少し前になるけれど、
富山駅の改札を抜けたら古本市をやっていて、
思わず手にしてしまったのが以下の本。
「富山のいで湯」
昭和52年、発行所は北日本新聞、著者は岡田正二さんという教師の方。
日本最奥の秘湯と言われている高天原温泉まで網羅していたことか。
風呂めぐりを趣味とする自分にとっては何よりの資料であるように思えて、
すぐさま購入。
この本を読んで改めて思ったのは、
富山県内では相当数の入浴施設が廃業している、ということだ。
それらの建物は今どうなっているのだろうか、
ということは当然のことながら気になることだった。
富山駅から乗った高岡行きの電車は4両編成の豪華版だった。
中途半端な時間だったこともあって空いており、快適そのもの。
「感染拡大防止のため、時差出勤や在宅勤務にご協力ください」
といった放送が流れたが、
あいの風とやま鉄道の場合、
できるだけ4両編成にするというのが何よりの「密」防止だよな、
と思ったりする。
小杉で下車して新湊行きのコミュニティバスに乗り継ぎ、
終点のクロスベイ新湊で下車。
クロスベイ新湊はかつての新湊市役所跡に建設された複合交流施設で
8月1日にオープン。
前はバスターミナルになっており、新湊を経由するバスの大半が乗り入れているようだ。
新湊のバス路線というのはかなり複雑怪奇で、
ヨソモノにはさっぱりわからなかったりするもので、
こうした行動の拠点となる施設の誕生は本当にありがたいなあと思う。
新湊のまちなかを東へ向かう。
今回最初に目指すのは「パン屋」さん。
前回に通りかかってから非常に気になる存在だった。
目指すパン屋さんに到着。
店内でパンを眺めていると、
おばあちゃんが「カレーパンもできたで」と出してきた。
てなもんでカレーパンを含め2つ購入。
お値段あわせて220円。
内川沿いのベンチでパンを食す。
今回はハナからこのパンを目的としていたので、
水筒にはコーヒーを入れてきてある。
またパンがうまくてねえ、、、
ただただシアワセ。
無論、パン2個だけですましたのには理由がある。
今回は「はしご」をするつもりで伺ったのがこちらのお店。
こちらも以前徘徊してた時に
「へえ、こんなところに」となったお店。
富山の西町にもあるけどこちらが本店らしい。
今回は12個入り400円のたこ焼きを購入。
適当なベンチがなかったのでしばしうろついて開封。
そうそう、これこれ、飾りっ気のない、
究極にシンプルなたこ焼き。
流行りの「カリッ、とろー」とは対をなす、とも言えるけど、
何だかミョーに癖になるのがこちらのたこ焼きの特徴。
駄菓子のような感覚で食べ進んでしまう。
たまにはこんな昼飯もいいもんだ。
今回新湊を訪れた一番の目的の建物は内川を渡った先の住宅街の中にあった。
「荒谷鉱泉」という。
先の「富山のいで湯」にはこんな荒谷鉱泉についてこんな記述がある。
新湊市荒屋地区は、中世に活躍した越中守護代・神保氏の放生津城跡で、荒屋の地名は荒屋敷の故名に由来するそうだ。
この荒屋地区に加賀藩が寛文3年(1663)に米蔵を建てたこともあって、ここを流れる内川には米を積んだ笹舟も出入りして賑わったという。
この地には、いつのころからか神保氏の埋蔵金伝説が流れていた。その風評に動かされた人が井戸を掘った。埋蔵金は夢だったが、あたたかい水が湧出したそうである。たまたま産後の肥立ちが悪い主婦が入浴してみると効果があった。それが機縁で明治40年(1907)に開湯された。
源泉の深さは4メートル。昔は3メートル掘って、そこに竹筒を埋めて送湯していた。現在は地下1メートルのところに鉄管が埋められている。水量は多く、2メートルの高さまで噴きあがるという。泉質は鉄泉で、クロールを含む。鉱水は浮遊物が多くて濁っている。
これを読んだだけでも「入ってみたかったなあ」と思う。
玄関先にはご主人による閉湯の案内が掲げられていたが、
その日付は平成27年3月31日となっていた。
つい最近までは営業していた、ということだ。
ま、今あるお風呂はひとつでも多く堪能しておこうと改めて決心した次第。
再び内川を渡って新湊のまちなかへ。
今回のひとっ風呂は「金崎湯」さんに伺うつもりであるが、
地図を眺めつつ、かねてから気になってたことがあった。
わりとその近辺をウロウロしているにもかかわらず、
そこに銭湯があった記憶がないのだ。
で、その理由は実際に建物を確認してわかった。
これが車道に面した建物であるが「金崎湯」と小さく記されているだけだ。
今まで気づかなかったのも納得、であったりする。
それにしても入口が見当たらないではないか、はて、、、
と思ったら、左側の建物の奥に右側の建物が突き出した構造となっており、
そこに入り口があるのだった。
番台はフロント式。
浴室内には7〜8人の先客がいる。
で、皆さん常連なんだろう、
ロッカーに服が入っているのに鍵がかかっていない(笑)
浴室内は清潔、かつ明るい。
いいなと思ったのは浴槽内に絶妙な高さの段差が設けられていたこと。
腰をかけても胸の上あたりまで湯につかっており、なかなかいい感じ。
一方で気になったのが
「おしりとあんよをきれいにして入ってね」
と書いてあったことだった。
はて、「あんよ」とは何だ?
僕はなぜかここでこの言葉が富山弁であろうと考えてしまった。
富山弁には
「あんま」=長男、「あんにゃ」=あなた、
といった言葉がある。
しかし「あんよ」とは聴いたことがない。
で、「おしり」とセットできれいにしましょうとあるもので、
僕はやましいというかなまめかしいもの想像してしまい、
いい年こいて「そっか、そっか、むふふ」となってしまうのだった。
「金崎湯」さん、いい湯でした。
スッキリした気分で金崎湯さんを後にして
クロスベイ新湊に戻り、バスと電車を乗り継いで富山に戻った。
そうそう、
後で「あんよ」とは何かと気になって調べてみたら、
「あんよ」とは別に富山弁でも何でもなく、
「足」を意味する幼児言葉で全国で使われているらしい。
うーむ、知らなんだ、
勝手に富山弁、かつなまめかしいものを想像してしまった自分が恥ずかしい、、、、