北陸徘徊人(元)

富山、福井、石川を中心にゆるーい旅を満喫中

福井市内京福バス徘徊紀

常日頃から福井鉄道えちぜん鉄道

京福バスのフリーきっぷを使って福井県内を徘徊しているが、

地図を眺めつつ、

福井市を一歩も出ない徘徊ってのもいいのかな、

何となく、そんなことを考えた。

 

北陸三県で言えば、

富山市金沢市も、山から海に出るのは案外容易い。

ところが福井市の場合、

平野部を下った先は坂井市となり、

福井市内の海に出ようと思えば「もう一山」こえることになる。

 

現在の福井市は平成18年2月1日に、

美山町、清水町、越廼村が合併して成立している。

山から市街地へ、そして山へ、そして海へ、

これを福井市内だけで、

それも旧3町村を経由して完結させてみたい。

 

 

 

僕は京福バスのサイトを開いた。

酒を飲みつつあれこれ思案するのは楽しい。

そして、

つながりそうでつながらないのは悔しい。

 

そうこうしているうちについ深酒をしてしまい、

最寄りのバス停を7時30分前に出るバスに乗るつもりだったのに、

目が覚めたら7時20分だった。

ま、それでも間に合わすんですが(笑)

 

ただこの時外に出たら案外暖かくて、

上着すら持たずに家を出たことを、

後々大いに悔やむことになる。

 

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福井駅を8時ちょうどに出発する62系統東郷線の乗客は10人程度か。

小型車であることもあってか案外乗ってるな、

そんな印象。

 

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福井駅を出たバスの大半はまっすぐ駅前大通りへと向かうが、

この路線を含む一部の系統だけは駅前を右折して、

えちぜん鉄道新福井駅前まで進み、

JRとえちぜん鉄道の高架下をくぐって福井駅東口を経由する。

 

豊島の交差点で左折して、城の橋通りへ。

この道はそのまま進めば8号線と交差して、

その先は大野、岐阜へと向かう国道158号線と化す。

バスは御幸の交差点を右折して、足羽川を渡る。

 

8号線を超えて進んだ先が県立図書館で、

ここまでの運賃が240円。

こう考えると無料のフレンドリーバスってありがたいですな。

 

バスは足羽川の左岸に広がる田園地帯を淡々と進む。

その先にあるのが東郷という集落。

前回訪ねてからもう1年も経つのか(汗)

 

hokuhai.hatenadiary.jp

このバスの終点は浄教寺なる地であるが、

確認するとそのまま折り返すダイヤであったし、

一乗谷朝倉氏遺跡で知られる朝倉館で下車。

運賃表を確認すれば650円で、

1000円のフリーきっぷを所持していれば、

福井駅から往復するだけで元がとれる計算になる(笑)

 

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一乗谷朝倉氏遺跡は今でこそ福井市を代表する観光地であるが、

僕が初めて訪れたのは20年近く前の添乗員時代である。

 

当時は今ほどメジャーな観光地ではなく、

バスのベテランガイドさん、運転手さんも

「何処やそこ」てな感じであり、

お客さんからも「なあ、添乗さん、私はここで何をみりゃええの?」

なんて聞かれたことを思い出す。

 

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15分ほどの滞在で、再び福井市内へ向かい、

城の橋通りと交わった御幸三丁目バス停で下車。

10分ほどの待ち時間で大野行きのバスに乗り込む。

 

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バスは足羽川の右岸のバイパスを進み、

宿布のバス停手前から旧道に入る。

足羽川を挟んだ先が先程訪れた一乗谷周辺となる。

 

旧道に入ったところで越美北線の線路が並行する。

ちょうど九頭竜湖行きの列車がみえた。

全国的には、ここで列車の方がバスを抜いていくであろう。

しかしここではなぜかバスの方が列車を追い抜いていく。

 

何処かできっと列車が追い抜いて行くはず、

そう信じていたが、

結局列車がバスを追い抜くことはないまま美山駅前に達した。

バスを降りるとほどなく越美北線の列車の汽笛が聞こえてきた。

 

