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北陸徘徊人

福井・石川・富山を中心にゆるーい旅を満喫中

北陸おでかけパスの旅7 えちごトキメキ鉄道・筒石駅

えちごトキメキ鉄道・筒石駅に初めて降り立つ。

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私が小学生の頃に刊行された

小学館の「国鉄全線各駅停車」にはこのように記されている。

筒石の駅は、地下四〇メートルのところにある。

頸城トンネル(一一三五三メートル)のなかほどにある地下駅である。

筒石の集落から山に入り、

駅の改札を通ってトンネル掘削のときに掘った斜坑でおりる。

上りホームへは二八〇段、下りホームへは二九〇段もある。

上りホームは直江津寄り、下りホームは米原寄りにずれている。

この付近のたびかさなる地すべり災害から地下にもぐらせてしまった。

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筒石駅は全国的にも珍しい「トンネル駅」として知られている。

何度もこの地を通っているが、

今まで一度も降りたことがなかったのは

もともと自分が「乗り鉄」であったからと言える。

 

さらにこの地を通る時は

ほぼこの先に長野なり東京なりという目的地があった。

この駅が気になったとしても、

降りれば次の列車は一時間後だ。

行ってみたいとは思いつつ、

なかなか機会がなかった。

 

さて「北陸おでかけパス」で行ける

最東端の地が「えちごトキメキ鉄道」の谷浜駅となっている。

 

これはJR西日本北陸線時代から変わっておらず、

直江津駅はウチの管轄だから、JR西日本さんのきっぷはお断りです」と

JR東日本から言われたような設定区間だ。

 

ただ、こんな設定区間のおかげで

ようやく「筒石駅」に行ってみよう、

そんな気持ちになったのも事実であったりする。

 

驚いたのは駅員さんがいたことだ。

列車が来る度に地上の駅舎との間を往来している、と言う。

私は階段を登り始めた。

最初の踊り場に達した時点で息が切れてきた。

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ひいひい云いながら駅舎にたどり着く。

すると待合室に青年がひとり。

それもスーツ姿である。

こんなところに何をしに来たのかと思う。

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外へ出ると空が青い。

私は喉が乾いていた。

駅には自販機など存在しない。

駅の前にはゆるやかな坂道がある。

そこを上がれば筒石の集落だろう、

何か店でもないかと私はその道を上った。

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私は呆然とした。

真下に北陸自動車道の立派な高架橋が見える。

そして、日本海は遥か先、

それも遥か下に見える。

 

まさかこんな山の上にあるとは想像していなかった。

 

その遥か下の集落に、

オレンジ色の屋根をした建物が見えた。

あれはきっと商店だろう、私は思った。

私は時計を見た。

 

この時点で11時30分、

予定では12時10分発の列車で糸魚川に戻るつもりだ。

果たして間に合うだろうか。

 

「あそこまで下ればビールが飲める」

私はそう自分に言い聞かせ、

山中の坂道を下り始めた。

 

で、商店だと思っていた建物は小学校だった。

私は意気消沈して、

さらに下った。

 

するとサイクリングロードがあった。

これが旧北陸線か、と思う。

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目の前は海だ。

しかし見渡しても店が見当たらない。

そしてなぜか電動バイクに乗ったお婆さんが多い。

 

時計を見た。

列車を逃すわけには行かない。

結局飲まず食わずのまま私は駅までの道を登り始めた。

 

山の上から、

お婆さんが乗った自転車が勢いよく下りてきた。

帰りはどうするんだろうと思う。

 

駅に行くと誰の姿もない。

窓口には「駅の見学には入場券が必要です」と貼り紙がある。

覗いたが駅員さんの姿はなかった。

無論、私は正当なきっぷを所持しているので先へ進む。

 

声なのか、風の音なのか分からない、

ひゅーっ、ひゅーっという音がする。

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ここで停電になったら恐ろしいだろうな、

非常灯なんてあるのかな、

そんなことを思いつつ先へ進む。

 

私は昔行ったことがある岩手県の鍾乳洞の貼り紙を思い出した。

 

その貼り紙には「無断侵入者を発見したら電気を消します」と

書いてあったはずだ。

何よりも恐ろしいであろう。

私なら小便をもらしてもおかしくない。

 

私は階段を下る。

すると待合室に先客がいた。

さきほど待合室にいたスーツ姿の青年である。

私はキョロキョロしていたが、

彼はただ本を読んでいる。

 

「列車は定刻に有間川を出ました」

そんな自動音声が流れるのだが、

やたらと音量も大きく、恐ろしい。

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扉をあけ、

私はホームに出た。

 

つい一ヶ月前まで、

「特急はくたか」が130キロで通過していたのだろう、

ちょっと見てみたかったとも思う。

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駅構内に警報音が響き渡る。

遠くから列車の明かりが見えてきた。

先ほどの青年が出てきた。

駅員さんも出てきた。

 

列車からはひとりの下車もなく、

乗ったのは我々2人だけだ。

 

車内は全ての席が埋まり、

立ち客は5人程度。

 

運転席の右後方、

前面展望が一番いい位置に先ほどのスーツ姿の青年が立った。

彼は胸元からおもむろにデジカメを取り出すと、

結局糸魚川まで前面を撮影していた。

 

もしかすれば同好の士であったのかもしれない。

スーツ姿なら鉄道マニアとは思われないだろうな、

今度はスーツでも着てくるかな、私はそんなことを考えた。

 

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