土曜の朝、
僕と相方はいた。
始発列車の出発時刻は9時35分。
9時前に乗車券を買った時点で駅舎内は閑散としていた。
2時間以上も前から待ったわりに拍子抜けである。
あくびしかでない。
ぼーっとしていると寝てしまいそうだったので、
少し身体を動かすことにした。
築堤の先に山陰線の馬堀駅があり、
京都方面からの電車が到着するのが見えた。
しばらくすると築堤脇の道をぞろぞろと人が歩いてくる。
同時にガラガラだった駐車場に次々とバスが現れた。
一瞬にして、というには大げさかもしれないが、
駅はすれ違いも困難になるほどの人々で埋め尽くされた。
そして、
今や何処の観光地も同じかもしれないが、
ほとんど日本語が聞こえない。
大半が中国語とタイ語だ。
突如として「異国」に来たような気がする。
トイレは大行列、
ホームも人々で溢れかえっている。
9時30分、嵐山方面からの列車が到着。
下りる人、乗る人が交錯し、
まさに「わやわや」状態になっていた。
緑も風も心地良い。
嵐山で大半の客は下車して車内はガラガラに。
一般客車も覗かせてもらう。
JRで指定を取れなくて正解だった(笑)
トロッコ嵐山駅の先にも「見どころ」はあった。
複線の山陰本線を「逆行」するのだ。
10時過ぎにトロッコ嵯峨駅に到着。
関心した点が多々ある。
この鉄道には1両のディーゼル機関車と5両の客車しか存在しない。
さらに時刻表を見れば繁忙期を除き水曜運休とある。
必要最小限の人員でやりくりできる、
イコール無駄な人件費がかからない。
この「割り切り方」が実にいい。
臨時便もせいぜい1本しか設定できないから、
必然的に「希少価値」が生まれているのではないか。
賑わう嵐山の一画に、
やはり人が集まる場所があれば結果として注目されるだろう。
さらに片道25分、運賃620円なんていうのも
実に絶妙な所要時間であるし運賃設定であるように思う。
必要以上に背伸びしていない。
何もかもが「ちょうどいい」
JRが併走していたり、
川下りもあるもので旅のルートにも組み込みやすい。
このあたりは黒部峡谷鉄道などとは大きく違う点だろうし、
何より「気軽」、いや「気楽」だ。
これって絶対に重要な要素だと思う。
最近の鉄道業界は金をふんだくることしか考えていない。
かつては気軽に乗れた「寝台列車」もいつしか
「クルーズトレイン」なんていう名の化け物に変貌してしまった。
新幹線網が広がるにつれ、
青春18きっぷの旅も制限だらけになってきた。
弱者に優しくない鉄道だらけ。
ところが京都の片隅に、
こんな気軽で楽しい鉄道が存在してたなんて。
さらに
来年には京都鉄道博物館も出来る。
うーむ、おかしいな。
京都なんて近づきたくない街の代表だったのに。
無性にまた来たくなる。
これこそ京都の街がもつ
「フトコロの大きさ」なのかもしれない。
しっかしまあ、
隣の府にはこれだけ観光客があふれているんだから、
少しくらい福井に来てくれてもいいのにさ、
なーんてことも考えた(笑)