北陸徘徊人(元)

富山、福井、石川を中心にゆるーい旅を満喫中

越前市、越前町、南越前町、路線バスぐるり一周

3月25日、福鉄バス休日フリーきっぷ発売開始、

そのニュースを知ってから、

何とか有意義な使い方は出来ぬものかと、

福鉄の時刻表を眺めつつ、

あれこれ考える日々が続いていたのだが、

いかんせん本数が少ない。

 

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https://www.fukutetsu.jp/

 

福鉄のバスは基本的に

越前町や池田町の方が武生に出るのに便利なダイヤになっており、

そのメインの利用客である学生が休みの週末は運休になる、

そんな便が多いものでなかなか上手くつながらない。

 

ま、いっか、

越前町の織田で昼飯食べて漁火で風呂入ってビールでも飲むべ、

そんな考えでいたが、

いざ行こうとした矢先、夕方がらヤボ用ができて、

飲めなくなってしまった。

「・・・」

 

漁火までバスで行ってビールも飲めないのもなあ、

なんて気になってくる。

 

しかしながら福鉄バスのフリーきっぷが発売される記念すべき日だ、

何とか使ってみよう、

そんな思いで僕は改めて地図を眺めた。

 

 

 

ここで注目したのが「王子保・河野線」の終点、糠長島なる地と、

「越前海岸武生線」の終点、かれい崎がそんなたいして離れていない、

ということだ。

 

糠長島は南越前町(旧河野村)の最北部、

かれい崎は越前町の最南部、

隣り合った2つの地にバスはまったく別ルートをたどる。

 

 

時刻表を確認すると、

幸いにもちょうどよさげな便がある。

かれい崎と糠長島を歩いたところでたいして時間もかからぬだろう、

よっしゃ、越前市から越前町へ、南越前町から越前市へぐるり一周だ、

僕は意気揚々と福井駅へ向かった。

 

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ハピリン前の広場では、

この日開催される「交通フェスタ」なるイベントの準備が行われていた。

この日はえちぜん鉄道の「キーボ」が初めて福井駅前に乗り入れ、

福井鉄道「レトラム」と並んだ姿を披露する、

そんな話も聴いていて心惹かれるものがあったが、

この日は天気もいいので予定を実行することに。

 

市役所前からオレンジのフクラムに乗車して越前武生駅へ。

 

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駅構内のチケットセンターで

「休日フリーきっぷください」と言ったら、

窓口の女性が「ああ、今日から発売の」と言って発券してくれた。

ところが日付欄は空白になっている。

「運転手に日付入れてもらってください」とのこと。

 

バスの時刻表を眺めていると

「4月1日から時刻が変わります」と窓口の女性が言って、

新しい時刻表もくれた。

神明駅と織田を結ぶ鯖浦線のバスが、

JR北鯖江駅が起点となり、アルプラザ鯖江を経由することになるそうな。

 

つうことは越の湯でビールが飲みやすくなるな、

真っ先にそんなことを考えた僕は、

恐らくアルコール依存症なんだろう、とは思う。

 

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前武生駅を10時10分に出るかれい崎行きのバスは、

10時過ぎには乗り場に現れていた。

敦賀に住んでた頃よく見ていた赤と白のカラーリングが

何となく懐かしい。

 

先に運転手にお願いして日付を入れてもらう。

年配の運転手はファイルを下に置き、

丁寧な字で日付を入れてくれた。

10時10分、僕の他に乗客の姿はないまま出発。

 

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JR武生駅からは3人が乗車。

その先はどのバス停にも乗客の姿はなく、

バスは淡々と走る。

10時24分、バスは越前市から越前町に入った。

 

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10時32分、樫津というバス停で運賃表は550円を表示していた。

駅からこの地を往復するだけで1000円のフリーきっぷのモトはとれる計算になる。

 

バスは旧宮崎村から旧織田町へ。

織田の手前で降車ボタンが押された。

10時43分、織田バスターミナルに到着して1人下車。

運転手が「時間調整のため2分停車します」という。

 

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僕はかつて福井駅からバスでここまでやってきて、

結局乗り継ぎができずに神明駅まで夜道を歩いたことがある。

ちゃんとバスが走っているのはありがたい、

そうつくづく感じる。

 

10時48分、織田病院から1人乗車。

バスは峠を超えて急坂を下り、海岸線に出た。

その先で1人下車して、

露天風呂漁火があるアクティブランド越前で2人下車。

その先は貸し切りとなり、

11時27分、バスはかれい崎に到着した。

 

