高岡と氷見を結ぶJR氷見線は
高岡の住宅街を抜けて、
工業地帯を抜けて、
やがて海越しの立山連峰を望むことができるという
何度乗っても飽きない路線であるが、
その車窓に何時頃からだったのか気になる「車両」が現れた。
そこには鉄道車両やバスを解体する工場があるのだけど、
1両だけ、解体されずにいる車両があるのだ。
近郊型電車に改造したもので、
北陸本線ではおなじみの車両だった。
氷見線の車内からこの車両を見るたびに、
近くで見てみたいなあ、と考えていたけど、
いかんせん、工場の敷地内であるし、
その都度「お世話になりました」と思うようにしていた。
しかしながら、この工場の周囲には遊歩道が設置されており、
近くで見ることができることを知った、というのが今回の徘徊のきっかけ。
つい先日も利用したばかりのような気がするが、
何はともあれ、まずは腹ごしらえと住宅街を東へ向かうと、
高岡市内と伏木を結ぶ広い道路に出た。
このあたりにラーメン屋があるはず、、、
はて、どこだ、と思ったら、
目の前にあるちょっと年季に入った建物が目指すお店だった。
最近、食堂ばかり行っているから、
いわゆる普通のラーメン屋に入るっていうのも随分久しぶりな気がする。
明るく元気な感じの女性が迎えてくれて、
ラーメンにライスがついた「時間限定ランチ」、600円を注文。
ラーメンを単品で頼むと720円みたいだから、
ずいぶんお得な感じがする。
厨房の奥で旦那さんらしき方が調理する様子が伺えた。
ほどなくして配されたラーメン。
うまく表現できないけど、
「ラーメン屋のラーメン」って感じがする。
スープを頂き、めんをすすって真っ先に感じたのは
「昔からある富山のラーメンってこんな味だったよなあ」
ってことか。
今でこそ個性的なラーメン屋さんが花盛りだけど、
かつてはこういったシンプルというか、
オーソドックスなラーメン屋さんが主流だったような気がする。
何だか懐かしい気持ちになりつつ
あっという間に完食。
ごちそうさまでした。
臨港地帯に伸びる道路を歩いて伏木を目指す。
小矢部川を渡ると、目指す工場の敷地が見えてきた。
工場の敷地の周囲に伸びる遊歩道を進むと、
氷見線の線路に沿った場所に、目指す車両が現れた。
父親の実家が鹿児島なもので、
狭い三段式の寝台車。
初めて乗った時は興奮してなかなか眠れず、、、、
いや、何だかんだで熟睡して目が覚めたら八代だったなあ、
なんてことを思い出す。
それが北陸の地に来て普通列車として走っていた時は少なからずショックだったし、
年々ボロボロになっていくのもいたたまれない気持ちでいたけれど、
重厚な乗り心地は健在だったし、それはそれで良かったのだけれど、
何より印象的だったのはボックスのシートピッチが広すぎて、
短足の僕はがらがらの時に足を投げ出すのが辛かったことか(笑)
どういった経緯があってこの車両だけが残されているのか定かでないが、
縁あって再会させていただき、ただただ感謝。
さ、後は風呂だと伏木の街中を目指す。
伏木には2軒の銭湯が残っていて、
1軒は先日お邪魔した赤坂鉱泉さん。
もう1軒がこれから伺う伏木温泉さん。
まだ開湯時刻ではないけれど、
今日、確実に営業しているのか、
あとは場所を確認しに行ったのだ。
ちなみに富山県浴場組合のサイトによると、
営業時刻は14時から、となっている。
ところが、、、、
この時12時50分くらいだったか。
うーむ、営業は15時からか、、、、
時間をつぶして入浴してもいいのだけれど、
問題は氷見線の本数が少なすぎることだ。
乗車予定の列車は伏木発14時41分であるが、
その次は16時24分なのだ。
今回は諦めるか、と思って時刻表を確認したら、
伏木13時01分発の高岡行きがある。
ま、風呂は富山に帰ってからでもいいや、
と伏木駅を目指したのだけど、
思った以上に駅が遠い。
早足になる僕の脇を中学生くらいの少年たちが追い越していく。
「間に合わん!」とか言ってたから、
彼らもまた列車に乗るかもしれない。
僕も駆け足になって彼らを追った。
しかし、チューネン男との距離は開いていくばかり。
氷見線の踏切を越えたところで警報機がなり始めた。
僕は息を切らしながら、列車に乗るのを諦めた。
ここで僕は1時間後に赤坂鉱泉さんに行こうかと考えた。
しかし、よくよく考えれば、
氷見線の本数が少ないからと、
今回伏木温泉さんの入浴を諦めれば、
金輪際入浴は不可能になってしまうのでは、なんてことも思う。
別にあわてて帰る必要はない。
