以前、福井鉄道・福浦線のバスに乗車した際、
鯖江市に入ったあたりで
「ずいぶんと雰囲気のいい町並みがあるものだなア」
なんてことをぼんやりと思っていた。
帰宅後調べてみると、
幼少期を過ごした地であるらしい。
地図を眺めてみれば福井鉄道の鳥羽中駅が最寄りのようだ。
6月末の日曜日、散歩がてら出掛けてみることにした。
福井駅の西口に出ると、
ハピリンの前には何とも甘い香りが漂っていた。
この日開催されていたのは「メロンまつり」。
福井新聞の記事によると、福井のメロン生産量は全国11位だそうな。
全然知らなかった(笑)
駅前の電停に越前武生行きの電車が入線してきた。
僕の近くにいた女性2人が
「扉が開かない」「反対側は開いてる」と焦り始める。
思わず「大丈夫ですよ、もうすぐ開きます」なんて言っちゃったけど、
初めて乗る方には分かりにくいのかな、
なんてことも思う。
電車は市役所前へ。
ホームには予想以上に多くのお客さんの姿があった。
つい10分ほど前に急行の越前武生行きが出たばかりなのに、
いったい何事かと思う。
にわかに賑わった車内を眺めていると、
みんな何か楽器らしきものを手にしていた。
賑やかだった車内が一気に空いたのは
ハーモニーホール前駅だった。
調べてみると、この日、ハーモニーホールでは
「ウクレレコンサート」が行われるらしい。
なるほど、皆さん手にしていたのはウクレレだったのか。
ハーモニーホール前駅を出ると車内はガランとなった。
鳥羽中駅で下車。
浅水川に沿った住宅街を歩き、吉江という町を目指した。
しばらく歩くと、
近松門左衛門のキャラクター「ちかもんくん」を冠した看板が現れた。
特に下調べをしていた訳でもないもので、
ひとまず「春慶寺」なる寺へ。
案内看板には
「寺伝によると奈良時代に創建され、泰澄大師が白山修行に立つ際に、信仰していた当寺を『心敬寺』と名づけたことが前身であるとされる」
とある。
近松門左衛門も幼少時代、この寺の一隅で住んでいたそうな。
続けて「お清水」の文字に惹かれ、
「榎お清水」へ。
この日は恐ろしく蒸し暑かったが、
清涼感あふれる水がこんこんと流れ出ていた。
一口、もう一口とついついがぶ飲み(笑)
近松門左衛門の坐像を眺めて浅水川を渡り、
以前にバスで通った一画へ。
吉江は城下町だったらしく、道はかなり細かく入り組んでいる。
ウロウロ歩いていたら、そのうち方向感覚が分からなくなってきた。
ありゃ、鳥羽中駅はどっちの方だったっけ、、、、
もう少し腰を据えて徘徊するつもりであったが、
何せこの日は「蒸し暑すぎた」。
拭えども拭えども汗がにじみ出てくる。
ああ、ビールが飲みたいなあ、
けど、この日は飲めない日なのよなア、、、(涙)
鳥羽中駅に戻る道中で見つけた中華料理店に入った。
「豊莱園」(らいは正確には難しい字)とある。
店内に入ると地元の方と思われる男性客が集まり、
昼間っからビールを飲んでいた。
一方で家族連れの方や男性1人客など、そこそこ賑わっている。
愛想のいい女将さんにラーメンとライスと唐揚げのセットを注文。
飲んでる男性たちは「お母さん、ビールお願い」なんて言っている。
まあ、昼間から酒を飲んでる客がいる店というのは
総じてハズレがない(笑)
ほどなくしてラーメンと唐揚げのセットが配された。
醤油ベースのスープを一口。
シンプルイズベストってこういうのを言うンだろうな、
そんな特徴はないのかもしれないけれど、しみじみ旨い。
ゴロリとした唐揚げも素直に旨い。
ああ、ビール飲みたかったなア、、、、
ごちそうさまでした。
鳥羽中駅に着くと、ちょうど越前武生行きの
桜色のフクラムがやってきた。
フリーきっぷを所持していたもので、ためらわず乗り込む。
目的は無論、北府駅の610形。
まだいるかな、、、、
この時、初めて気付いたのだけど、
桜色のフクラムには一つだけピンク色の吊り輪があるんですな。
北府駅の構内にはまだ610形の姿が見えた。
ホッとした気持ちが半分と、
いつまでも雨ざらしで放置されているのも何だかなあ、
という複雑な心境に陥る。
でも、いなくなっちゃった時はスクラップにされている訳で、
それはそれでやはり寂しい。
次回来る時はまだいるのか、
もういないのか、分からない。
毎回「さよなら」を言いに、僕は武生まで足を運んでいたりする。
グリーンのフクラムで福井へ帰る。
「やったあ、フクラム乗れた!」とはしゃぐ子供の相手をしていたら、
あっというまに電車は市役所前に着いた。
電車内は涼しくて快適だったけど、
一歩外に出た瞬間に「むわわーん」とした空気がまとわりつき、
じわじわとまた汗がにじみ出てくる。
ついでに喉も渇く。
仕方なく、僕はコンビニに入り、
ノンアルコールビールを買い求め、
きゅーっと一杯飲んでから家路についた。
追記
桜色のフクラムのピンクの吊り輪、
この翌日からは「ハート」の形になったそうです。
おじさんが手にするにはちょっと恥ずかしいような(汗)