長らくサービス業に従事していたもので、
いわゆる世間一般の連休、
ゴールデンウィークや盆、正月というのはずっと仕事をしていた側だった。
てなもんで、ゴールデンウィークです、おやすみです、
となったところでイマイチどう過ごせばいいのかわからない。
平日なら格安で泊まれる宿も恐ろしく高いし、
昼飯を食べに行っても、風呂に行っても大混雑、
図書館なら空いているかと思ったけど、
ここもまた大混雑(涙)。
かといって家でじっとしているのも
何だかなあ、という気分であったので、
とりあえず富山市内を脱出しようと出掛けてみることにした。
こんな時、気軽に購入できるフリーきっぷが少ないのが
富山の辛い所。
エリアが広い北陸おでかけパスは当日販売なしであるし、
地鉄の1日フリーきっぷは2500円となかなかいい値段がするし、
エリア限定版でも1500円、
あいの風とやま鉄道の1日フリーきっぷも1500円。
このきっぷ、富山以西、以東でエリア区切ったバージョンを
1000円くらいで発売すれば、かなり需要があると思う。
福井なら1000円あればかなり多くの場所に行けたのに、
などと、うだうだ言っても仕方ないので
あいの風とやま鉄道のフリーきっぷを購入して、
泊行きの普通電車に乗り込んだ。
電車は50分ほどかけて泊に到着。
富山県内の天気予報を見ると「朝日町の泊の最高気温は〜」と紹介されるし、
あいの風とやま鉄道で富山駅から東へ向かう大半の列車は泊行きなもので、
日常的に耳にしたり目にしたりする地名であったりする。
駅前の通りを歩いていると、
なかなか渋い佇まいの食堂が現れた。
開いている時間なら間違いなく入っただろうけど、
いかんせん、まだ10時前だった。
このNTTの建物もある意味昭和、平成遺産であるような気がする。
町並みが途切れると、海に出た。
このあたりまで来ると
「富山湾っていうより日本海って感じだなあ」といつも思っていたけど、
「能登半島の付け根にある大泊鼻(石川県七尾市)と生地鼻(富山県黒部市)を結んだ線よりも南側の海域を指す」
とあるから、入善や朝日町で見る海はやはり富山湾ではなく日本海ということか(笑)
何とも心地よい海風を浴びつつぶらぶら歩いていたら、
宮崎の集落に着いた。
祭り囃子が海沿いの集落に響きわたり、
連休で帰省したのか「久しぶりー!」と再会を喜ぶ姿も見られた。
あいの風とやま鉄道の踏み切りを渡って
国道8号線に出る。
このあたりの8号線は「たら汁ストリート」と呼ばれ、
たら汁を提供する食堂やドライブインが建ち並んでおり、
昼飯に困ることはない。
泊側から見ると一番手前に位置する「きんかい」さんへお邪魔する。
たら汁にはまだ早い季節であるし、
それほど混んではなかろうと考えていたが、
それは甘い考えで、
昼飯にもまだ早い時間であるにもかかわらず、
店内は大混雑だった。
うーむと思ったけど、ほどなく席に案内された。
肉炒め定食を注文。
周囲はほぼ観光客なのだろう、
9割方「たら汁」を食べているような気がした。
混雑具合を見てるとしばらく待つかと思ったが、
ほどなく肉炒め定食が配された。
持ってきてくれたおばちゃんが僕の顔を見て、
ごはんのフタをとり、
「兄ちゃん、これじゃご飯たりんやろ、足してくるわ」と笑い、
「あ、ならほんの少し足してください」と言ったら、
「ほんとにちょっとでいいの?倍でもいいよ」と笑う。
濃厚なタレが絡んだ肉野菜炒めは白いご飯が進む、進む、、、
やはりおばちゃんが言った通り、
もう少しごはんを増やしてもらっても良かったかもしれない。
そしてこちらの「きんかい」さん、
恐ろしく忙しいはずなのに、
店員さんがニコニコと愛想がいいのがありがたい。
実はこの連休中に、とある食堂に入ったら、
娘さんらしき方がわりとニコニコ接客をしているのだけど、
厨房にいるおばちゃんがずっと不機嫌な顔をしている、
という場に出くわしたことがあった。
一応、その店の名物とやらを注文したのだけど、
数人しかいない先客の注文にも
何故か四苦八苦している様子が伺えた。
30分近くしてからおばちゃんが僕を見て、
「兄ちゃん、急ぐんか。定食は時間がかかる」というもんで、
「ならカレーなら早いですか」と聞いたら
「カレーも時間がかかる。コンロは4つしかないし、今日はうちら2人しかおらん」
と、相変わらず不機嫌な様子で言うもので、
何ともやりきれない思いで店を出たことがあった。
店員さんが愛想がいいっていうのは、
何より最高の調味料だよなってことが
「きんかい」さんで食事をすればよく分かる。
ごちそうさまでした。
秋ごろに「たら汁」食べに来ます。
飯のあとは風呂、という訳で「たから温泉」を目指す。
このあたりの8号線、
かつて僕はしょっちゅう車で行き来していたから、
「たから温泉」と「きんかい」さんは目と鼻の先だと思っていたが、
歩いてみると予想外に遠い(涙)
この北陸新幹線の看板、
僕が免許をとった頃には既にあった気がするけど、
撤去はしないのかな。
「たから温泉」の向かいにある「栄食堂」さんも大行列になっていた。
以前に「秘密のケンミンSHOW」で紹介された影響もあるのかな?
となればあの番組で紹介されるのは何よりの町おこしだなあ、とも思う。
大行列を横目に「たから温泉」へ。
入浴料は600円。
僕は5年ぶりくらいに入浴したのだけど、
「?」と思ったのは湯が無臭だったことか。
以前はもう少し油のような、鉄のような、
そんな独特な臭いがあったような気がしたけど、
単なる記憶違いだろうか。
それでもしょっぱい湯は恐ろしくよく温まるし、
開放的な露天風呂もやはり気持ちいい。
さっぱりした気分で越中宮崎駅を目指す。
途中のコンビニでノンアルコールビールを買ってぐびり。
長らく昼間から酒を飲むことに何ら抵抗なく生きてきたが、
最近は多少は恥じらいを感じるようにはなっている(笑)
電車を待つ間にヒスイ海岸を覗いてみたら、
多くの家族連れなどで賑わっていた。
今更ながら思ったには
ヒスイ海岸も有名な観光地なんだなあ、ってことか。
僕はディーゼルカーと電車を乗り継いで富山に帰った。
この日の富山市は夏日だったそうで、
家に帰った頃にはしっかり汗をかいてしまい、
温泉に入ったばかりなのにシャワーを浴びて、
やむを得ずスーパーで1本だけ買った本物の缶ビールを飲んだ。