どっかで時間をつぶして入浴、16時24分の列車に乗ればいいのだ。
調べてみると伏木には図書館があることが分かったので、
お邪魔してみた。
こちらの図書館、高岡の市立図書館の分館的な位置づけなのだろうけど、
想像以上に蔵書が充実していた。
本屋で買おうかどうか悩んでいた
漫画「北陸とらいあんぐる」も1巻だけだったがおいてあり、
結局読み切ってしまったし、
平成初期ごろに刊行されたロードマップがあったり、
小学館の「JR・私鉄全線各駅停車シリーズ」が揃っていたりと、
あれもこれもと読んでいるうちにあっという間に2時間以上たっていた。
さ、風呂へ行くべ。
伏木温泉さんは住宅街の一画にひっそりと佇んでいた。
入ってみてたまげたのは、
フロント式の番台に「ショーネン」が座っていたことだ。
昔五福にあった銭湯では、
番台のお母さんと一緒に子供がいた、なんて光景があったけど、
ここでは「ショーネン」だけがいて、
ごく自然に「いらっしゃい」なんて言う。
おそらく小学校高学年。
学校が休みだから手伝っているのかもしれない。
小銭が100円玉4枚と50円玉しかなかったので、
差し出したらふんふんと数えて、10円お釣り。
浴室は決して広くはないが、
天窓があって明るい。
一番奥の浴槽は3つに分かれており、
向かって一番左側が冷泉を沸かした「赤湯」とのこと。
この「赤湯」はぬるめだったが、隣の浴槽2つはキリッとした熱さ。
客は僕以外はみんな顔見知り、みたいな感じ。
で、皆さんはお話されていたので、
僕は浴槽につかりつつ耳を傾けていたのだけど、
その中のひとり、白髪をオールバックにしたおっちゃんをどっかで見かけた気がして仕方ない。
ま、長年富山に住んでいるからどこかで接点があるのかもしれないが、
思い出せない。
上がろうと思ったら、そのおっちゃんが
「兄ちゃん、もう上がるんか」と笑った。
その笑顔にもやはり見覚えがあったけど、
やはり誰だか思い出せなかった。
帰路の車内でネットをいじっていたらこんなニュースを見つけた。
信濃毎日新聞より引用。
18年運行終了のトロリーバス保存へ資金募る 大町市、クラウドファンディングで
大町市は10日から、2018年に運行を終えた立山黒部アルペンルートのトロリーバス保存のため、クラウドファンディングで資金を募る。解体されたと思っていた車両が富山県内で残存していることが分かり、歴史遺産や観光資源に生かす考え。市によると、この車両は関西電力黒四管理事務所(大町市)が1993年から使用した300型。「トロバス」の愛称で親しまれ、扇沢駅(大町市)―黒部ダム駅(富山県立山町)間6・1キロで、18年11月末まで運行した。
市は運行終了前から保存を検討していたが、設置場所が決まらないなどで断念。既に解体されたものと諦めていたが、昨年6月、富山県高岡市のファンからまだ残っていると聞き、再び動き出した。
市観光課の宮坂充明さんは、クラウドファンディングを通じて保存の価値があると評価されるかどうか判断したいと説明。目標額は180万円とし、到達できなかった場合は断念するという。「ぜひ、多くの人の協力をお願いしたい」と呼び掛けている。《信濃毎日新聞》
今日みた工場の一画に関電のトロバスが並んでいたことがあったから、
あの場所に1台だけ残っていたということだろう。
そんでもってクラウドファンディングのページを見たら、
無事に当初の目標金額は集まったようだ。
一方で、関電がトロバスから撤退した今、
現存しているトロバスは立山だけであるし、
今となってはいつまで運行するか分からないし、
何年かすればあの工場の一画に運ばれているのかもしれない。
その時は、ぜひ富山県が引き取って、
できれば動く形で保存してほしいなあ、なんてことを思う。
最近真面目に思うのは富山には通年営業の、
かつ屋内型の観光の目玉が必要ではなかろうか、
ということで、
富山には多種多様なのりものが存在する訳だし、
のりものをメインとしたミュージアムなんてうってつけであるような気がする。
そこに実走できるトロバスでもあれば、、、、
今現在あの乗り物を整備して運転できる人がいるのは
富山だけなんだけどなあ、、、と思う。
ま、夢物語ですが(笑)
富山駅に戻ると、
こんなところにも、ってところに「信号機」が設置されていた。
ここでも
「電車が来ます、ご注意ください」なんてアナウンスが流れるのかなww
となれば屋内だしかなり賑やかしくなりそうだなあ、
なんてことも思う。
路面電車の南北接続まであと一週間。