北陸徘徊人(元)

富山、福井、石川を中心にゆるーい旅を満喫中

淡路市岩屋徘徊

この日は朝から電車に乗って徘徊するつもりであったが、

前日に実家でちょっとした力仕事をしたこともあってか、

全身が筋肉痛というか身体の節々まで痛い。

 

何だかんだで50歳目前なのだ。

若い「つもり」でいても現実はいろいろと厳しい。

 

こりゃ徘徊どころではないなあ、とため息をつき、

とりあえず行きつけのマッサージ店を予約して、

よたよたと家を出た。

 

マッサージ店は明石駅近くの超レトロな雑居ビルの一画にあるのだけど、

ビルの耐震性云々の問題で大半のテナントは移転している。

 

 

このマッサージ店もこの先が気になるところであるが、

腕は確かなもので、他に行ってもお世話になりたいものだ。

そんなこんなでマッサージを終えたのが11時10分だったか。

すっかり調子がいい。

 

 

 

さて、今からどうするべ、姫路方面にでも行くか、神戸方面にするか、

明石駅でしばし思案していたのだけど、

そうだ、せっかくの機会だし船で淡路島に渡ってみるのもいいかも、

なんて気になってきた。

 

時刻表を調べてみると、週末日中の明石発は毎時30分発のみ。

うーむ、11時30分は厳しいか、12時30分まで待つか、やはり他に行くか、、、

と思いつつ、よくよく時刻表を見てみたら、

11時台だけなぜか40分発なのである。

よっしゃ行くべ、と船乗り場へ急いだ。

 


高速船はわずか13分で岩屋港に到着。

橋が架かってかれこれ25年ほどになるが、

対岸の明石や神戸とはまるっきり違った、

島独特の空気みたいなものを感じる。

 

 

対岸とのもっとも明瞭な違いは「言葉」であろう。

港やスーパー、軒先で耳にする地元の方々の言葉が

四国の方言というかイントネーションに近くなる。

 

もともと淡路島は徳島藩であったことを考えれば、

それは当然のことかもしれぬが

その後兵庫県になったのかは、洲本市のサイトに記されている。

 

庚午事変(稲田騒動)

 

淡路島出身のうちの相方も普段は関西弁であるが、

親と電話で話しているのを聴くと一気に四国っぽい喋りになっていたりする。

うまく文章では表現できないけれど。

 

 

ちょうど昼時ということもあってか、

船内でサクッと調べた飲食店はどこも賑わっていた。

そんな矢先、「展望台」の看板を見かけた。

よし、スーパーで弁当でも買って展望台で食べよう。

 

 

そんでもってこの展望台が予想外に山の上であった。

マッサージを終えたばかりなのに一気にぐったりしてくる。

よくよく考えたら普通の人はこうやって一日遊んだ後に、

マッサージなどに行くのかもしれない。

 

 

弁当と一緒にたけのことれんこんの天ぷらを買ったのだけど、

この天ぷらがめちゃくちゃ美味い。

特にたけのこ。

煮込んで下味をつけてるようで、酒のつまみにも最適で、

「うめえ」と思わず声が出た。

 

しばらく、ボーッと過ごしていたけど、

展望台には誰一人現れなかった。

焼酎ハイボールも2本飲み干し、心地よい酔いを感じつつ、

山を下った。

 

 

岩屋のフェリーのりば跡。

明石海峡大橋が開通したのは1993年の4月5日で。

何度か書いてる通り、当時僕は地元で添乗員をやっていた。

 

開通の日から約1カ月間ほど、ほぼ毎日のように仕事といえば淡路島。

行きはたこフェリーで明石から岩屋へ渡り、

淡路島内の観光地をめぐって帰りは明石海峡大橋経由。

そんなもので橋が開通してもしばらくは、

僕にとって淡路島の玄関口といえば岩屋のままだった。

 

 

今でこそ懐かしい思い出話であるけれど、

当時はシフト表見るたびにげんなりしていた、というのが本音か。

無論、淡路島には何の責任もない(笑)

 

 

明石海峡大橋真下にある道の駅まで足を伸ばした。

絶好の行楽日和とあってか観光客でおおいに賑わっていた。

そしてこの橋の下は釣りのスポットなのか、

釣り竿を手にした方も多く見受けられた。

 

いずれにせよ、日常が復活しつつあるのは喜ばしい。

 

 

本日のひとっぷろは岩屋の銭湯、丸吉湯さん。

開湯時間直前にうかがうと、

常連さんらしきおっちゃん3人が玄関の前で談笑していた。

 

 

中に入ると銭湯というよりは旅館に足を踏み入れたような雰囲気で、

とにかくきれいの一言に尽きる。

フロント式の番台には明るい雰囲気の女将さん。

浴室内には深、浅2つの浴槽が並んでいるが、

先客の3人のおっちゃんは狭い方の浅い浴槽に並んで入っている。

 

何となく、港町の銭湯は熱いというイメージがあって、

もしや深い方は恐ろしく熱いのではなかろうか、と、

恐る恐る手を入れてみたらそんなことはない。

 

おっちゃんたちが身体を洗っている間に浅い方も入ってみたけど、

特に温度差は感じない。

単に3人とも浅い風呂が好きだった、ということか。

おっちゃんたちは身体を洗い終わった後も、

やはり浅い浴槽につかっていたが、

のちに1人だけ深い浴槽に移動した。

 

脱衣場に出ると、テレビではプロ野球阪神ーヤクルト戦が流れていた。

ちょうと阪神が1点入れたところだったか。

しばし涼みつつパンツ一枚の姿で眺めていたら、

新たに入ってきたおっちゃんが

阪神どうや」という。

「1点入りました。今年は調子いいですねえ」

と答えたら「そやなあ、ええなあ」と笑う。

 

関西の銭湯では強かろうが弱かろうが、

阪神の試合が空間の一部になってるよなあ、と思う。

 

丸吉湯さん、いいお湯でした。

 

 

帰りの船で飲む酒でも買っていくべ、と、

昼飯を買ったスーパーに再度立ち寄る。

ついでに惣菜コーナーを覗くと

たけのこの天ぷらは最後のひとつだった。

 

きっと僕に買われることを待っていたのだろう。

 

僕はたけのこの天ぷらと酒を片手に明石行きの船に乗り込んだ。