北陸徘徊人(元)

富山、福井、石川を中心にゆるーい旅を満喫中

北陸おでかけパスの旅5 泊駅で何故か地鉄のことを考えた

足早に富山駅を堪能し、

続けて北へ向かうことにする。

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富山駅を9時35分に出る普通列車521系の2両編成。

あいかわらずJR時代のままの車両で、

まったくもって3セクを旅している気がしない。

 

車内は転換クロスシートに1人ずつ座っている程度。

土曜の午前中とはいえこれが地方の現実で、

閑散としている、そんな言葉がぴったりくる。

 

1年前の時刻表を見ると9時38分発直江津行きがあった。

推測すれば国鉄型の3両編成であったろうし、

恐らく「ガラガラ」であったと思われる。

 

ただ、すれ違う電車はかなり混んでいた。

果たして今日は富山で何かあるのだろうか。

 

 

 

9時44分、常願寺川を渡る。

立山連峰が美しい。

1ヶ月前、北陸新幹線の車内からこの景色を見たかったと思う。

 

水橋を出てしばらくすると、

右側に単線の線路が寄り添ってくる。

宇奈月温泉に向かう富山地方鉄道の本線だ。

地元では「地鉄(ちてつ)」の愛称で親しまれており、

この先の魚津(地鉄は新魚津)までほぼ平行する。

 

線路が並んですぐ、

地鉄には交換設備を有した駅がある。

中滑川で、かつてはJAの建物が一体化した

立派な駅ビルが建っていたが、

住宅を思わせるこぶりな駅舎に建て替えられていた。

 

9時51分、滑川着。

地鉄側にも駅があり、

かつては跨線橋で結ばれていたが

いつしかなくなっている。

 

ちなみに富山から滑川までの運賃であるが、

あいの風とやま鉄道は360円、

地鉄は610円であるから随分違う。

 

JR時代など310円であったからほぼ「倍」と言っていい。

さらにあいの風とやま鉄道は15分ほどで来たが、

地鉄普通列車だと40分前後かかる。

ただ、ICカード「ecomyca」を利用すれば510円。

 

地鉄を見ていると、

JRと区間が競合しようが「我関せず」そんな印象がある。

それでも案外、日中はおじいちゃん・おばあちゃんが乗っている。

 

これは恐らく63歳以上が利用できる

「ゴールドパス」の存在が大きいだろう。

1ヶ月7200円で地鉄電車・バスが乗り放題だ。

夫婦だとさらに安くて1人5100円となる。

 

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これが一般向けだと

電車だけに使える2日間フリーきっぷがあるが

4530円もする。

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未だ100キロ以上の路線を持ち、

地方民鉄の雄などと呼ばれたりもするが、

あまりにも高すぎて

地鉄は地元民にはなかなか乗れない電車とも言える(笑)

 

なお、年末年始には電車バスに7日間乗り放題で

2000円なんていう冗談みたいなきっぷもあった。

私はいつもそれで「乗り貯め」していた。

地鉄の旅は年末年始がオトクです。

  

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(画像はいずれも地鉄のサイトより)

 

左手にミラージュランドの観覧車が見えると、

地鉄の線路をオーバークロスする。

やがて魚津の市街地へ入ると、

地鉄もあいの風とやま鉄道も高架線となる。

 

高架線から見ると街は随分都会に見えるから不思議だ。

地鉄側には電鉄魚津という駅がある。

 

やがて地平におりて魚津に着く。

ここも昔はJRと地鉄のホームが直接跨線橋で結ばれていたが、

今は撤去されている。

 

魚津を出ると地鉄の線路といったん大きく離れ、

黒部を過ぎた先でほぼ直角に交差する。

地鉄にも電鉄黒部駅があるが、

1キロ程度はなれている。

 

さて、列車は10時16分に入善を出発した。

「次は終点の泊です。10時24分の到着です」

そんなアナウンスが流れ「ん?」となる。

 

