北陸徘徊人(元)

富山、福井、石川を中心にゆるーい旅を満喫中

おじさんたちは長電ゆけむりの展望席に乗りたかった

長野電鉄のゆけむりに乗りたい、それも先頭車に」

ということは福井に暮らす連れがかねてから言っていたことで、

先日福井で会った時にも仲間内でそのことを強く訴えていたのだけど、

このたび実現する運びとなった。

 

今年の初詣に多賀大社に行ったメンツで、

おじさん4人、長野へGOである。

 

当初は福井の3人と新幹線で朝に合流して長野へ、

そんな予定であったのだけど、

前日に3人が富山入りしたこともあり、

時間的余裕も生じたことで

並行在来線で長野に行き、帰りは新幹線を使うことになった。

 

 

 

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早朝の富山駅

あいの風とやま鉄道の窓口で「長野まで行きたいのだけど」と言ったら、

「こちらでは直江津までの発券となります」という。

 

お隣のえちごトキめき鉄道妙高高原までであるから、

途中駅の直江津で運賃が切れると高くなるンじゃないの?

と聞いてみたら

「あ、そうかもしれませんね」と言い出して調べようとしてくれたのだが、

「いいです、いいです、買い足していきます」と券売機で市振までのきっぷ1110円を買った。

 

すると改札口にいた別の駅員が窓口氏との会話を聞いていたのであろう、

直江津まで買った方が安くなります。すぐ処理しますンで」という。

彼は市振までの乗車券を回収した上で、

直江津までの乗車券を発券(2080円)してくれた。

そんなもので差額の970円を改札口で支払い、ホームへ。

直江津ー長野の運賃は1500円であるから計3580円。

 

富山ー長野を3社バラバラに購入すれば3600円で、20円お得ということか。

「何つう丁寧な駅員さんよ」とこの時は思っていた。

富山発6時52分の電車に乗車。

 

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電車は淡々と富山平野を走って泊着が7時39分。

ここでえちごトキめき鉄道ディーゼルカーに乗り継いで出発は7時51分。

「夏の日本海はおだやかできれいだなあ」なんて話をしつつ、

直江津着は9時02分。

乗り継ぎに時間があるものでいったん改札口の外に出ることにした。

 

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そこで知ったのが「えちごトキめきフリーパス」の存在である。

いや、正確に言えば存在そのものは知っていたが、

詳しい内容までは見ていなかった。

だいたい、基本的にフリーパスなんて、片道の最大運賃+アルファくらいの値段がするもので、通り抜けするにはあまりメリットがないものだ。

 

ところがえちごトキめき鉄道のフリーパスは、

市振ー妙高高原の運賃が1660円なのに対し、

わずか1000円で2日間有効であったりする。

さらにこのフリーパス、乗車前の購入が前提なのであるが、

あいの風とやま鉄道の泊駅でも発売しているらしい。

 

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と、いうことは分割して買っていれば、

あいの風とやま鉄道が1110円、

えちごトキめき鉄道が1000円、

しなの鉄道が830円、合計2940円で長野まで行けたことになる。

ろくすっぽ下調べをせずにいるとこんなミスをやらかしてしまう。

 

僕はこの事実を言い出しっぺの連れにだけ伝えた。

「まあ、3セクの売上に協力したってことで」

と連れは言った。

大人だなあ(笑)

 

そして、今まで考えたこともなかったのだけど、えちごトキめき鉄道は他の3セクより運賃が安い。

直江津妙高高原間は37.7キロで670円とJR本州3社の幹線運賃と同じ。

これに対し、しなの鉄道妙高高原ー長野間は37.3キロで830円かかる。

これまで一番経営が厳しいのはえちごトキめき鉄道かな、なんて勝手に思っていたが、

実際はそうでもないということだろうか。

 

 

 

せっかくの電車旅だし飲むか、

そんな話になって直江津駅売店でビールやらつまみを買ってホームへ。

すると妙高高原行きはあろうことかロングシートであった。

流石にロングシートの車内でビールを飲む勇気は僕らにはない。

 

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仕方ないので出発前にホームで飲み干す。

 

妙高高原行きの直江津発は9時44分。

9時40分に長岡からの電車が到着すると車内はラッシュさながらの混雑となった。

これだけ混んでればロングシートも納得の光景であったりする。

 

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混んでいる状況は上越妙高あたりまで続き、

二本木で立ち客の姿もなくなった。

すると運転士がこんなアナウンスを流した。

 

「この先、しなの鉄道の電車にはトイレがございません。先におすませください」

おじさんたちは何かとトイレに敏感な世代なもので(汗)

慌ててトイレに交互に行く。

 

あとで調べてみると、

しなの鉄道の車両は、軽井沢ー篠ノ井開業時からトイレはなかった、

というか撤去していたらしい。

これまで気づかなかったのは単に僕が若かっただけであろう。

 