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バス停の目の前にあるのは露天風呂日本海で、

やはり心惹かれるものがあるが、

折り返しのバスは11時35分、

次は最終の15時30分となれば「ちょっと入浴」だけには厳しい。

 

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国道305号線を南下して糠長島を目指す。

天気は快晴、寒くもなく暑くもなく、

さらにちゃんと歩道も設置されており、

徘徊者にはただただ有り難い限り。

 

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歩きはじめて約20分で南越前町に入った。

 

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越前町福井市の海岸部を歩いていると、

海の先には海しか見えないけれど、

このあたりまで来ると敦賀半島や遠く丹後半島まで見えるのが何とも新鮮。

ただ、景色の変化には乏しく、

歩いているとちょっと辛くもなってくる。

 

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僕は暇つぶしがてらすれ違う車のナンバーを眺めていた。

福井、尾張小牧、京都、福井、福井、大阪、岐阜、滋賀、福井、、、、

 

やがて目の前に集落が見えてきた。

 

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糠長島のバス停に到着したのは12時23分。

かれい崎から1時間弱であるから、

逆ルートで辿って露天風呂日本海で入浴、武生へ戻ることもできそうだ。

 

前武生行きのバスの出発時刻は13時30分で少し時間がある。

そんなものでもう少し足を伸ばし、

河野シーサイド温泉ゆうばえで風呂に入っていくことにした。

「ゆうばえ」はちょくちょく車で前を通る割には

さっぱり入浴する機会に恵まれない日帰り温泉施設であったりする。

 

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敦賀半島の先に敦賀市の最高峰である野坂岳が見えてきた。

周囲はすっかり春めいてきたが、

標高913メートルの野坂岳にはまだまだ雪が残っているなあ、

と思い、

敦賀は遠いなあ、とも思う。

 

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河野シーサイド温泉ゆうばえには12時45分に到着。

「ゆうばえ」とだけ書かれたバス停が

何ともやわらかでほんわりした印象がある。

夕暮れ時に来たら絵になるだろうな、、、

 

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入浴料550円を支払って中へ。

バスは13時33分発であるからそうはゆっくりしておれない。

 

男湯に先客は1人だけであったが、

壁を挟んだ女湯側からは賑やかな声が聞こえていた。

浴室は思いのほか明るく、

穏やかな日差しがさんさんと降り注いでいる。

 

湯加減は熱すぎもぬるすぎでもなく、ちょうどいいあんばいで、

何とも心地よい。

 

そして、

風呂入った後にビール飲めないなんてやっぱ寂しいなあ、、、

おとなしくサイダーでガマンする。

 

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「ゆうばえ」を13時33分に出発するバスの先客は1人だけだった。

どのバス停にも一日数本のバスを待っている乗客の姿はない。

 

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バスは淡々と走り、海岸部から山中へ。

僕は時刻表を眺めた。

このバスが越前武生駅に着くのは14時21分。

 

福井へ帰るのに

14時14分発、フェニックス田原町ラインの急行には乗れないが、

14時25分発の普通には間に合いそうだ。

さらにこの日の14時25分発の普通は福鉄のサイトによると

「さくら色のフクラム」とあった。

おお、これはラッキーだ♪

 

桜橋からバスは8号線を走る。

流石に交通量も多く、

がんがんとトラックがバスをあおってくる。

トラックの運転手なんて「プロ」であるはずなんだけどなあ、、、

バスはそんな後続車をたびたびよけつつ、

8号線をはずれて王子保駅へ。

 

王子保駅から武生駅にかけては、

なかなか一筋縄ではいかない複雑なルートをたどる。

何度も武生は歩いているから、

この先まっすぐ行けば武生駅、くらいの認識はあるのだが、

そんな時に左折したり右折したりする。

 

僕は時刻表と時計を見比べた。

「あれ、ちょっと遅れてる???」

 

8号線では後続車にさんざんあおられたバスであったが、

武生の市街地に入ってからは

路上駐車の車に行く手を遮られた。

広小路周辺など道路の両側に路上駐車している。

 

めったに来ないバスのことなどおかまいなしなのかもしれない、

そう考えるとだんだん悲しくなってきた。

 

バスは路上駐車の車の間を、

まさに縫うように、慎重に走る。

 

結局、バスが越前武生駅に到着したのは

「さくら色のフクラム」が出発した3分後、14時28分だった。

「・・・」

 

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僕は14時44分発の急行電車で福井へ帰った。

 

市役所前から福井駅に向けて歩いていると、

乗り損ねたさくら色のフクラムが、

田原町に向けて走り去っていった。

 

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