北陸徘徊人(元)

富山、福井、石川を中心にゆるーい旅を満喫中

阪神電鉄本線・大石駅〜新在家駅徘徊

阪神電鉄の大阪梅田行き普通電車は大石に到着した。

2面4線の高架駅、停車するのは普通電車のみ。

ちょうど似たようなタイミングで上下線の電車が出発していくと、

ホーム上からは人の姿が消え、静寂に包まれる。

 

 

僕がまだショーネンだった頃、

山陽電鉄の特急電車の行き先に、

「阪急六甲」と「阪神大石」行きが存在していた。

何となく、阪急六甲なら六甲山の最寄り駅なんだろうな、

といったことを考えていたが、

それに対してさっぱりイメージが沸かなかったのが阪神大石の方だった。

 

大石とはいったいどんなところなんだろうか、と、

ショーネン時代の僕は一人で大阪の親戚宅を目指す際、

山陽の「阪神大石」行き特急に乗ったことがあった。

 

三宮を出ると車内はガラガラになり、

ガラガラのまま終点の大石に着いて、

ホームに降りて、

「どうしてここが終点なんだろうか」としばし考えて、

結局何も分からぬまま梅田を目指したような気がする。

乗り入れ区間の調整云々という大人の事情など知らなかったころの話である。

 

 

 

そんな訳でこの駅に降り立つのも二度目、ということになる。

ちなみに今も阪神の神戸三宮始発、終着の山陽車はこの駅で折り返しているそうな。

 

 

ショーネンの頃はこの地に何があるのかさっぱり分からなかったが、

チューネンとなった今ならこの地に何があるのか分かる。

大石駅が存在するのは神戸市灘区。

灘といえば言わずとしれた日本有数の酒処。

 

阪神電鉄のサイトには「灘五郷とは」として以下のように記されている。

日本一の酒どころとして知られているエリア。

神戸市の西郷・御影郷・魚崎郷、西宮市の西宮郷今津郷の5つのエリアの総称で、大石駅周辺から今津駅周辺までの間に27の清酒・みりんを製造する蔵元が点在しています。

酒造りに最適の宮水が湧き出るほか、酒造用原材料米の最高峰といわれる
山田錦の産地が近く、全国の約25%の日本酒が製造されています。

阪神電車、灘五郷酒造組合、神戸市、西宮市では、灘五郷を盛り上げる様々な取組みを行っています。

灘五郷について|阪神電車で行く 灘五郷|阪神電気鉄道株式会社

 

大石駅周辺は灘五郷の中でもっとも西寄り、

「西郷」と呼ばれるらしい。

 

 

大石駅から海側を目指し、国道43号線を地下道でくぐる。

さらに都賀川沿いを少し歩くと「沢の鶴資料館」が現れた。

 

 

運営する沢の鶴酒造さんのサイトには以下のように記してある。

江戸時代末期に建造され170年以上の歳月を経てきたと考えられる大石蔵を、酒造りの文化を広め、後世に伝えることを願って資料館として公開したのが「昔の酒蔵」沢の鶴資料館です。創業300年を誇る沢の鶴の貴重な酒造りの道具や灘酒の伝統文化を展示。六甲山や宮水など自然との調和を求める日本酒の奥深さをぜひ肌で感じてください。

沢の鶴資料館 | 沢の鶴コーポレートサイト

 

 

沢の鶴資料館では昔の酒造りの一端を感じることができる。

 

驚いたのはこの歴史を感じる建物が

阪神大震災で倒壊した酒蔵を忠実に復興再建したもの」であることか。

よくぞここまで、と思う。

 

そして、酒蔵見学の楽しみといえば・・・ 試飲(笑)

 

 

原酒と梅酒、2種類を試飲させていただいた。

最近、すっかり酒に弱くなったこともあってか、

案外「くらっ」ときた。

けど、うまかった。

スタッフの方にも親切にしていただき、ただただ感謝。

 

 

沢の鶴資料館からは阪神電鉄新在家駅を目指した。

 

 

この日の昼食は新在家駅近くの大衆食堂で、と考えていたのだけど、

まさかの臨時休業。。。

 

 

そのまま山側へ向かい、JR六甲道駅前にあるビルの一角にある食堂街へ入った。

声掛けのお姉さんの愛想のよさに導かれるように中華料理屋へ。

 

 

ホールのお姉さんだけでなく、

奥の厨房から時折店内の様子をうかがっている調理の男性も、

総じてみんな愛想がいい。

一見の客にはおすすめやセットの組み合わせを丁寧に説明している。

 

僕はラーメンとライス、餃子のセットを注文。

腹も満たされ、ただただいい気分。

ごちそうさまでした。

 

 

食事を終えたらあとは風呂である。

下調べの段階で興味深かったのが、

このあたりには「温泉銭湯」が数件存在し、

いずれも営業時間も長いこと。

 

今回はJR六甲道駅阪神新在家駅の間あたりにある

「灘温泉・六甲道店」にお邪魔した。

入浴料金は兵庫県の銭湯価格の450円、シャンプー、ボディーソープ完備、

営業時間は朝6時から深夜1時まで。

 

 

脱衣場から浴室への扉に「タオルを持って入りましょう、身体を拭いてから出てください」といった内容の注意書きが。

そーなんよなあ、老若問わず案外タオルすら持たずに浴室に入り、

ちゃっちゃっと手で拭って(それすらしない人もいるが)脱衣場に出てゆき、

床をびしょびしょにしても一切気にしないなんて方は、

案外多くの入浴施設でお見受けしたりする。

 

家の風呂でもあんなびしょびしょのまま風呂から上がるのだろうか、

なんてことを考えつつ浴室への扉を開けると、

タオルを持たないびしょびしょの爺さんが、

入れ違いに脱衣場に入ってきた。

「・・・」

 

浴室に入ると手前にジェット系の浴槽があり、

広くて丸い浴槽には黄色みを帯びた湯が満たされている。

奥には「源泉」と書かれた小さな浴槽があり、

隣の槽から炭酸泉が流れ込んでいる。

 

身体を洗ってから源泉を加温しているという丸い浴槽へ。

ここの浴槽もまた、兵庫県の他の銭湯と同じく深い。

ただ、中部地方の銭湯が浅いのか、兵庫県が深いのか、

そのあたりは分からないので、

ぜひ今後は大阪や京都の銭湯も訪ねて比べてみたいところ。

 

ここんところずっと立ち仕事で、

足が常にパンパンに張っていることもあり、

深めの浴槽の圧が心地よい。

 

源泉の方は冷たすぎず、

ちょうとよい「冷たさ加減」(笑)

露天風呂もあるなど施設も充実。

いいお湯でした。またお邪魔します。

 

 

当初の予定では「阪神大石」と「阪急六甲」という。

かつての山陽特急の行き先を結ぶ徘徊、を考えていたのだけど、

阪急沿線はそれはそれで見どころもありそうなので、

またの機会にすることにした。

僕は新在家駅から阪神電車に揺られて帰路についた。

 

 

この日の晩酌はもちろん「沢の鶴」。

最近、家では「ぬか漬け」にはまっており、

きゅうりやらアボカドのぬか漬けをかじりつつ、

「沢の鶴」をちびりとやれば、

ただただ至福の時間が訪れた。

 

さ、次はどこの酒蔵に行こうかな(笑)