しかしながらIR、あいの風、えちごトキめき鉄道にはトイレがあり、

3セクの先駆者であるしなの鉄道にトイレがないというのはいかがなものか。

トイレがない、というのは潜在的に鉄道利用を遠ざけている理由のひとつだと思う。

 

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長野着は11時27分。

富山からは待ち時間を含め4時間半を要しており、

特急「白山」が廃止されて北陸新幹線が開業するまで、

富山から長野への鉄道利用といえばずっとこれが当然のことと化していた。

一時期高速バスも運行されたが早々に廃止されたそうだ。

 

長野駅に降り立ったのはおよそ5年ぶりか。

あまりにも美しい駅舎に変貌しており呆然と見上げてしまう。

 

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長野電鉄の窓口でフリーきっぷを購入し、

観光がてら善光寺へ向かう。

僕と連れが長野に来た目的は「鉄道」であるが、

あとの2人の目的はあくまで「観光」であり「温泉」であり、

実は鉄道には全く興味がない。

 

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さて、いよいよ長野電鉄の特急「ゆけむり」に乗車。

「ゆけむり」こと1000系電車は平成17年に小田急電鉄からやってきて、

平成18年に運転を開始した元ロマンスカーで、

かつて東京で暮らしていた連れは乗りたくて乗りたくて仕方なかった、とのこと。

 

僕はこの列車に過去5度ばかり乗っているのだが、

展望席の、さらに最前席に座ったのは1度だけだ。

全席自由席ということもあり、先客がいればアウトである。

最前席に座りたいという連れの願いを叶えるには、

誰よりも先に並ぶ、それ以外の方法はない。

 

乗車予定の「ゆけむり」11A列車の長野発は15時33分。

時刻表を眺めると、14時52分に長野に着く「ゆけむり」12A列車があるもので、

この折返し運用であることは想像がつく。

そんなものでこの時間から電車の到着を待つことにした。

 

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14時52分、「ゆけむり」12A列車が長野駅に到着。

思いのほか多くのお客さんの姿があったことに驚く。

車内整備の後に扉が開き、無事に最前席を確保。

連れは「やっと願いがかなった」と嬉しそうであるし、

鉄道に興味のない2人も「これは凄いな」と興味津々である。

 

で、出発まで30分以上あるのだけど、

この席がエアコンがガンガンに効いており

この日の長野駅前の温度計は35度を示していたが、

地下駅には日差しも入らず寒さで震えてくる。

 

そして男が1人現れ

「開いてませんか」という。

「開いてませんか」も何も4人既に座っている。

言葉の意味が不明である。

 

さらに男が1人現れ、僕らの様子を見て

「あー、くそっ!」と声を出す。

ついでにホーム側から展望席を覗き込み、

何か知らぬが僕らを睨んでいる。

 

「めっちゃ怖いんやけど」と1人が言った。

 

変な話だけど、この席にどうしても座りたかったのは4人のうち1人だけで、

ここに可愛らしい鉄道少年でも現れて残念そうな表情を浮かべれば、

少なくとも僕は席を明け渡しても良かった。

さらに4人のうち1人は富山から長野までの大半の区間を寝ていた。

展望席であっても寝ているだろう。

彼もまた、この席にこだわる必要はない。

 

しかしながらいい年したおっさんに「くそっ」とまで言われ、

睨まれたところで席を譲る気になんてならない。

 

気づけば車内は展望席だけでなく、多くのお客さんで賑わっていた。

 

15時33分、定刻に出発。

「ゆけむり」は5分ほど地下区間を走行し、地上に出た。

「わあ」と車内に歓声が上がる。

 

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福井を愛してやまない連れが

「えち鉄にもこんな車両がほしいなあ」とつぶやく。

本当にそうだよなあ、と僕も思う。

 

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そして、鉄道に興味のない1人は千曲川を渡ったあたりから、

湯田中に着く手前までずっと爆睡していた(笑)

 

16時20分、「ゆけむり」は定刻に湯田中に到着。

「いやー、良かった、良かった」と連れは満足げな表情を浮かべている。

「それは良かった」と僕も嬉しい。

 

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今宵の宿は渋温泉

渋温泉といえば宿泊者限定の外湯巡りである。

僕らもすっかり汗だくになったもので、

宿で鍵を借りて出掛けた。

 

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最初に入った湯は体を洗うためのカランも何もなく、

浴槽に淡々と湯が流れ、蛇口がひとつだけある、

そんな簡素な造りだった。

湯に触れてみると恐ろしく熱い。

 

「あつっ!」とおっさんたちの悲鳴に似たような声が

狭い浴槽に響き渡る。

浴槽からは絶えず湯がオーバーフローしているのだが、それも熱い。

水道の蛇口をひねってみたが

たかだがこんな水量でぬるくなるとはとても思えない。

 

結局僕らは誰ひとり湯に浸かることのないまま、

その外湯を飛び出した。

 

追記、他は入れました(笑)