北陸徘徊人(元)

富山、福井、石川を中心にゆるーい旅を満喫中

城北線とリニア館とみそかつ丼

こないだ名古屋に行った際、

心残りだったのが城北線に乗らなかったことと、

みそかつ丼」を食べなかったことだった。

 

18きっぷ」が販売されたら1人で行こうと思っていた矢先、

相棒が「リニア館に行かないか」などと言う。

ふだん鉄道に興味を示すことなど全くないのに、

いったいどうしたことか、とも思うが、

昨年一緒に行った「京都鉄道博物館」が予想外に面白かったらしい。

 

僕もリニア館は開館まもない頃に行ったきりであったもので、

一緒に行く分には何ら問題はないのだけど、

城北線」というマニアックな路線に付き合わすには

ちょっとばかり抵抗も感じたりする。

おまけにこの男、「みそかつが苦手」と公言しており、

そうなれば「みそかつ丼」の店など行けない可能性も出てくる。

 

ま、別に名古屋市内で別行動をすればいいだけか、

そんな流れがあって早朝4時40分、僕らは福井駅前にいた。

 

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敦賀行きの快速電車はいつものことながら

そこそこ席が埋まっていた。

朝も早いしみんな眠そうである。

すると出発直前になって

5人だか6人だかの中年の男性グループが飛び乗ってきた。

 

で、この方々、おそらく朝まで飲んでいたと思われ、

恐ろしくやかましい(笑)

みんな寝ていることなど一切気にしない。

人のふり見て我がふり直せ、と自分に言い聞かす。

 

彼らが武生で降りていくとようやく車内に静寂が訪れた。

 

敦賀米原で乗り換えて豊橋行きの新快速に乗る。

この列車の名古屋着は7時42分(土・休日ダイヤ)で、

何も特急列車を使わなくとも名古屋を一日楽しめるのはありがたい。

 

ただ、リニア館の開館までにはまだ時間があるもので、

先に城北線に乗ることにして岐阜で各駅停車に乗り継ぐ。

 

ただ、この場においても城北線に相棒を付き合わせるには

ちょっとばかり抵抗があった。

以前一緒に行った「ガイドウェイバス」や「リニモ」と違い、

城北線に関してはその魅力をうまく表現できない。

まして運賃は非常に高く、18きっぷとは別料金。

 

「何なら名古屋駅で待ち合わせしてもいいけど」

僕は言ったが相棒は「乗る」と言った。

 

名古屋駅のひとつ手前、枇杷島駅で下車。

城北線のホームに目をやると、ポツリと1両編成の気動車がとまっている。

 乗り込むと相棒は「JRと同じ車両に見える」と言った。

「・・・」

 

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7時51分、出発。

車内は気の毒なほど閑散としており、僕ら以外には2人乗っているだけだ。

列車は東海道本線の線路と別れ、

立派な複線の高架橋を進んでいく。

 

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この名古屋という大都市において、

この立派な複線の高架橋を単行のディーゼルカーが行き来している、

それこそがこの城北線の魅力であるのだが、

相棒は全く興味を示すことなくスマホを見ている。

「・・・」

 

3分ほど走って尾張星の宮

ここで3人ほど乗ってきた。

 

僕が初めて城北線を訪れたのは多分高校生の頃で、

当時はまだ枇杷島にも乗り入れておらず、

この駅が終点だった。

 

その時は勝川駅から乗って尾張星の宮まで来たのだけど、

やはり車内は閑散としており、

一駅戻って小田井駅から名鉄上小田井駅へと乗り継いで名古屋に戻った記憶がある。

 

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当時はあくまで暫定開業だからお客さんが少ないのだろうな、

なんて考えていたが、

枇杷島まで延伸してもなお、賑わっている様子をみたことがない。

今回は小田井駅で4人下車して車内には僕ら以外に1人いるのみ。

 

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この路線が賑わったことがあったのだろうかと思い、

後から開業時の中日新聞の記事を探してみた。

何故か「JR城北線」として紹介されている(笑)

 

JR東海初の新線、城北線の勝川(愛知県春日井市)ー尾張星の宮(同県西春日井郡新川町)間9.3キロが1日、開業した。

上り一番列車は、鉄道マニアらでほぼ満席となり、午前6時40分、勝川駅を出発した。同駅では午前9時10分から、出発式があり、須田寛JR東海社長、鵜飼一郎春日井市長、井上博瀬戸市長ら関係者がテープカットした。

通常1両の運転となるが、この日は2両編成の運転で、カメラを持ったマニアや「記念乗車」の人で一日中にぎわっていた。

城北線は、1時間に上下とも1〜2本の運行で、初乗り料金は200円。全線は勝川ー枇杷島西春日井郡西枇杷島町)間12キロで、平成5年3月に全線開業の予定。

【平成3年12月2日・中日新聞朝刊より】

 

