腹が出てきたとか、白髪が増えてきたとか、
甥っ子や友人の子どもたちが大人になっちゃったことで
自分自身が「年をとった」と実感することはあれど、
日常生活においては年齢を聞かれることも、書くこともないもので、
あえて実年齢を意識することなく生きてきたところがあった。
ところが先日、20代の頃同じ山小屋に勤めてて、
その後別の山域で管理人やっている男の山小屋の記事がネットに上がってて、
「おー、頑張ってるなあ」てな感じで読み進めていたのだけど、
その記事の中でたまげたのは、
「管理人の○○さん(50)」の部分だった。
なぬ、あの男ももう50歳になったのか、、、としばし呆然。
僕は彼より若干年下なもので、50歳まではあと数年あるのだけど、
同年代の感覚で付き合っていた男が50歳になったと聞けば、
はるか未来のこと、なんて考えていた50歳という年齢が
急激にリアルに迫ってくるのを感じた。
とはいえ嫌な感情というのはさほどある訳でもなく、
50歳になったらJRの「おとなび」にも入れるんだなあ、とか、
映画館の夫婦50割引の対象にもなるのか、などと
ちょっと楽しみな部分もあったりする。
ま、残り少ない40代を満喫しよう、とは思う。
連れに「今、いろいろ安いきっぷがあるらしいな、何が得よ」と問われ、
「いろいろ乗れて楽しいのはとやま1日乗り放題きっぷかな」と答えたら、
ならそれで出かけよう、ついでに高岡にも用がある、
てな感じで富山駅で落ち合った某日の朝。
あいの風とやま鉄道の窓口で県民割引券を買い求めようと思ったら、
「売り切れました」と窓口氏。
まあ、所定の値段で買えばいいのだけど、
半額だからと出てきたケチなおっさんたちは思わず顔を見合わす。
「ただ、当社線内のフリーきっぷでしたらまだございます」
と窓口氏は続けた。
「どーするよ」と連れは言い、
「ま、それでもいいんじゃないの」と答えてあいの風とやま鉄道の一日券を購入。
で、僕らの後ろに並んでいた男性も
「とやま1日乗り放題きっぷ」の県民割引版を購入しようとして売り切れを告げられたが、
彼は所定の金額でそのきっぷを購入していた。
こういう方を大人っていうんだろうな、とも思う。
この時連れの目に止まっていたのはスタンプラリーの案内だった。
あいの風とやま鉄道には20の駅があるのだが、
各駅に設置されたスタンプを集めるといったもの。
「やってみよっかな」と連れが言い、
ま、何日かかけて集めるもの楽しいかもしれぬ、
と僕も台紙を手にした。
高岡で下車。
連れの用事が済むまで駅前をうろうろしていると、
万葉線の「獅子舞トラム」が姿を見せた。
運行を開始したのは知っていたけど、
実物を見ると想像以上にカッコいい。
連れを放置して乗りたい気分になったがぐっと我慢。
連れと再び合流して高岡駅でスタンプを捺印。
あまり詳しく見ていなかったのだけど、
スタンプがあるのはあくまで有人の16駅で、
無人の4駅分は隣の有人駅にあるそうな。
てなもんで、隣の高岡やぶなみ駅のスタンプも高岡駅にあった。
ここで思ったのは、一番ネックになりそうな越中宮崎には行かなくてもすむ、
ということで、一日で捺印できてしまうのではなかろうか、
ということだった。
しばし時刻表を眺め、石動へ。
他の駅では窓口に言って出してもらう、そんな方式となっていた。
石動で折返して西高岡へ。
僕はここで25分ほどの待ち時間でやってくる金沢行きに乗って
福岡で折り返してくることを考えていたのだけど、
駅前をぶらぶらしていると何とも渋い食堂を見つけてしまった。
「腹減ったな」と連れがいい、
「腹減ったな」と僕も言った。
入店すると女将さんが「すぐエアコン効いてくるからねー」と笑う。
