北陸徘徊人(元)

富山、福井、石川を中心にゆるーい旅を満喫中

白山三馬場めぐりと長良川鉄道末端部

ウチの相方が今年の初めから

御朱印集め」なんぞを始め、

自分も神社やお寺を巡るのは好きであるから、

時間があえば付き合ったりしていて、

先週は石川県白山市にある白山比咩神社に行った。

 

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すると、その場で

「白山の三馬場めぐり」なるスタンプラリーをやっていることを知った。

 

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三馬場とは何ぞや。

このパンフレットには以下のように記されていた。

白山は御前峰、大汝峰、剣ヶ峰、別山と周辺の山々からなる連邦で、山域は石川、福井、岐阜、富山の4県にまたがります。白山の雪解け水は、手取川九頭竜川長良川庄川の4水系となって大地を潤し、人々の暮らしを支えてきました。

 

白山の三馬場

天長9(832)年ごろには白山へ向かう登拝の拠点は「馬場」と呼ばれるようになり、加賀(石川)の白山比咩神社、越前(福井)の平泉寺白山神社、美濃(岐阜)の長滝白山神社(岐阜)の三つの馬場とともに禅定道が発展していきました。

 

「今度は長滝白山神社と平泉寺白山神社に行きたい」

白山比咩神社の帰り道、相方がそんなことを言い出して、

「はあ」と僕は答えた。

 

別に運転も嫌いじゃないからそれはそれでいいのだが、

相方と週末過ごすと

鉄道に乗るというささやかな楽しみを与えてもらえないのが

悲しい所である。

 

年末にあわら温泉に行った時も

あわら温泉で1泊するとえち鉄が2日間乗り放題になるきっぷがあるのだ」

と力説したのだが却下されていた。

 

そんなもので僕はおとなしく運転手となり、

この日は朝から岐阜県郡上市にある長滝白山神社に向かった。

 

 

 

福井の市街地から雪はさっぱり消えていたが、

美山町あたりから目に見えて道路脇の雪は多くなり、

大野を過ぎると完全に雪国の様相。

九頭竜湖駅は雪に埋もれていた。

 

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九頭竜湖沿いを走りつつ、

助手席でスマホをいじっていた相方に、

「今日の昼飯、けいちゃんにしよう」

僕は言った。

 

僕はかつて岐阜県の飛騨地方で半年ばかり過ごしたことがるのだが、

その時にもっともハマった食べ物が

「けいちゃん」なる鶏肉を使った岐阜県の郷土料理である。

 

味噌や醤油のタレに漬け込んだ鶏肉を、

キャベツなどの野菜と炒めれば、

白飯なんぞいくらでも食えるし、

一味なんかをちょいと振れば、

ビールなんぞいくらでも飲めてしまい、

締めにうどんなんぞ投入すれば、

「ああ、俺はもう思い残すことは何もない」

てな具合に、実にシアワセな気分にひたれる食べ物である。

 

想像しただけでよだれが出そうになり、

「高鷲ってとこにすんげぇ旨いけいちゃん食わす店があるンだよ」

と僕は力説したのだが、

「けいちゃん、って気分じゃない」

そんな相方のひと言で撃沈。

 

油坂峠を越え、ループ橋を下って白鳥の市街地に降りてきて、

国道156号線との交差点で信号待ちをしていると、

右手に「焼肉、日替わりランチ」の文字が見えた。

「このあたりも飛騨牛なんかな」

僕が独り言のつもりで言ったら、

ゴチになります」とスマホをいじりながら相方は言った。

「・・・」

 

この時点で11時過ぎだったもので、

交差点を左折して、長滝白山神社へ向かう。

長滝白山神社は白鳥の市街地を過ぎ、

長良川鉄道の踏切を渡った先にあった。

白山長滝なる駅も目の前だ。

 

駐車場に車を停めて、

その参道を見た時、

「靴、間違えたな」

僕は言った。

僕も相方も足元はスニーカー。

参道は完全に雪に覆われていた。

 

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正面から赤子を抱えた女性が降りてくる。

地元の方なんだろうか、

足元は悪いのにすたすたと歩いている。

 

僕の後ろでは相方が

「ぎゃっ」とひっくり返りそうになりながら、

神様もびっくりしそうな声を出している。

「・・・」

 

本殿ではご祈祷が行われていた。

雪は全ての雑音を消し去り、

宮司の声がすーっと、染み入るように入ってくる。

 