以上が全文で、30面の右下あたりに一応写真付きで載っている。

新規路線の開業なら1面トップでもおかしくないが、

この日の中日新聞のトップ記事は高知県知事選挙で橋本大二郎さんが初当選!というものだった。

 

さらに新線開業にもかかわらす、

「沿線住民が待ちに待った」みたいな記述が一切ないところが、

この路線の行く末を暗示していたような気もしなくもない。

 

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比良から2人ほど乗車があり、

枇杷島から17分ほどで列車は勝川駅に着いた。

運賃は440円。

「いい値段するな」と相棒が苦笑いを浮かべている。

 

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城北線勝川駅JR中央本線勝川駅は500メートルほど離れている。

JR勝川駅が高架化された、そんな話を聞いた時、

駅も統合されたものだと信じていたが、

何ら進展のないまま現在に至っている。

 

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中央線で名古屋駅へ。

そこであおなみ線のホームを見れば、随分と人であふれている。

思いついたのは今春開業したレゴランドが終点の金城ふ頭にあることで、

「何かと苦戦が報じられているレゴランドだけど、結構お客さん向かってるのかな」

なんてことを思っていた。

 

 

 

朝食を食べてからあおなみ線の乗り場へと向かった。

すると改札前は大混雑しており、

「きっぷを購入の方はこちらに並んでください」と駅員が叫んでいる。

「何があるのですか」と思わず駅員にたずねてみたら、

ロボカップ」なるイベントがポートメッセなごやで開催されているそうな。

 

車内も大混雑のあおなみ線に揺られて金城ふ頭へ。

ポートメッセへ向かう列から外れてリニア鉄道館へ。

 

ニュースでは耳にしてたけど、

もう700系新幹線も博物館入りしてるのね。

 

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食堂車を眺めていたら、

「こんなのが新幹線にあったンやなあ」と相棒が言う。

「昔は雷鳥にもあったンだってさ、乗ったことないけど」

僕は言った。

 

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今回リニア鉄道館で一番印象に残ったのは、

懐かしの「シンデレラエクスプレス」のCMを見れたことか。

牧瀬里穂さん、可愛すぎる(笑)

 

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117系の車内でお弁当を食べている家族連れを見ていると、

急に腹が減ってきたもので、

リニア館を切り上げて市内へ戻る。

 

地下鉄へと乗り継いで栄へ。

目指すお店はビルの間の細道の先にあった。

「叶」とある。

こちらのみそかつ丼がちょっと前から妙に気になっていたのだった。

 

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みそかつ」が苦手な相棒に「本当にここでいいのか」と訪ねてみたら、

どうやら「食わず嫌い」であるそうな。

 

店の前で待っていたのは10分ほどだったか、

ちょうど頭上にダクトがあって、

何とも芳しい香りと熱気が漂ってくる(笑)

 

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2階の座敷に案内されて着席してからもしばらく待ったか。

空腹感も絶頂に達した頃、ようやく「みそかつ丼」が運ばれてきた。

第一印象は思ったより「小ぶり」だなってことか。

大盛りにしとけばよかったかな、なんて思いつつ実食。

 

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食べて素直に「柔らかい」と思う。

そして見た目は「グロい」が味はぜんぜんくどくなく、

わせわせと食が進む。

中央の卵を崩せば味に変化が出るのも楽しい。

個人的にはもう少しご飯が入っていると嬉しかったかな。

 

僕らと相席だったのは男性2人組だったのだが、

彼らの元には「大盛り」が届き、

「メシに届かん」と悪戦苦闘してました(笑)

やっぱ普通盛りで正解だったような気もする。

 

相棒も「これなら全然いける」と満足気だった。

ごちそうさまでした。

 

さて、これで今回の名古屋での予定はすべて終了である。

あとは福井に帰るだけだがまだ14時すぎ。

僕は三越の屋上で時刻表を広げた。

 

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手元にあるのは18きっぷだし、

関西線〜草津線経由や

関西線〜奈良線経由で帰るのもいい。

ついでに四日市あすなろう鉄道に乗りたい。

桑名から養老鉄道で大垣に抜けるのも楽しそうだ。

いや、

北陸在住だとなかなか乗る機会がない近鉄の名阪特急で難波に出て帰るのもオツだ。

 

相棒にあれこれ提案してみたところ、

「まっすぐ帰るんが一番いいんじゃないの」

と、ごく普通の思考回路から発せられる言葉が出てきた。

 

僕らはおとなしく来た道をたどり、

福井へと帰った。

 

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