北陸徘徊人

福井・石川・富山を中心にゆるーい旅を満喫中

大井川鉄道井川線徘徊

富山を早朝に出発して延々と下道を車で走り、

静岡県浜松市のさわやか浜北店に到着したのは11時10分だった。

さわやかというのは「げんこつハンバーグ」が有名な、

静岡県内のみに31店舗を展開する炭焼きレストランだ。

 

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サイトを見ると、浜北店の営業時間は

11:00~23:00(オーダーストップ 22:30)
※土・日・祝・特別営業日(年末年始・GW・お盆等)は10:45に開店します

とあり、この日はお盆の特別営業日だった。

ということは開店して25分といったところか。

 

ところがすでに駐車場は満車。

相方だけ降ろしてしばらく待機して何とか入れたが、

待ち時間は75分とのこと。

 

店内で待っていた僕と相方の前にお嬢さん3人組。

賑やかにおしゃべりしており、

ま、別に気にもならなかったのだけど、

いきなり「福井って何処」なんて言い出したもので、

僕も相方も思わず耳がダンボになった。

 

「1人が上の方、上の方」とか言い出し、

「上って意味わからん」とか言い出し、

スマホを出して説明してやろうかとも思ったが、

そのうち番号呼ばれて中へ入っていった。

 

何故か「失礼な子たち」と相方が怒っている(笑)

 

結果的に2時間待って、

僕は5年だか6年だかぶり、

相方は初の「さわやかのげんこつハンバーグ」を頂いた。

いやはや、旨し。

 

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「お盆、どうする」と言い出したのは相方の方で、

でも例年最後まで休みが決まらないのも相方の方なもので、

ここ数年は別行動になっていた。

今年も直前まで休みが定まらず、

お盆に「明日から何処か行きたい」と言われても宿の確保など、

なかなか厳しいものがある。

 

まして今年は富山にいるもので、

青春18きっぷを買う気力すらわかない。

「毎日日帰り温泉でも行こう」と提案してみたが、

何だか不満気である。

すると、スマホをいじっていた相方が「これに乗りたい」と言い出した。

 

大井川鉄道機関車トーマスである。

「めちゃくちゃ人気があって取れない」と僕は言った。

すると何だか落ち込んだ様子であったので、

「ま、どうせ乗っちゃうと見れないわけだし、なら見に行くか、ついでにさわやかのハンバーグも食べに」

となって、掛川市内に宿を確保し、

冒頭の「さわやか」の話になる。

 

さわやか浜北店でげんこつハンバーグを堪能した後、

島田市にある大井川鉄道新金谷駅に向かった。

 

大井川鉄道のサイトによると、

きかんしゃトーマス号・ジェームス号の運転日に限り、車両工場見学ができるとある。

2018きかんしゃトーマス号 車両工場見学 | 大井川鐵道【公式】

料金は小学生以上が500円で缶バッジ付きとのこと。

これなら相方も満足できるのではないかと考えた次第。

 

新金谷駅は人、車、バスで溢れかえっていた。

駅舎前の時間貸し駐車場に何とか車を入れたところで

ちょうどトーマス号が千頭から帰ってきた。

改札口からどんどん人が流れ出てくる。

 

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団体の添乗員さんらしき方が

「転車台はこの先でーす。御覧頂いてからバスにご案内しまーす」

と叫んでいる。

転車台で何かあるのかと思い、ついていく。

するとすでに転車台の周りは大勢の家族連れで埋め尽くされていた。

 

すると「トーマス」が転車台に入ってきた。

そこいら中から歓声があがり、

シャッター音が響き渡る。

それをかき消す蒸気の音。

 

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以前から蒸気機関車って「生き物」みたいだなアと思っていたが、

顔が描かれることでさらに「生き物」に近づいたような気がする。

そして何より「これは凄い人気だなあ」というのが正直な感想。

1人でも多くの子が鉄道ファンになってくれますように、、、、

 

で、相方も満喫した様子であったので、

これはこれで良しとしよう。

 

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翌朝、車で直接大井川鉄道千頭駅へ向かった。

相方の希望である「さわやか」と「トーマス」は叶えたわけで、

次は僕の番。

僕の希望は「井川線」の乗車。

 

本当なら大井川本線とセットにしたいところだが、

平成26年春から本線の運行本数が激減してしまったもので

やむを得ず今回は井川線に集中する。

 

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僕自身、井川線を訪れたのは5回目(だったはず)だが、

井川まで往復したのは過去1度だけだ。

というのも井川線はこれまでも度重なる土砂災害に見舞われており、

区間運休と復旧を繰り返しているのだ。

 

今回は春の大雨による土砂崩れのため、

末端部の閑蔵〜井川駅間が運休とのこと。

窓口で井川線周遊きっぷ(1800円)を購入。

 

井川線のホームで待っていると、

こんな案内放送が流れた。

「9時12分発閑蔵ゆきは本日、8両編成で運転いたします。ホームには5両までの表示しかありませんが、ホームいっぱいの8両編成となります。慌てて並ばなくても大丈夫かと思います」

ホームにいた方から笑みが漏れた。

 

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8時30分、井川線の車両区がある川根両国から重連の機関車が到着。

ホームにスタッフ数人を降ろし、金谷方面にある引き上げ線へ。

重連の機関車はバックしてきて留置線上の客車5両を引っ張りだして

再び金谷方面へ行き、

客車5両+重連の機関車がホームに入線。

閑蔵方面の先頭は客車となるが、

こちらの車両は運転台が設けられた制御客車となっている。

 

