北陸徘徊人(元)

富山、福井、石川を中心にゆるーい旅を満喫中

四日市あすなろう鉄道、近鉄名古屋線・近鉄四日市駅周辺徘徊

相方が大阪へ行くのに近鉄全線3日間フリーきっぷを利用して、

1日分余るしどっか行ってくれば、なんて話になった。

 

で、若かりし頃ならば

「よっしゃ、京都行って大阪行って帰ってくるべ」とか

「奈良や吉野あたりもいいなあ」とか

考えたであろうが、残念ながらもう若くはない。

せめて1泊なら多少遠出をしたいという思いもあれど、

日帰りなら近場で十分である。

 

さて、どこへ行くかと地図を眺めつつあれこれ思案するのはやはり楽しい。

 

 

 

近鉄名古屋駅から急行電車に揺られること30分と少々で近鉄四日市駅に到着。

駅前に出て、近鉄百貨店の存在感に圧倒された。

 

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四日市に来た最大の目的は

四日市あすなろう鉄道」に乗車すること。

近鉄時代も含めて未乗だった。

 

四日市あすなろう鉄道は2015(平成27)年に近鉄内部線、八王子線を引き継いで開業。

「あすなろう」の意味はホームページによると

「あすなろう」には、未来への希望(明日にむかって)や、内部・八王子線の特徴であるナローゲージ特殊狭軌線:線路幅が762 ㎜)、将来にわたり市民の皆様とともに育てていく鉄道という思いを込めています。 https://yar.co.jp/

とある。

 

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1日乗車券を購入してホームに出ると、

内部行きの電車が停車していた。

「小さくて」「可愛くて」かつ「きれい」と、何かと好印象。

そして、青と白のツートンカラーが

「何かに似ている」と思ったけど、

それが何か思い出せない。

 

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西日野からの電車が到着して、

多くの乗客が下車していくと内部行きの電車は出発した。

車両はきれいであるが、

モーターの音は大きく響き渡り、

「一生懸命走ってます」みたいな感じが伝わってくる。

 

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八王子線との分岐点である日永で途中下車。

駅周辺を一回りしてから西日野行きの電車に乗り込んだ。

乗り合わせた学生たちが「おはよー」とあいさつを交わしている。

 

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西日野駅で下車してしばし徘徊。

ちなみにどうして「八王子線」なのかと言えば、

以前はさらに1.5キロほど先の「伊勢八王子」まで路線があったとのこと。

 

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1時間ほど徘徊して四日市行きの電車に乗り込み、

日永駅で内部行きに乗り換えた。

通勤、通学の時間も過ぎたわりには乗っている、

そんな印象だったが、次の南日永で大半の客は下車していった。

 

車窓を眺めつつ、「ん?」となったのが、

まったくもって住宅街が途切れないということか。

近鉄から移管された路線ということで、

もっと「鄙びた」雰囲気を予想していたのだけど、

全然そんなことはない。

ローカル線というよりはむしろ「市内電車」といった方が

しっくりくるのではなかろうか。

 

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それは終点の内部駅についてもその印象は変わらなかった。

駅前から少し歩くと大型トラックがガンガン走る幹線道路、

それもよくよく確認してみれば国道1号線である。

 

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うーむ、としばし歩道橋の上で行き交う車を眺めつつしばし考える。

というのも、僕は内部駅から徒歩30分弱であろう場所にある、

国道沿いの食堂を訪ねるつもりでいた。

で、この山へ向かう国道を、交通量も少ないであろうと思い込んでいたのだった。

 

さすがにこの交通量の多い道のりを歩くのは、

と躊躇しかかったが、

だからといってここであれこれ検索するのも面倒になって、

結局予定の食堂を目指すことにした。

 

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内部駅から歩くこと約30分で目的の食堂に到着。

「週替りランチ」が「みそカツ定食」とあったので注文。

この時点で11時前で、昼食には少し早い時間であったが、

何人かのお客さんが出ていって、

駐車場には大型のトラックが何台が立て続けに入ってきた。

 

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ほどなくしてみそカツ定食が配された。

たっぷりのキャベツに熱々のカツ、

さらにたっぷりかかったミソだれ。

白飯もいい盛りで、みそカツのせて頬張れば思わずにんまりしてしまう。

 

お値段は550円なり。

いやはや、わざわざ歩いてきた甲斐がありました。

ごちそうさまでした。

 

帰路は国道1号線とは別の道があったので、

そちらから内部駅を目指した。

そして何となく歩いていたこの道こそが「東海道」だった。

 

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内部駅から朝イチで乗車した青と白の電車に乗った。

うーむ、この色の組み合わせ、

何に似てるんだったっけ、と考えている間に四日市に到着。

 

改めて外観を見て、寝台特急あかつきの「レガートシート」だ、

なんてことを思う。

(よろしければググってみてくださいww)

