相棒が「18きっぷ買うから日帰りでどっか行かね?」なんて言う。
ふむ、青春18きっぷか。
青春18きっぷについては改めてここで述べるまでもなく、
「JR線の普通・快速列車の普通車自由席及びBRT(バス高速輸送システム)、ならびにJR西日本宮島フェリーに自由に乗り降りできる」もので、
毎年3回、学生の休みにあわせた時期に発売されてきた。
「で、何処へ行きたいのだ」と僕は相棒に訪ねた。
すると
「どこでもいいから考えといて」
なんて言う。
僕は時刻表を開いた。
福井から18きっぷで旅に出よう、
北へ向かうと金沢が終点、
さらに特例で七尾線に乗り継いだ和倉温泉までしか行けなくなった。
となれば南に向かうしかない。
それで「日帰り」で行ける範囲となれば、
酒に侵された脳みそにはさっぱり思い浮かばない、
というのが事実だった。
ついでに久々に里帰りをするつもりなので、
西にも行きたくない(笑)
さっぱり決められないまま出発前日になった。
「行き先決まった?」
相棒は言ったが
「さっぱり決まらんのだ」
と答えれば
「Aの顔でも見に行く?」
と昨年愛知県に転居した友人の名をあげた。
名古屋あたりで落ち合って昼飯でも食べよう、
相棒は言った。
うむ、名古屋か、
多分それくらいがちょうどいい。
なら、でもないが、
「せっかくなら寄り道して行こう」
と僕は相棒に言った。
「チ◯コでも拝みに行こう」
2両編成の車内はほどよく席が埋まっている。
7時6分に敦賀着。
隣のホームに停まっていた近江今津行きに乗り継ぎ、
米原行きの普通電車も2両編成であったが、
木之本、高月、河毛とどの駅にも大勢の学生が電車を待っており、
車内はまたたく間に「通学ラッシュ」の様相を呈してきた。
この日は土曜日であったが、
平日ならどれほど混んでいるのだろう。
7時58分に長浜着。
学生たちが一斉におりていき、
車内には余裕ができる。
米原には8時05分着。
豊橋行の新快速に乗り継ぐために東海道本線のホームに向かうと、
すでに恐ろしいほどの長蛇の列になっていた。
しかし混んでいたのは階段周辺だけであったようで、
奥へ進むとガランとしている。
電車を待っていると
電気機関車に引かれた見慣れぬ「電車」が通過していった。
走り去った後ろ姿を見ると西武の新車のようだ。
ほどなくして名古屋方面から豊橋行きの新快速が入ってきた。
この編成が6両だったのか8両だったのか定かではないが、
米原〜大垣間なんていうのはまさに「鬼門」ともいえる区間だった。
関西方面からの新快速が8両、ないし12両で米原に着くのに対し、
米原〜大垣が2両ないし4両編成なんてことは度々あり、
ぐったりするほど大混雑していた記憶がある。
今回は最後尾の車両に座ったが、
8時25分に出発した時点でもまだ車内には余裕があった。
大垣をすぎると車内は「ラッシュ」の様相を呈してくる。
9時10分に岐阜着。
特急列車を思わせる上等な車両だった。
窓にはカーテンが掛かっている。
武豊線の電化で流れてきたのだろうか。
高山線の格があがったようで何となく嬉しい。
各務原で特急列車の通過待ちがあり、
次の鵜沼で下車。
さて、今回の寄り道先は「田縣神社」である。
たがたじんじゃ、と読むらしい。
奇祭「豊年祭」で知られる神社であるのだが、
何が「奇祭」なのかといえば
以下の画像を見れば分かってもらえるかと。
みこしにのっているのが要するに男のイチモツ、男根な訳だ(笑)
田縣神社のサイトによれば豊年祭について
以下のように記されている。
「野も山も みなほほえむや 田縣祭」例大祭は国の内外で有名な豊年祭として、毎年三月十五日に執り行われます。この祭は直径六〇センチ、長さ二メートル余りの大男茎形(男性の性器) を毎年新しく檜で作成し、それを厄男達が御輿に担ぎ、御旅所から行列をなして当社に奉納し、五穀豊穣、万物育成、子孫繁栄を祈願する祭です。当日は世界各 国からの参拝者で境内は埋まり、「見くらべて 笑えこの梅 あのさくら」の詩歌の如く、国境を越えてみな微笑む祭で、まさに「天下の珍祭」であります。
このような祭りが行われる神社とはいったいどんなところなのか、
以前から興味はあったがなかなか行く機会に恵まれなかった。
と、いうのも田縣神社があるのが名鉄小牧線の沿線であるからだ。
以前は他線との接続が全く無い
上飯田駅が名古屋側の起点であったし、
終点の犬山もJRの路線図で日本地図を形成する人間には
なかなか地理的につかみにくい場所にある。
さらに犬山に行くと
どうしても「パノラマSuper」に乗りたくなる。
そんなものでなかなか小牧線に乗る機会に恵まれなかった。
しかし今回は栄が目的地であるし、
小牧線も未乗であるもので、
相棒に付き合ってもらうことにした。
かく言う彼も「チ◯コ拝むって何やねん」と
犬山でさらに小牧線の電車に乗り継ぐ。
犬山からちょうど10分。
電車は田縣神社前駅に着いた。
すれ違いができる二面二線路の駅でそれぞれのホームに改札口がある。
駅から歩くことさらに10分弱で田県神社に到着。
一見、何てことはない普通の神社だ。
いや、普通というよりは予想外に立派な神社である。
巫女さんが箒を手に境内の掃除をしている。
本殿に向かう。
普通なら二礼二拍手一礼して終了であろうが、
ついつい中を覗かずにはいられない。
そこにはあまりにも立派なイチモツ、
男根がチン座していらっしゃる。
僕も相方も思わず息を飲んだ。
男性器とは何と美しく気高いものなのだろうか。
中には黒光りしているものも見受けられる。
いずれもデフォルトされたものでなく、
何とも生々しい。
手を合わせたが、
いったい何を願えばよいのか一瞬混乱した。
「おいしいお酒が飲めますように」と
いつものお祈りをしておく。
ついでに相棒もやけに真剣に合掌していたもので、
「何をお祈りしたのさ」と問えば
「内緒」と笑う。
ま、色々あるのかもしれぬが余計な詮索はしない。
境内は男根だらけである。
僕は普段から温泉や銭湯が好きでたびたび出かけるが、
他人様の男根など意識して見るものではない。
しかしこの場にはそこいら中に男根がいらっしゃる。
右みても左みても上みても男根である。
くらくらするほどに立派な男根の数々を眺め、
休憩所で豊年祭のビデオを見て、
僕は用をたそうと「トイレット」に行った。
用を足しながら
改めて自分のムスコを眺めてみれば、
それは男根と呼ぶにはあまりにも程遠く、
何だかせつなくなった。