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本来ならこれで乗車可能となるがこの日は違った。

今度は重連の機関車を切り離し、

1両が再び金谷方面へ。

留置線から3両の客車を引っ張り出して、

バックで客車5両+機関車の後ろに連結。

これで前から眺めれば、

客車5両+機関車+客車3両+機関車の堂々たる編成となった。

 

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井川線の客車に冷房などという今どきの設備は設けられていない。

扉もまた手動である。

車掌は扉が閉まっているか前から後ろまですべての車両を走って確認し、

ホイッスルを吹いて運転士に合図を送る。

ガクッと揺れて列車が動き出す。

開け放たれた窓から木々をなでた風が吹き込む。

「涼しいなあ」「気持ちいい」

車内のあちこちで声が上がる。

 

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井川線の車両区がある川根両国に到着。

下車する客も、乗車する客もいない。

しかし、車掌はすべての扉の確認を駆け足で行い、

運転士に発車合図を送る。

 

「車掌さん、大変やなあ」

僕らの席の後ろに座っていた御婦人が言う。

恐らく、日本で一番運動量の多い車掌は井川線の車掌であると僕は思う。

 

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井川線の車掌は扉の確認だけでなく、

検札に案内ととにかく忙しい。

車両同士の行き来ができないため、

駅を出発するたびに車両を移り、

その車両のマイクを使って全客車に案内し、

その車両の検札を行う。

 

フリーきっぷを働き者の車掌さんに見せると

「どちらまで行かれますか」

「尾盛まで」

車掌さんは「本当に何もないですがよろしいですか」と笑う。

 

千頭から約30分で奥泉に到着。

寸又峡温泉の宿泊客だろうか、

想像以上の乗車があり、各車両それなりに席は埋まったようだ。

8両編成も納得できる賑わいだ。

 

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アプトいちしろに到着。

この駅の標高は396メートル、

1.5キロ先にある次の長島ダム駅は標高485メートル。

この急勾配を克服するため、アプト式と呼ばれるラックレールが設置されている。

この特殊な設備に対応した重連電気機関車を編成の最後尾に連結。

この時点で、客車5両+機関車+客車3両+機関車+電気機関車2両という

長大な編成になった。

 

長島ダム電気機関車2両を切り離し、さらに奥へ進む。

 

トンネルを抜けると、長島ダムの建設に伴いできた接岨湖の上に出る。

「ただいま渡っておりますのはレインボーブリッジです。東京にも同じ名前の橋がありますが、完成はこちらの方が早く、、、」

 

奥大井湖上駅に到着。

ここで半数以上の客が下車したのではなかろうか。

 

接阻峡温泉に到着。

ここで後部3両+機関車を切り離す。

僕はこの時点まで、てっきり乗っている車両が閑蔵ですぐに折り返してくると思っていたもので、何もこんな面倒なことをしなくても、と考えていたのだけど、

よくよく時刻表を眺めてみると、

閑蔵に1編成留め置きしていることが分かった。

 

尾盛で下車。

僕らが乗っていた車両は短いホームにはかかっていなかった。

車掌さんが駆け寄ってきて、

「お時間までにこのペットのトイレみたいなホームでお待ち下さい。また、クマがでる可能性があります。その際はあちらの保線小屋の鍵はかかっておりませんのでご利用ください」

と言った。

なかなか楽しい車掌さんである。

 

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車両が閑蔵方面に去っていくと、どこからともなく水音だけが聞こえてくる。

相方はホームの残骸らしき場所でスマホをいじっている。

こんなところでも携帯は通じ、さらにポケモンができるそうな(笑)

 

僕は少し周辺を歩いてみる。

閑蔵方面は立入禁止、

千頭方面も立入禁止の標識。

盛駅周辺には民家も、駅に通じる公道も存在しない。

かつては井川ダムの建設関係者のための宿舎などがあったという。

 

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朽ちた廃屋の先に、幾つかの建物の残骸が見て取れた。

錆びたジュースの空き缶、一升瓶、洗濯機、

この地でかつては多くの人が生活していたのだ。

 

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千頭行きに乗車。

次の接阻峡温泉で先ほど切り離した3両+機関車を前よりに連結。

この時間はダイヤには含まれていないようで、

作業時間そのまま、8分ほど出発が遅れた。

 

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奥大井湖上で下車。

お盆で特別に配置されていた若い駅員さんに、

「今の列車が遅れたということは次の閑蔵行きも遅れますよね。閑蔵からバスに乗りたいのですが大丈夫でしょうか」と聞いてみた。

すると、若い駅員さんは

「大丈夫です。大井川鉄道はそんな薄情なことはしません。ご安心ください」

と笑った。

 

大井川鉄道の社員さんは総じて感じがいい。

 

再び閑蔵行きの列車に乗り、今度は閑蔵まで行く。

今回は行ったりきたりしているが、

千頭から閑蔵まで乗り通すと約1時間30分かかる。

 

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閑蔵に到着すると、

千頭までお帰りの列車はこちらです、バスご利用の方は左手へお進みください」

と係員が案内している。

坂道を少しくだったところに、千頭行きのバスが停車していた。

かなり年季の入った車両であるが、

車内はしっかりエアコンが効いている。

 

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閑蔵駅前を出たバスはわずか30分で千頭駅前に着いた。