相方が某大ヒット中のアニメ映画のタイトルを挙げて
「見に行かへん?」と言う。
「興味がない」と答えたら、「あ、そう」とあっさり引き下がり、
「この週末、○○と見てくるわ」と福井の友人夫婦の名を挙げて
「金沢で」と言った。
福井でも富山でもやっている映画を見るために金沢かよ、
と喉元まで出そうになったけど
まあ、友人と会うのが目的なのだろうから余計なことは言わぬ。
すると相方は「で、金沢で何か用事ないの?」と続けた。
なるほど、僕と映画を見たかったわけではなく、
運転手として連れて行きたかった訳か、と思う。
行きたい所はあるのだけど、
このタイミングでちょうど天気予報をやっており、
週末は雨のようである。
「家で酒飲んで寝てるから行ってらっしゃい」と僕は言った。
「あ、そう」と相方は言った。
で、週末を迎えたら朝から快晴だった。
相方にどこの映画館に行くのか尋ねたら御経塚だと言う。
「なら西金沢まで運転していくからそこでおろしてよ」と僕は言った。
そして、富山は晴れていたが、
西へ向かうとどんどん空は暗くなり、
倶利伽羅トンネルを抜けると叩きつけるような雨に。
それでも金沢市内を抜けると雨は一応やんだ。
北鉄の新西金沢駅に到着。
雨がどうこう以前にめちゃくちゃ寒い、、、、
待合室でさてどうしようかとしばし悩む。
この日、僕が行きたかったのは金沢市の小立野、石引と呼ばれるあたり。
ずいぶん前のことであるが、
金沢在住の方のブログで紹介されていたお寺が
「あーいいなー」と思い、
別の金沢在住の方が紹介されていた食堂が
「うー、渋い、自分好みだ」と思っていたら、
地図を眺めれば目と鼻に先にあるのだった。
それに加え、この地には銭湯まである。
しかしながらこの天気である。
おとなしく北鉄のフリーきっぷでも買って、
鶴来と野町の間をうろうろしている方が賢いのではなかろうか、と思う。
ああ、どうしよう、どうしよう、と考えているうちに野町行の電車がやってきた。
電車に乗ってもなお、行き先が決まらない。
そうこうしているうちに電車は野町駅に到着。
僕の前にいた学生の多くは改札口で一日フリーきっぷを買い求めているようだった。
もう一度空を見上げたら雨はやんでいる。
よっしゃ、予定通り行くべ!!
僕は新西金沢駅からの運賃を支払って改札口を抜けた。
野町駅を出て大通りを渡り、寺町あたりに差し掛かったところで、
遠くから雷の音が響き始めた。
そして叩きつけるような雨が降り始めた。
寺町の交差点を横断し、犀川へと続くゆるやかな坂道を下るが雨がやむ気配はない。
こんな土砂降りの雨の中、僕はいったい何をしているのだろうか、と思う。
この道をまっすぐ行けば図書館があったよな、と考える。
酒でも飲んでいるのが賢いのかもしれない。
よし、そうしようと思って犀川を渡ったら雨はやんだ。
「・・・」
犀川大通りから石引へと続く二十人坂をのぼっていく。
途中にあったバス停の路線図を見て思ったのは、
野町からおとなしく片町に渡っていれば、
このバスで目的地に到達できたということか。
ま、いいや、後からこのバスで香林坊に行こう。
金沢大学附属病院に到着。
こんな正面からまともに見たのは初めてだったけど、
なかなかインパクトのある建物よな、、、
目指す食堂はたしかこのあたりのはずなのだけど、、、
としばしうろついて無事に到着。
おお、何つう渋い佇まいなのか!
いかにも仕事ができそうな雰囲気に満ちあふれている親父さんにラーメンを注文。
さほど待つことなくラーメンが配された。
うひゃ、うまそう。
すっかり冷え切っていた身体に、熱々のスープが染み渡る。
うめえ、その一言だ。
他に言葉が思いつかない。
とにかく、うまい。めちゃくちゃ、うまい。
そんでもってこのラーメンの値段が何と450円なのよな。
ごちそうさまでした。またお邪魔します。
店を出ると青空も見えた。
腹も満たされて何ともいい気分。
さて、もう一軒のお寺もこの近所にあるはず、、、、
で、目指すお寺、如来寺に到着。
入り口が分からずしばしさまよったのは内緒。
こちらには1000体もの石仏があるそうであるが、
それらしきものが見当たらない。
あれ、お寺を間違えたかな、と思っていると、
本堂から右手に進んだ場所に何とも愛くるしい石仏がずらりと並んでいた。
この石仏は決して古いものではなく、
平成七年から地元の方々によってコツコツと彫られたものらしい。
どれも穏やかな表情で、見ているこっちまでシアワセな気分になってくる。
しばし見入っていると、またどっひゃーんと雨が降り始めた。
「・・・」
足元はすっかりびしょびしょになった状態で、
石引温泉亀の湯さんを目指す。
あれ、こんな下った先だったっけ、と思いつつ、無事に到着。
建物に入って分かったのは、
通りに面しているのは駐車場のある1階であるが、
浴室は3階あり、そこにも入り口があるということか。
すなわちわざわざ坂道を下らなくとも、
石引の住宅街から入れる構造になっているようだ。
券売機に440円投入したけどうんともすんとも言わない。
?と思ったら、石川県の銭湯は460円だったww
で、こちらはその名の通り、銭湯料金で入浴できる温泉で、
浴槽には茶褐色の湯が溢れている。
さっと身体を洗って浸かれば、
「あー、もうどこにも行きたくない」そんな気になってくる。
あーいい湯だったと思って脱衣場に戻ると、
何とも懐かしいものが目に入った。
小学校の保健室にあったような木製の身長計だ。
久々に測ってみたら、
伸びてもなかったけど縮んでいる訳でもなさそうだ。
要するに横にだけ増えているってことね(涙)
温もったところで歩けば風邪をひいちゃいそうだったので、
素直に上石引の停留所からふらっとバスに乗って香林坊へ。
運賃は前払いで一律100円。
まっすぐサイゼリヤに行って酒でも飲むつもりだったけど、
「はて、映画は何時までなんだろう」
なんて気になってきた。
「終わったら迎えに行く」とは言われていたが、
何時の回を見るのかという肝心要なことを聞いていなかったのだった。
調べてみると上映回数が多すぎてさっぱり検討がつかない。
サイゼリヤに入った瞬間に迎えに行くなんていわれたら悲しい。
うーむ、どうすっか、と思い、
とりあえず本屋にでも行って過ごすかとなって、
大和に入り、7階の紀伊國屋書店を目指した。
エスカレーターを乗り継ぎつつ、何となくフロアガイドを見ていたら、
「屋上 プレイランド」なんて書いてある。
まだあるのだろうか、あったとしてももう閉鎖されているんじゃなかろうか、
なんてことも思ったけれど、きちんとプレイランドは実在した。
屋内のゲームセンターは電子音が響き渡り、
数人の子どもたちがゲームを楽しんでいた。
外を眺めるとシートをかぶった遊具が見える。
あー、外には行けないのかな、と思ったら扉は開いた。
へえ、金沢のど真ん中にこんなところがあったとは。
いい気分であったけど、何せ寒かった。
相方からは連絡がない。
よっしゃ、サイゼリヤに行こう。
デカンタのワインに辛味チキンにグラタン頼んでも1100円。
チョリソーをつけても1500円♪♪
スキップしたい気分で地下まで下り、
東急に向かい、エスカレーターに乗った瞬間に電話がなり、
「今どこにおる?迎えに行く」と相方の声が聞こえてきた。