 

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あとは町をぶらついて、と何気なくスマホをいじっていたら、

何だか面白そうな場所を発見した。

近鉄名古屋線の普通電車に乗車して2駅、

海山道(みやまど)駅で下車。

 

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駅舎の手前にある線路は貨物線で、

踏切の先に駅舎があるという、何とも不思議な光景が広がっている。

 

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海山道駅から貨物線沿いの道を歩き、

工場や倉庫が建ち並ぶ地区へ。

先の貨物線からさらに分岐した先にあるのが

「末広橋梁」なる跳開式の可動橋。

 

www.kankomie.or.jp

普段は船舶が航行できるように橋が跳ね上がった状態であるが、

貨物列車が走る時は橋が下がるらしい。

ちゃんと下調べでもしておけば、そのダイヤも分かったのかもしれぬが、

思いつきで来たので調べる気力もない。

ま、見ることができただけで満足である。

 

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市街地を目指して歩いていると、

踏切を貨物列車がゆっくりと通過していき、、、、

道路を塞いだまま停車した。

「何つうところで止まるねん」と思ったら

踏切の警報機には「入替中」の表示が光っている。

 

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道路を塞いだ貨物列車はしばし停車した後、

「ガクン」と大きな音をたてて、バックしてゆき、

踏切が開いた。

ずいぶんのんびりした光景だなあと思ったけど、

このあたりでは日常的なことなんだろうな。

 

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JR四日市駅へ。

多くの方が近鉄四日市とJR四日市の落差について触れられているので、

あえてここでは触れない。

ただ、運賃表を見れば、名古屋ー四日市はJRの方がはるかに安い(近鉄は640円、JRは480円)。

 

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さらによくよく運賃表を確認すれば

名古屋までは480円であるものの

一駅先の尾頭橋までは680円、

二駅先金山まで行くと770円に跳ね上がる。

 

はて、これはどうなっているのだと思い、調べてみたら、

四日市−名古屋間の営業キロは37.2キロであるから本来なら680円であるが、

特定運賃が採用されて480円になっているようだ。

JR東海とて近鉄に対し白旗を上げている訳ではない、ということか。

こういうことを知るとJRを応援したくなっちゃうのよな(笑)。

 

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近鉄四日市駅を目指しつつ、徘徊していると、

何とも渋い商店街が現れた。

思わず「おお」と声が出た。

 

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駅の西側も覗いてみたら、

アピタドン・キホーテヨドバシカメラ宮脇書店サイゼリヤと映画館、

さらに献血ルームまで入った施設があった。

僕の日常生活において必要なものがすべて凝縮されている、と言っていい。

 

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ウロウロしている間に日も傾いてきた。

最後は銭湯に行ってシメとしよう。

四日市市内に残る銭湯は2軒、

今回は住吉湯さんにお邪魔した。

 

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住吉湯さんについたのは開湯時間の15時30分少し前であったが、

玄関前には既に10人以上の列ができている。

うーむ、これは混んでるなあ、もう1軒の方にするか、

と考えたが、場所も近いし似たようなものかもしれぬ。

 

ただ、よくよく見れば半数は女性であったから、

男性もまた然り。

しばし遠目に見ていると、のれんがかかる訳でもなく、

列が建物の中へと入っていった。

 

三重県の銭湯の湯銭は440円。

浴室に入ると左手に浴槽があり、

L字状に洗い場が並んでいる。

各カランには高さの違う椅子が交互にセッティングされていた。

 

浴槽は白湯、バイブラ、電気などが曲線を交えた仕切りで区分けされている。

さっと身体を洗った僕は白湯に身を沈めた。

思いの外熱く、かつ、深い。

 

「うー、この熱さ、たまらんなあ」

と悦に浸っていると、右隣で目を閉じていたおじさんが、

「今日はぬるいなあ」などという。

思わず「へ、そうなんですか」と問えば

「ええ、今日はぬるいですよね」と、

僕の左隣にいたおじさんに目配せして言う。

するとやはり左隣のおじさんも「そやなー、今日はちょっとぬるいかなあ」と答える。

右隣のおじさんは

「まあ、ゆっくり入るにはこれくらいでいいのかもしれませんね」とにっこり笑って、

浴槽を出て洗い場へ向かった。

 

とはいえ、僕には十分すぎるくらい「熱い」のだった。

普段はいったいどれほどの温度なのだろうか。

 

この日は何だかんだで3万歩以上歩いていたが、

住吉湯を出ると何だか足取りも軽くなっていた。

夕暮れ時の町の空気も心地よい。

 

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「ビールも飲みたいなあ」なんてことも思ったが、

一杯ですまぬのは明らかであろう。

何より今日は帰って晩飯も作らなければならない。

僕は後ろ髪をひかれる思いで名古屋行きの急行電車に乗り込んだ。

 

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