近くのラーメン屋で昼食、
広小路近くの銭湯に行って、
万葉線で高岡に戻り、富山へ帰るというものだった。
そんなもので富山駅の券売機で乗車券を購入しようとして、
運賃表を眺めていたら、
とあることに気づく。
あいの風とやま鉄道には石川県の倶利伽羅と新潟県の市振を結ぶ路線であるが、
両端の駅が他社の管理となっていることもあり、
実質的には石動から越中宮崎まで19の駅が存在することになる。
そして、富山に戻ってきてからのこの一年で、
まだ利用したことがない駅が2駅だけあるのだ。
西高岡と福岡である。
何となく、だけどあのあたりの8号線を歩いていれば、
飲食店も多々あったような気がするし、
福岡にはスーパー銭湯もあったはず。
そんなわけで急きょ予定を変更して西高岡へ向かうことにした。
西高岡駅に着いて驚いたのは、
下り線のホームに立派な上屋ができていたこと。
(以前は確か何もなかったような、、、)
そして無人駅だと思いこんでいたけど、有人駅だったこと。
地図を眺めると、線路沿いに西に向かえば、
徐々に8号線が近づいてくる、といった感じがしたので、
そのまま西へ向かう。
能越道をくぐって先で8号線に入った。
確かこのあたりにうどん屋があったはず、、、、
しかしながら本日休業。
その向かいに中華料理店らしき店があるが、
看板が倒れたままで開いている雰囲気はない。
で、この先歩き続けたが、びっくりするほど飲食店がない。
後から調べてみたら、飲食店が多いのは西高岡から東寄りのようだ。
気づけばかつての福岡町の中心部へ。
8号線の先を眺めても、飲食店がある気配を感じなかったもので、
駅前に向かってみた。
すると、これぞ「駅前食堂」という雰囲気に満ちた店が現れた。
「お食事処 中藤」とある。
店内は昼時とあって大いに賑わっていたが、
カウンター席の真ん中が開いていたもので、
幸いにもすぐに着席。
その時、左側に座っていた女性2人組の元にカツ丼が配された。
続いて、右側に座っていた夫婦の元に冷やし中華が配された。
うーむ、どうしよ、としばし悩み、
カツ丼に平日限定の小うどんセットをつけることにした。
「あったかいのにする?冷たいのにする?」とのことで、
あったかいの、をお願いした。
カウンターの奥にはフライヤーがあって、
ご主人が揚げ物に励んでいるが、
その大半はとんかつであるような気がした。
店内の込み具合から
「こりゃ時間がかかるかも」と覚悟していたが、
それほど待つまでもなくカツ丼が配された。
うれしくなるほど正統派のカツ丼だ。
余計なことは考えずにガッツリ書き込む。
うひゃ、うめえww
うどんもちょい柔らかめ、出汁もいい塩梅。
ご主人が超がつくほど忙しそうであるにもかかわらず、
出ていく客に「ありがとうございました」と丁寧に声をかけていたのも、
何とも好印象。
ごちそうさまでした。
さて、福岡町である。
現在は高岡市であるが、僕がパッと思い出したのは
「ミュゼふくおかカメラ館」というミュージアムで、
何度か写真展に行ったことはあれど、
その周囲に何があるか、といったことは何も知らない。
しばし歩くと、なかなか雰囲気のある建物が現れた。
「雅楽の館」とある。
雅楽、って神社などで耳にする、音楽のことだっけ?
館内に入ると、古いながらも趣のある建物そのものに圧倒される。
係の女性によると、この建物そのものは小矢部から移築されたものであるらしい。
そして、雅楽は江戸時代後期からこの地方で親しまれ、
福岡町には「洋遊会」という全国的にも名を知られた雅楽団体があるという。
演奏会の様子がYouTubeにあったので拝借。
第10回 ふくおかひなまつり 雅楽演奏 「胡飲酒破(こんじゅのは)」
後から改めて雅楽の動画などを見てみると、
聞いているだけで癒やし効果抜群、という気がしてくる。
ぜひ一度生で聞いてみたいものだ。
この太鼓も叩かせてくれた。
予想外に「ずーん」と響いてきて、焦った(笑)
そして、ここで係の方が教えてくれたのは、
福岡町は「菅笠」が有名であり、
今なお全国生産の90%以上を誇っているとのこと。
福岡の庁舎では菅笠の展示も行っているそうだ。
福岡はこじんまりした町並みがあり、
深い緑があり、
ちょろっと散歩するには実に最適な街だった。
春の桜は見事だろうな、と思う。
岸渡川沿いに進んで高岡市役所の福岡庁舎へ。
玄関を入ってすぐのところに菅笠の展示コーナーが設けられていた。
ここで菅笠見ながら思い出したのは、
何かと話題の東京五輪ボランティアの衣装で、
この菅笠を現代風にアレンジして、
五輪の観戦客に配ればいいアピールになるのではなかろうか、
ということだったのだけど、
この翌日の北國新聞にはまさにそういったことが書かれていた。
多分、だけど、僕がこの菅笠を見学している時に、
まさに取材が行われていたので、
それがこの記事を書いた記者さんであると思われる(笑)
ま、五輪だけではなく、
富山でも毎年プロ野球が開催されたりしているし、
BCリーグの観客に暑さ対策としてかぶってもらう、
なんていうのもPRになるような気もする。
それにしても、昨年伺った小杉の鏝絵といい、
福岡の雅楽や菅笠といい、
長く住んでるけど富山には知らないことが多々あるものだ、と実感。
福岡庁舎の道路を挟んだ向かいに銭湯「福岡の湯」があったので、
入っていくことにした。
いつも世話になっている富山の「呉羽の湯」と経営が同じらしい。
入浴券を買い求め、
番台のおばちゃんにわたすと、
「石鹸、シャンプー持ってるか」とおばちゃん。
「大丈夫です」と答えたら、
「ごゆっくりー」とにっこり笑う。
で、改めて鏡を見れば、首から上は真っ黒で、
下は真っ白という何とも奇妙な中年男の姿がそこにあった。
一度海にでも行って、全身を焼いた方がいいのだろうか、
いや、中年男の肌には厳しいぞ、あれこれ思う。
浴室内は広く明るく、湯加減も申し分なし。
さらに露天風呂まであってまさに極楽。
いやはや、すっきりいい気分。
あー、ビール飲みてー!てな気分であったが、
残念ながらこの日は飲めない。
僕はおとなしく炭酸飲料を買ってぐぃっと飲み干し、
福岡駅へ向かった。
富山駅北口はなかなかシュールな光景になってましたww