北陸徘徊人(元)

富山、福井、石川を中心にゆるーい旅を満喫中

富山地方鉄道上滝線・開発駅徘徊

富山に戻ってきて一番驚いたのが

ダイエーの湯」こと「プラザ湯」が健在だったことだ。

現在、堀川にある「マイプラザ」にはかつてダイエーが入っていて、

屋上駐車場の片隅、「何でこんなところに?」という場所に

入浴施設があった。

 

初めて行ったのはまだ自動車の免許を持っていなかった頃で、

山小屋の先輩が富山市内に買い物に連れて行ってくれたのはいいけれど、

昼過ぎに「ちょっとパチンコ行ってくるけど、おまえもやる?」

なんて言われ「やりません」と答えたら

「今日の晩飯をおごってやる。焼き肉でも行こう」と言われ、

それを期待して掛尾のノースランドの駐車場で別れ、

CD屋行ったり本屋行ったりとうろうろしてたらダイエーまで来たら

風呂があり、何となく入ってみようという気になったのだった。

 

しかしながら携帯もない時代なもので、

あまり自由にうろうろという訳にもいかず、

適当に時間をつぶしてノースに行ったら先輩はまたパチンコに夢中で、

「もう少し待ってくれ」と言われて車の中で待ってたら、

結局先輩が出てきたのは20時すぎで、

確か先輩はズタボロにやられたようで、

「すまんかった」と本郷にある吉野家で牛丼をおごってもらって帰ったことを覚えている。

 

その後免許を取得して自分の車を持つようになって、

山から下りてくると糸庄でもつ煮込みうどん食べて、

掛尾のCD店や本屋、スポーツ用品店を覗き、

「プラザ湯」で風呂に入ってダイエーで買い物して帰る、

というのは一時期定番コースのようになっていた。

 

ダイエーが撤退してマイプラザになり、

ジョーシンが長らく入っていたが、

それも撤退してすっかり寂しくなり、

「プラザ湯」もなくなったと勝手に思っていたら、

リニューアルしてめちゃくちゃキレイになっていた。

 

こうして富山には銭湯文化がまだまだ残っているとはいえ、

確実に減っているのも事実であるし、

行きもしないのに「減った」と嘆くのも変な話であるような気がする。

ひとつでも多くの銭湯を訪ねてみたいなあ、とは思っている。

 

 

 

電車で行けて、良さげな食堂も近くにあって、

そんな条件であれこれ捜していると、

富山地鉄上滝線の開発駅近くに条件に合致するものを見つけた。

 

いつもは富山駅を起点とすることが多い拙ブログだが

今回は諸事情により「マイプラザ」にも近い南富山駅から出発。

 

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今までまったく意識したことがなかったけど、

屋上に踏切やら信号機らしきものが見える。

いったい何に使ってるんだろう???

 

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南富山から開発駅までの

運賃を確認すると310円だった。

ICカードえこまいかの残高を確認すると560円。

1割引なら280円のはずで、往復できるよな、とも思ったけど、

一応1000円だけ入金してホームへ出た。

 

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やってきたのは元東急の車両。

地鉄唯一のロングシートの車両であるが、

距離も短い不二越・上滝線内での運用ならまだいいわな、と思う。

この車両で宇奈月立山まで行くのは嫌だなあ(笑)

 

10分弱の乗車で開発駅に到着。

ほんの少し内陸部に入っただけで、寒さが一味違うような気がする。

 

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駅からさらに10分ほど歩くと、

田園地帯の中に広がる住宅街に入った。

 

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とても食堂や銭湯がありそうなエリアに見えないよなあ、

と思っていたら、古びたショッピングセンターが現れ、

その一画に目指す食堂が見えた。

「大衆食堂 志水」とある。

 

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外装も、内装も古いけど、とにかくきれいにしている、

それが第一印象。

表の白板にランチは「チーズメンチカツ」とあったもので、

ランチを注文。

 

厨房の中は見えなかったけど、

ほどなく「ペタッ、ペタッ」というひき肉を形成するような音が聞こえてきて、

さらにそれが油に投入されたのであろう、

しゅわしゅわしゅわしゅわー、と揚げる音も聞こえてきた。

 

うーむ、音を聴いているだけで腹が減る。

 

ほどなく配されたチーズメンチカツは、

この食堂に似つかわぬ、なんて言うと失礼かもしれないけど、

ずいぶんハイカラな印象がある。

揚げたてのメンチにとろりと溶けたチーズ、

かつ濃厚なソース。

 

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うまいに決まってますよな(笑)

食後のコーヒーまでついて700円とは十分に満足できる内容と味。

絶対にこの食堂、ほかのメニューもうまいはず。

ごちそうさまでした。また来ます。

 

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志水食堂さんの目と鼻の先に銭湯「開発鉱泉」はあった。

居心地よさげな食堂の眼の前に銭湯があるなんて、

このシチュエーションって最高だよな、と思う。

番台は脱衣場ではなくロビーにあって、

中にいたのが若い女性というのが珍しいような気がする。

 

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そしてこちらの銭湯、営業開始が13時からで、

僕が入ったのは13時15分くらいだったけど、

すでに男湯には10人近い先客がいた。

 

男湯にいた人生の諸先輩方は誰一人喋っていないが、

ずーっと隣の女湯からは賑やかな声が聞こえてくる。

 

石鹸ひとつで頭のてっぺんから足の爪先まで洗って浴槽へ。

気のせいかもしれないけれど、

富山の銭湯と福井の銭湯の最大の違いは「湯温」だと思う。

 

福井の銭湯の大半は僕にとっては熱すぎたけど(笑)

富山の銭湯はどこに行っても普通に入ることができる、ような気がする。

 

無論、湯の温度なんて好き好きなんだろうけど、

福井の銭湯がめっきり減ってしまったのは

湯が熱すぎるという要因もあるのではなかろうか、

そんな気がしなくもない。

 

開発鉱泉さんの湯を満喫。

しっかり温まったのか、駅までの道のりも全然寒くない(笑)

 

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開発駅の古びた駅舎の中に、先客、

年配の男性が1人。

「こんにちわ」と声を掛け、

物珍しそうに駅の中を眺めていたら、

「昔はきちんと駅員もいたんですけどねえ」と男性が言う。

 

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「月岡にもいたけどいなくなっちゃった。この線でいるのは上滝と南富山。朝は不二越と小杉にもいるけれど」

ずいぶんお年を召されているような気がするが、

駅名がすらすら出てきたのには驚いた。

 

僕が乗るつもりの電車は14時11分発の電鉄富山行き。

「時間ですね」と僕が立ち上がると男性も立ち上がったので、

当然同じ電車に乗るのかと思ったら、

「わしが乗るのは29分」と笑って、建物の外で見送ってくれた。

 

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電車に揺られて南富山駅へ戻る。

 

 

トイレを拝借して小用を足そうとすると

背後の個室から「ああ、チキショウ!、ああクソッタレ!!」と

怒りにも諦めにも似た声が聞こえてきた。

 

「ああ、クソっ!ああ、クソっ!!!」

 

人というのは用を足しながら怒ることができるものなのだろうか、

それとも個室の中で別のことをしているのだろうか。

早く抜け出したいがこんな時に限って小便の切れが悪い。

 

「ちきしょう!ああ、ちきしょう!!!」

声は絶叫と表現してもおかしくないような感じになってきた。

僕は逃げ出すようにトイレを後にして、

家に向かった。