ラーメンを注文したら親父さんが運んできてくれたけど、
この親父さんはスタンプラリーの台紙に興味津々。
で、このラーメンもまた絶品でねえ、、、、
いやはや、西高岡の駅前にこんな素敵な食堂があったとは。
再訪決定だな、うーむ、何処の風呂と掛け合わすかな、
などと考えるのは楽しい限り。
ごちそうさまでした。またお邪魔します。
西高岡からは泊行きの電車に乗って越中大門で下車。
スタンプ捺印して大慌てで金沢行きに乗り込む。
この日何度目かの高岡駅を通り過ぎつつ、
「行ったりきたりやなあ」と連れが笑う。
僕はただひたすら時刻表とにらめっこ。
その後は福岡、呉羽、小杉と回ってようやく呉西地区を抜け出し、
富山駅を通り過ぎて水橋へ。
水橋から東富山、魚津、滑川、黒部と行きつ戻りつを繰り返す。
「腹減った、コンビニはないのか」と連れがいう。
そうなのよなあ、目の前にコンビニがあるような駅は少ないんだよなあ、
と改めて思う。
黒部は駅前にコンビニがある貴重な駅。
15分弱の間にスタンプの捺印と食料を調達。
黒部からはおとなしく後続列車に乗って入善へ。
入善から生地へ戻り、
再び泊行きの電車に乗り込んだ。
泊行きの電車は空いていた。
残すマス目はあと2つ。
泊駅と越中宮崎駅であるが、スタンプは泊駅にある。
で、一応スタンプラリーに関する注意点を覚え書き。
まず、あくまでスタンプを捺印できるのは
窓口の営業時間に限る、ということ。
窓口営業時間は7時から19時30分という設定が案外多く、
さらに昼休みもあったりするので要注意。
↓以下サイトより窓口営業時間を書き出してみました
(令和2年8月12日にサイト記載の情報です)
石動
7:00~19:30福岡
7:00~11:40
12:40〜19:30西高岡
7:20~17:00(平日)
8:30~17:00(土日祝日)
9:00~16:00(年末年始・12月29日~1月3日)高岡
5:30~23:00越中大門
7:00~8:50
9:10~12:00
13:00~15:30
15:50~19:30小杉(北口)
7:00~19:30呉羽
7:00~9:00
9:45~11:45
12:30~19:30富山
5:30~23:00東富山
7:00~ 8:45
9:45~12:00
13:00~19:30水橋
7:00~12:00
13:00~19:30滑川
7:00~19:30魚津
6:10~20:00黒部
7:00~19:30生地
7:00~12:00
13:00~18:00
9:00~17:00(年末年始・12月29日~1月3日)入善
7:00~19:30泊
7:00~19:30
また、多くの駅は1人勤務なもので、
集札が落ち着いてからスタンプを出してもらう、
といった流れとなるもので、ある程度時間の余裕は必要かな、と思う。
何より、各駅なかなか魅力的なスタンプを用意しているので、
イベント終了後もうまく活用してほしいもの。
さらにこんな感じで電車に乗るのも楽しいな、
時刻表を眺めて効率よくまわることを考えるのも楽しいな、
なんてことも思ったが
同時に若くはないのだ、ってことを痛感した一日でもあった。
以前なら何時間でも電車に乗れたものだが、
今となっては身体の芯に「疲れ」を感じる。
電車は泊駅に着いた。
2駅分のスタンプを捺印して無事に結願。
連れも「まさか一日でできるとは」と満足気である。
しっかしまあ、泊までくれば越中宮崎まで足を伸ばしたくなる、
というのが鉄ちゃんなら誰でも思うことではなかろうか。
「なあ、ついでに越中宮崎まで行かへんか。折返しの待ち時間は50分くらいあるけど」
と連れに言ったら、
呆れたような、うんざりしたような表情を浮かべ
「今日は帰ろう」と言った。