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周囲に社務所らしきものは見当たらず、

ご祈祷が終わるのを待って

巫女さんに御朱印をお願いした。

スタンプラリーの帳面にも捺印。

 

相方の悲鳴を聞きつつ駐車場に戻る。

相方なんて何年も雪国で暮らしてるはずなのに、

雪道に慣れてくれないのか慣れるつもりもないのか知らぬが、

「ペンギンみたく小幅で歩くんだよ」

と言ってみたけど、今度は気温が上昇して緩んだ雪に足を取られ、

また悲鳴をあげている。

 

 

 

先に駐車場に着いた僕は、

何となく長良川鉄道の時刻表を調べてみた。

すると12時ちょうど発、北濃行きの列車があることが分かった。

 

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長良川鉄道国鉄末期の昭和61年に3セクに転換された鉄道で、

北陸地方在住者にしてみれば、

裏山の向こう側を走ってるような

近くに存在する割には乗りにくい鉄道の代表格とも言え、

僕自身、未だ一区間も乗車したこともない。

 

うーむ、何としても乗りたい。

 

「5分ほどだけ運転してよ」

相方にそうお願いして車を北濃駅まで回送してもらうことにして、

長良川鉄道に乗車してみることにした。

一駅間だけだとあまりにも悲しいので、

白鳥高原駅まで一駅戻る(笑)

 

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盲腸線の末端部なもので、

きっと車内はガラガラであろう、

勝手にそんな想像をしていたが、

車内は子供を中心に随分賑わっており、

ざっと20人以上は乗っていたか。

 

子供会の課外活動かもしれぬ。

運転席横の特等席は子供だちで占領され、

後方部の一等席は同好の士で占領されていた。

 

まあ、地方の鉄道など、

乗っているにこしたことはない。

予想外の光景が何だか嬉しい。

 

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人生初の長良川鉄道はわずか5分ほどの乗車で終了。

 

子供たちはどこから乗ってきて、

これから何処に向かうのだろう。

 

僕自身、彼らくらいの頃から鉄道に乗ると

うまく言えないけれど何だか口元が緩む、

そんな喜びがあって今に至ってる訳で、

彼らにもこの喜び、つうかコーフンを、

1年後、5年後、いや、10年後、

覚えててほしい。

 

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日本の鉄道って、

新幹線みたいな最新の技術で多くの旅客を運搬してたり、

都市圏で1分1秒の狂いもなく運行されてる、

そんなことばかり賞賛されてるけど、

例えばこんな山奥の駅ひとつでも、

始発列車が走る前に、

誰かがこのホームを除雪してるんだ、

だからこそ、僕らは長靴を履かなくとも、

この駅に降り立つことができるんだ、

そんな何かを感じて欲しいな、とは思う。

 

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北濃駅の前で、

相方は助手席に座って待っていた。

これ以上は運転しないから、

そんな確固たる意思を感じる。

 

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白鳥の街へと戻り、

先程見かけた「焼肉、日替わりランチ」の看板を掲げたお店へ向かう。

「川畔」とある。

 

一見したところ喫茶店のようで、

店内もまさにそんな感じ。

長良川を眺めることができる席につき、

「焼肉ランチ」を注文したら、

奥の別室に案内された。

 

そこにはロースターがあり、

ここは「焼肉屋」なのだとようやく実感。

ほどなくして飛騨牛のロースやらカルビやら運ばれてきた。

いちいち記すまでもないが、

冗談みたく旨い(笑)

 

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飛騨牛だけでなく、けいちゃんもついていたのが嬉しかった。

ごちそうさまでした。

 

それにしても、

焼肉屋来てビールを飲まなかったなんて、

人生初かもしれない(涙)

 

帰り道、

勝山にある平泉寺白山神社にも立ち寄った。

何となく想像はついてはいたが、

境内は白山長滝神社以上の雪である。

 

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気温はさらに上昇して足元の雪は緩みまくり、

再び相方の悲鳴を聞きながら本殿をお参り。

社務所御朱印をいただく。

 

三馬場めぐりのスタンプラリーも完結で、

立派なクリアファイルを頂いた。

 

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勝山の市街地へ。

今年はまだえちぜん鉄道で勝山に来ていない。

 

せっかくだからえちぜん鉄道に乗りたかったが、

余計なことをいうと

相方の口撃に負けるのは明らかだった。

 

僕はおとなしく福井までハンドルを握り、

家へ帰った。