子が背後に描かれています。像は江戸初期に松の芯で作ったと言われ、御丈2m50cmの国内でも非常に珍しく大きい御木像です。当山では毎月3月15日に月遅れで涅槃会を行なっています」

とある。

 

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さらに正面には「おびんずるさま」という撫で仏が。

身体の悪い部分と同じところを撫でると治る、か、、、

頭に、目に、肝臓に、、、、あとは至って健康体かな(笑)

何となく満たされた気分になって帆山寺を後にした。

 

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もうしばらく周辺を徘徊。

武生には多くの寺が存在するが、その大半は雪に埋もれたままだった。

 

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そのうち11時をまわり、駅前で飯でも食べて、

床屋に行こう、そんな気になってきた。

すると、思いもかけないところに食堂が現れた。

「よ志元本店」とある。

 

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店内に入ると4人掛けのテーブルが2つと、

L字型に配された小上がりに座卓が並んでいる。

ファンヒーターが2つフル稼働しており、しみじみ温かい。

愛想のいい旦那さんに「お昼限定の丼と麺(半分)」のセットを注文。

組み合わせは「卵カツ丼」と「中華そば」にした。

 

オリンピックをテレビで見ながらしばし待っていると、

「卵カツ丼」と「中華そば」が配された。

武生といえばやはり「中華そば」。

澄んだスープは、スープというより「出汁」といった方がしっくりくる、

何とも優しい味わい。

 

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そして「?」となったのは一見普通に見える「卵カツ丼」の方である。

あえて聞かなかったけど、

食してみるとかなり特徴のある「カツ丼」であると思われる。

好きか嫌いかと問われれば好きである。

もう一度来店した際に、今度は確認してみようと思う。

ごちそうさまでした。

 

店を出たところで、旦那さんのお父さんかな、

「ありがとうございました」と深々と頭を下げてくれた。

武生には何とも魅力的な食堂が、まだまだたくさん、ある。

 

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前武生駅まで戻り、

鷲塚針原行きの急行に乗り込んだ。

最近世話になっている床屋はえちぜん鉄道の日華化学前駅が最寄りなもので、

一本で行けるのがありがたい。

 

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床屋でスッキリして、日華化学前駅に戻ると、

ちょうど福井行きの電車が出発していったところだった。

じっと待っていても仕方ないし、

天気も良かったもので、ぶらぶら歩く。

 

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結局、田原町駅まで歩いてえちぜん鉄道で帰ることにした。 

新福井駅で下車。

えちぜん鉄道の新たな高架橋は雪に覆われており、除雪作業が進められていた。

 

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産経新聞の記事によると、高架化は6月24日に決まったとのこと。

北陸新幹線福井駅部(福井市)の高架を暫定利用しているえちぜん鉄道の線路が、6月24日に専用高架に切り替わる。始発から運行を開始。福井、福井新、福井口の3駅が開業する。松本通り(県道)の福井口踏切がなくなり、朝夕の交通混雑が緩和される。

切り替えに伴い、福井駅周辺整備鉄道高架化事業促進期成同盟会が記念式典開催を計画している。平成31年度までに高架下の東西の交差道路が11カ所増えて計19カ所になる。

えち鉄高架化工事は、県が進める福井駅付近連続立体交差事業の一環。勝山永平寺線約2.3キロと三国芦原線約0.7キロを高架化する。事業費約234億円。《産経新聞より》

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ようやく「仮住まい」を脱することができるえちぜん鉄道の変貌が、

今はただただ待ち遠しい。

 

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福井駅に戻ると、再び空はどんよりとした雲に覆われようとしていた。

雨に降られるのもかなわんし、と思い、バスで帰路につく。

途中で焼酎を切らしていることに気づき、手前のバス停で降りて、

いつものゲンキー(福井のドラッグストア)へ行った。

 

ゲンキーを出ると、ポツポツと雨が降り始めた。

傘をさそうと思ったが見当たらない。

あれ、、何処に忘れてきたのだ。

床屋かな、出た時はやたらと天気が良かったし。

 

ま、家まではわずかな距離だし、そう思って走り出したら、

雨がざんざんと降り始めた。

そして、家に着くなり雨はやんだ。