「あれ、この区間、8分もかかったっけ?」

時刻表を見ればほぼ全ての列車が8分かかっている。

これに対し、泊から入善に向かう列車は5分。

 

これまで快調に走ってきたが、

入善を出てから妙にのんびり走っている。

そして泊駅手前で一時停止。

「信号待ちです。しばらくお待ち下さい」

そんな放送が流れる。

 

やがてゆっくり動き始めて10時24分、

列車は定刻に泊駅の2番線に到着した。 

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到着した列車の先に

「えちごトキメキ鉄道」の車両が止まっている。

要するに平面乗り換えが出来るということだ。

 

一見、乗客の利便性を考えれば

素晴らしいサービスのように思われた。

 

しかし前方に向かったのは5人程度だ。

他の乗客はみんな後方の跨線橋を渡っていく。

 

JR時代からこの「泊駅」は富山方向から

来た普通列車の半数程度が折り返す駅であったが、

新潟方面から来た列車はいずれも富山側に直通していた。

 

それが3セク化され、双方に折り返すとなれば、

2面3線ある広い駅にも関わらず、

双方の列車とも2番線に入らざるをえない訳だ。

 

平面乗り換えできるのはサービスでも何でもなく、

単にそうせざるを得なかっただけ、と言える。

 

おまけに同一線路上に車両が止まっている以上、

手前で一時停止しなければならないということか。

 

泊駅を利用する朝日町民にすれば何とも迷惑な話だ。

私なら毎日イライラしそうである(笑)

 

それに、だ。

恐らくこの駅にエレベーターが設置されることなどないであろうし、

富山に電車で出るにも帰ってくるにも糸魚川方面にしても

常に跨線橋の昇り降りが必要となる。

 

それも全部鉄道側の都合にすぎない。

 

そんな、高齢者に「やさしくない」鉄道が生き残れるものだろうか。

 

そうやって日中の利用者も減っていくのだろう。

JRから3セクになり、運賃も高くなり、サービスも低下する。

早くも将来が見えてきたような気がする。

 

そんなことを考えて気づいたことがある。

 

富山地鉄だ。

地鉄の駅で、ま、ホームとの段差程度は別にして、

絶対に階段を通らないといけない駅が

意外と少ないような気がする。

 

パッと思い浮かんだのは、

宇奈月温泉、新魚津、稲荷町くらいだ。

他の駅は構内踏切などで移動できるのではないか。

そう考えれば意外と「高齢者にやさしい」鉄道であるのかもしれない。

 

さて、泊駅で乗り継いだ車両はえちごトキメキ鉄道の車両である。

 

1両編成。

1両編成の電車なんて四国みたいだな、

と思ったが何とエンジン音がしている。

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まさかこの地でディーゼル車に乗る日が来るとは

思わなかった(笑)

 

車内は1−2の転換クロスシートが並んでいるが、

適度に席は埋まっていた。

 

まともに乗り継いだのは5人程度であったのに、

泊駅からの乗客なのか、

それとも1本手前の列車で来ていたのか、

まったくもって謎である。

 

さらに、だ。

通路を挟んだ隣の席にいた高齢の女性が、

何だか妙にそわそわしている。

 

そして立ち上がり、運転席へ。 

別に聞き耳を立てなくてもその会話内容は聞こえてきた。

 

その女性が手にしていたのは

恐らくデザインからしてIC乗車券、PASMOだ。

どうも魚津から乗って糸魚川まで行くようである。

 

運転士はあきらかに困惑していた。

そして糸魚川駅でどうこう、と言っている。

 

そりゃ「あいの風とやま鉄道」の中吊りは

ほぼICOCAの広告で占められていたのに、

乗り換えた車内でその広告が一切なくなれば

不安にもなるだろう。

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まさか先に感じてた不安な点を

いきなり目撃するとは思いもよらなかった(笑)

 

女性はなかなか納得しなかったようで、

席に戻ってきても一人でぶつぶつ文句を言っている。

 

10時30分、列車は1分遅れで泊駅を出発した。