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僕はここまで遡ってきた足羽川を、

毎朝、晩渡って生活している。

越美北線は今現在、九頭竜線なる愛称がついているが、

九頭竜川に沿って走るのは大野市内だけで、

福井市では足羽川に沿って走る。

 

僕が知っている足羽川は、

基本的に穏やかな姿でしかない。

しかしながら平成16年7月、この川は大氾濫を起こした。

福井豪雨である。

 

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福井新聞社 特集「福井豪雨」

 

ここ、美山町では1時間あたり96ミリの猛烈な雨を記録した。

堤防が決壊し、多大なる被害が出た。

 

日ごろから新聞の縮刷版を読んでいると、

大きな災害や事件が起こる前日というのは、

総じて平穏な記事が続くことが多い。

記者さんも、紙面を埋めるのに苦労するだろうな、

そんな記事が続く。

 

でも、未来からの視点で見ると、

つい、そこから逃げ出して!と言いたくなる。

この福井豪雨の時もそうだった。

 

ちょっと表現は違うかもしれないけれど、

当時の福井新聞に被災者の方を取材した、

こんな一文があった。

 

「改築したばかりの家も車も流されて、残ったのはシャツとステテコだけだった」

 

直接耳にした訳ではないけれど、

僕はこの美山町を通るたびに、

いつもどこからともなくその声が聞こえてくる、

そんな気がする。

 

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福井へ向かうバスはそこそこ賑わっていた。

オッサンには高校生か中学生かの判別は付きかねるが、

大野から乗ってきた学生のグループだろう。

地方のバスで若者の姿をみるとホッとするのは僕だけなんだろうか。

 

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福井駅に戻ってきたのは10時30分すぎ。

次に乗車予定のバスは13時15分発なもので、

ちょっと早い時間であるが昼食にしたい。

 

 

 

 10時45分発のベル先回り運動公園行きのバスに乗り込んだ。

この路線は「先回り」の文字がある通り、

循環路線となっており、

休日は双方に30分ごと、平日は20分ごとと本数も多い。

 

さらに花堂、種池、社といった

福井市でも飲食店が多いエリアを通過するもので、

気になる店を見かけたら適当に下車するつもりでいる。

 

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左右の車窓を確認しつつ、

よっしゃここにするべと南警察署のバス停で下車して、

台湾料理「福星」さんにお邪魔した。

いまや各地で見かける台湾料理のお店だけど、

総じて安いしウマイしボリュームあるし(笑)

何せ腹が減っていた。

 

油淋鶏定食を注文。

しばし待って出てきたそのボリュームに一瞬引いた(汗)

カラリと揚がった鶏肉に、ほどよく酸味の利いたタレ。

たっぷり添えられた野菜も日頃の野菜不足の身には嬉しい。

 

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セルフでコーヒーまで頂けて700円。

それにしても近年台湾に行くようになってつくづく思うが、

台湾で食べる料理と、

日本の台湾料理ってまったく別物よな。

 

台北の裏通りの雑踏を思い出し、

無性にまた訪れたくなる。

 

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再びバスに乗って福井駅前へ。

次に乗車するのが78系統・茱崎線の水仙ランド入り口行き。

このバスは旧清水町を経由して旧越廼村へと向かうのだが、

休日に関して言えば運行はわずか4往復、

それも13時15分発が「始発」である。

 

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福井駅を出発した時点で客は自分を含め5人。

駅前大通りで1人加わり、

バスは山へと向かう。

 

茱崎線の特徴的なのはダイヤで、

越廼村を出る4本は全て午前発、

福井駅を出る4本は全て午後発となっている。

要するに海岸地区の方が福井に出てきて帰宅することが前提となったダイヤ、

とも言える。

 

ということはこのバスに乗れば帰ってこれなくなるのだが、

(正確には「ほやほや号」という手もある)

このバスが日本海側に突き当たった大味という集落は、

小丹生という元々福井市の集落と隣接している。

 

 

この小丹生の集落は2時間に1本程度の割合であるが、

福井駅とバスで結ばれている。

地図をざっとみたところ大味と小丹生は数キロである。

恐らく歩いても1時間もかからない。

 

