大正区には母方の祖母を始めとして多くの親戚が住んでおり、
小学校5年生だったか、6年生だったかの冬休み、
僕は妹と2人で「親戚の家をまわってお年玉をもらってこよう」という、
小学生なら誰もが考えがちな計画をたて、実行した。
計画通り、いや、想像以上のお年玉を得た僕と妹はすっかり満足して、
大正駅から赤穂へと帰路についた。
しかしながら、環状線の電車に乗った瞬間、僕は青ざめた。
お年玉を入れていたカバンがない!
あれ、おばあちゃん家に忘れてきたのか、
いや、さっききっぷ買った時はあったはず。。。。
妹には冷たい視線を向けられるし、みじめというか、何というか。
とりあえず、僕らは弁天町で下車して大正駅に戻った。
改札口で泣きそうになりながらカバンがなかったか問うと、
駅員さんは「きっぷ売り場に忘れてたよ」とカバンを出してきてくれた。
カバンは妹が握りしめて、僕らは赤穂に帰った。
以後、僕は手に持つタイプのカバンは大の苦手で、
現在に至っている(笑)
大阪という地名を耳にして、
最初に思い出す光景というのは人それぞれだろうけど、
僕の場合、
片側3車線ある広い大正通りを、
鶴町四丁目、西船町、地下鉄住之江公園行きのバスが続々と発車していく光景であったりする。
大正橋から鶴町四丁目行きに乗車。
三軒屋、永楽橋筋、千島、、、、
久しぶりに乗っても次のバス停って何となく憶えてるもんだなあ、って思う。
平尾で下車。
腹が減ってたもので、バス停近くで営業していた食堂に入った。
親父さんに朝定食を注文して席につく。
客の大半は男性の1人客で、みなビールを飲みつつ、何かをつまんでいる。
僕も飲みたかったのだけど、健康診断でいろいろ気になる数値が出てて(涙)
さばのみりん干しにたっぷりの白飯、熱々で具だくさんの味噌汁、
きゅうりのお新香はぬか漬け。
いやはや、サイコーの朝飯だ。
ごちそうさまでした。
平尾のまちなかを徘徊。
平尾には祖母と叔父一家が暮らしていた。
祖母が亡くなってからはすっかり足も遠のいていたが、
まちの景色というか並びはわりと記憶と一致していた。
ここのホルモン美味かったなあ、
食べたかったけど昼からかあ、、、
あ、お好み焼き屋さんがなくなってアパートになってる、
とか、いろんなことを思い出しつつ歩く。
商店街の一画に、叔父の店がある。
日曜の朝、周囲の店は営業前なのか、定休日なのか、
わりと静かであったけど、元気にお客さんとやりとりしている叔父の姿があった。
商売の邪魔をするわけにもいかぬし、
長らく顔を見せなかったふらふらしてる甥(僕)がいきなり顔を出すのも心臓に悪そうなので、
遠目に叔父の様子だけ眺めて商店街をあとにした。
大正通を北上、泉尾から西方面へと向かうと甚兵衛渡船場がある。
そのうち7つは大正区に関連しているそうな。
今回はこの渡し船で港区へ向かう。
乗り場には5、6人弱ほど並んでいたが、
全員が自転車を持っている。
僕の後に並んだ方もやはり自転車を持っている。
純粋なる歩行者、というのは僕だけのようだった。
出発時刻の数分前に係員の方が現れて乗船開始。
ほどなく全員乗り込んで、すぐに出発。
乗船時間はものの1分ほどだろうか、
あっという間に対岸の港区福崎に到着。
大正区側は住宅街の印象が強かったが、
港区側は工業地帯のど真ん中、といった感じ。
そして、大正区側は多少の土地勘もあるのだけど、
港区側はさっぱり分からぬもので、
さっぱり方向感覚がつかめない。
ひとまず、地下鉄朝潮橋駅近くにある温泉銭湯を目指して歩く。
港区は弁天町駅の周辺や海遊館あたりしかうろついたことがなかったのだけど、
案外、昭和の下町っぽい雰囲気が色濃く残っているんだなあと思う。
古い建物だけど凝ったデザインだなあ。
道中に2件ほど銭湯を見かけた。
次回はぜひ訪問してみたい。
普段はアーケードの商店街を「狙って」行っているが、
時折思ってもみなかったところに渋い商店街が現れて、
思わず「おお」と声が漏れてしまうことがある。
今回もまた、そうだった。
渋い商店街を抜けてしばし歩くと、
今回の目的の銭湯である「テルメ龍宮」さんが現れた。
普段は15時からの営業であるが、
日曜は朝8時からやっているとのこと。
玄関をくぐるとすぐにフロント式の番台。
本来は2階に休憩室があるようだが、
コロナの関係が現在は閉鎖中。
こちらの銭湯の最大の特徴は「天然温泉」が楽しめることで、
露天風呂が温泉浴槽となっているらしい。
思いの外広く、また、開放的。
いや、たまらんなあ、大阪市内で銭湯価格で温泉が味わえるとは。
洗い場で特徴的なのは本来、1箇所につき湯と水の2つの蛇口があると思われるが、
こちらは水、湯、湯と3つあること。
温度設定でも違うのかと思ったけど、いまいち僕には分からなかった。
そして「あーいい湯だった」と身体を拭いて脱衣場に出ようとした瞬間、
目の前のおっちゃんが脱衣場にある謎の階段を下っていく様子が見えた。
「???」
ついていくと、地下にも立派な浴槽があるのだった。
天井は低く、窓もないため、何とも秘密基地っぽい。
いやはや、この構造はなかなか楽しいぞ。
テルメ龍宮さん、いいお湯でした。
また伺います。
スッキリした気分で地下鉄中央線の高架がある大通りに出た。
しばし悩んで朝潮橋駅を目指したら、バスが走っていることい気づいた。
よし、今回はバスでなんばに向かおうと思ったら、
目の前のバス停になんば行きのバスが現れ、すぐに出発していった。
「・・・」
僕はその後にやってきた大阪駅前行きのバスに乗り、
帰路についた。
おまけ
先日、サイコロきっぷで福井へ里帰り(笑)。
大雪で日程もグダグダになり、
朝から晩まで連れと延々と飲んでただけなので記事にはしませんが、
2月いっぱいまで、福井鉄道やえちぜん鉄道はフリーきっぷを格安で購入できるようです。
ただし、予算が尽きたらそれまで、とのことですので、
福井旅行を計画されている方はお早めにどうぞ。