敦賀は20代の半ば頃に一時過ごした街だ。
ただ、行動範囲は職場とアパートと本町の居酒屋に限られていたもので、
実のところはほぼ「知らない」街といってもいい。
駅前広場は福井と同じく工事中。
駅舎もきれいになっているのだが、
いったいどんな感じで新幹線がくるのやら。
駅前商店街からの雰囲気は昔からあまり変わらない。
僕が住んでた年に建て替えられたから
もう14、5年ほど経つか。
嶺南地方では唯一の映画館もあり、
昔、矢口史靖監督の「ウォーターボーイズ」を観たような気がする。
誰と観たのかは記憶にないけれど(笑)
夜はラーメン屋台が点々と並ぶ旧8号線を
福井方面に進むと氣比神宮が現れる。
地元では「けいさん」と呼ばれ親しまれている。
主祭神 伊奢沙別命は御食津大神(みけつおおかみ)とも称し食物を司り、また古くより海上交通、農漁業始め衣食住の生活全般を護り給う神として崇められている。神功皇后、応神天皇はまた漁業に対する御神徳著しく、古来五穀豊穣、海上安全、大漁祈願が行われ、現に農漁海運業者の崇信が極めて篤い。神功皇后は安産の神として霊験あらたかである。仲哀天皇・神功皇后・日本武尊・応神天皇・武内宿禰命は無病息災延命長寿、また神功皇后・玉妃命は音楽舞踊の神である
また高さ約11mの大鳥居は奈良県の春日大社、広島県の厳島神社と並ぶ日本三大木造大鳥居の一つであるらしい。
立派な鳥居だとは思っていたが全然知らなんだ(笑)
ちなみに暮らしていたころは一度も参拝したことがない。
少し歩くと港に出た。
敦賀港駅舎はヨーロッパ諸国とを結ぶ
「欧亜国際連絡列車」の発着駅として賑わった頃の駅舎を再現したもので、
中はちょっとした資料館となっている。
これも僕が暮らしていた頃には再現されていたらしいが
さっぱり記憶にないというより
この周辺は来たことすらない(笑)
少し歩くと漁港に出た。
確かこのあたりに「海鮮丼」で有名な店があると聞いたことがある。
よっしゃ、海鮮丼とビールで昼食だと思ったら定休日?だった。
晴明神社。
以前に相方と来た時は扉が開いていたが、
今回は鍵が掛かっていた。
「・・・」
敦賀の街をさまよっていると
「モツ鍋」の看板を見つけた。
「きよの店」とある。
これはアタリだろ、
そんな予感がして扉を開けた。
カウンターでは3人のお客さんが、
すでにいい感じで「酔っ払って」いた。
健全な店である証拠だ。
隅にいたおじさんが
「好きなとこ座ればええで」
なんて言う。
真ん中のお姉さんが、
「お母さん、お客さんきたよ」
とカウンターの奥に声をかける。
カウンターはいっぱいに近かった(笑)もので、
座敷に座らせてもらう。
お冷やを出してくれたママさんに、
「モツ鍋」「ライス小」「生ビール」を注文。
「ちょっと鍋は時間かかるからこれつまんどいてな」と
茄子の煮物が出てきた。
そしてカセットコンロがセットされる。
高校野球を見ながらしばし待っていると
鍋がやってきた。
ニラがたっぷりで見た目だけでスタミナがつきそうだ。
ひと煮立ちしてから
おたまで具を救う。
モツがたんまり、ニンニクもたんまり、
白いご飯も進むわ、
ビールも進む。
うーむ、
おなかぷにゅぷにゅがさらに進化しそうだ。
相方の「白い目」が脳裏をよぎり、
腹の肉をつまんでみる。
食べてるモツに負けないくらい、
「ぷるるん」としてるような気がした。
敦賀駅までぶらぶら歩く。
喉が渇いたもんでコンビニへ。
モップを手にした色黒の男性店員さんが僕を見て
「ワタシもよう焼けてるンですけど、お兄さんもよお焼けてますなー」
なんてことを言う。
いやいや、お兄さんほどじゃないですよ、
と言いそうになったが、
つい先日も小浜線の車内で
「兄ちゃん何やったらそんな黒くなるねん」
と見知らぬオジサンに言われたばかりだった。
要因は農業をやってる友人の手伝いが
ちょいと忙しいということか。
「ま、ワタシは病弱なんでマシンで無理やり焼いてるンです。誰も信じちゃくれませんけどね」
色黒の店員さんはニンマリ笑ってモップ掛けを始めた。
まかなか変わった店員さんである。
彼に敬意を評して、
僕は缶酎ハイを買った。
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