ちょっと悔しい点があるとすれば、

福井市の海岸部にはコミュニティバスが走っているのだが、

茱崎線のバスが14時08分に大味に着くのに対し、

小丹生や鷹巣荘へと結ぶバスは14時07分に大味を出てしまう。

 

こんな乗り継ぎをする人間など想定していないだろうから、

早々にこのコミュニティバスの利用は諦めたが、

やはり何だか悔しい。

 

ショッピングセンター「ワッセ」の前で1人乗車。

その後は乗る方も降りる方もおらず、

バスはかつての清水町内を走り続ける。

清水畑のバス停をすぎるといよいよ山越えに。

バスのエンジンが唸りを上げる。

 

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車内の数少ない乗客の首は

みんな一様に「カクン」と前に折れていた。

携帯をいじっている方も、車窓に目をやる方も1人もいない。

1人だけ若い女性の姿があったが、

あとはみんな高齢者だ。

運転手さんもいわゆる「シニア世代」であろう。

 

最近バスに乗ってて思うのは、

お客さんだけでなく運転手さんの高齢化も着々と進んでいるということだ。

運転免許も細分化されてどんどん大型免許が取りづらくなり、

若い世代が「運転」なる行為に魅力を感じなくなっている昨今、

地方のバス路線なんて今後どうなっちゃうんだろうと、

いろいろ不安にも感じてくる。

 

バスは宿堂という集落をすぎると下り坂へと差し掛かる。

排気ブレーキを効かせながらバスは山間の道を下っていく。

途中でようやく降車ボタンが押され、1人下車。

さらに下ると、目の前に日本海が広がった。

 

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14時08分、大味のバス停で下車。

小丹生発のバスが出発するのは15時30分。

時間に余裕はあるとは思うがとにかく歩く。

 

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で、歩きはじめて数分後、

僕の隣を海岸線のコミュニティバスが通過していった。

「・・・・」

 

あのバスに乗っていれば、、、

鷹巣荘で入浴して福井市に戻ることも容易かったのに、、、

悔やんでも仕方ないが、

それでも悔しい(笑)

 

さらに追い打ちを掛けるように、

この日は随分風が強く、かつ冷たく、

日本海の波も高かった。

何せ、めちゃくちゃ寒い。

さらに僕は上着を持っていない。

 

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僕は「哀しみ本線日本海」を口ずさみながら、

ただひたすら歩く。

 

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40分ほど歩くと「弁慶の洗濯岩」というバス停が現れた。

10月に新設されたバス停で、

10系統鮎川線の終点であった小丹生から南へ1区間、伸びた。

 

目の前はそのまま「弁慶の洗濯岩」という、

越前海岸の景勝地であるが、

なら観光客向けのバス停かといえばそうではない。

 

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福井市内から南下してきた10系統鮎川線のバスは、

小丹生バス停で折り返すのではなく、

弁慶の洗濯板の越廼村よりにある敷地で折り返す。

元々この区間には回送のバスが走っていたということだ。

 

そして、朝のバスの主たる利用者は海岸地区の学生で、

越廼地区からは親が送迎していたとのこと。

弁慶の洗濯岩には広い駐車場があり、

送迎に便利という理由で設置されたバス停であるらしい。

 

設置理由がそのようなものなので、

日中のバスは皆無であったりする。

そのまま小丹生の集落へ向かう。

身体はすっかり冷え切り、鼻水が垂れる。

 

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小丹生のバス停は簡素な作りで、

風を遮ることはできても寒い。

道路の先を見てみれば、

次の大丹生のバス停の方がしっかりした造りであるような気がしたので、

そこまでさらに歩いた。

 

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大丹生のバス停にはちゃんとした扉が設置されていた。

中は日差しを浴びて暖かく、

バスが来るまでの30分間を微動だにせず過ごした。

もう少し先に行けば飲食店があるのは分かっていたが、

これ以上、歩く気力は残っていなかった。

 

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15時31分、福井駅行きのバスがやってきた。

バス車内はほどよく暖房が効いていたが、

それでも震えが止まらない。

 

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1時間ほどかけて福井駅へと戻った僕はそのまま極楽湯へと直行した。

ほんとそのまんま極楽に行きそうな気分だった。