北陸徘徊人(元)

富山、福井、石川を中心にゆるーい旅を満喫中

北陸おでかけパスの旅3 あいの風とやま鉄道でICOCAって

土曜日の朝、7時50分、金沢駅

6番線に停車中の富山行き普通列車の車内に私はいた。

413系という国鉄時代から走っている古い電車、3両編成。

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JRから見放さされ、

IRいしかわ鉄道・あいの風とやま鉄道として

生まれ変わった路線をたどるのに、

もっともふさわしくない車両であるような気がする。

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7時51分、隣の5番線に福井からの普通列車が到着。

さらに7時55分、向かいの7番線に松任からの普通列車が到着。

 

7時57分、富山行きの普通列車金沢駅を出発した。

入線時はガラガラであった車内も、

出発時には立ち客もいる盛況ぶりだ。

しかしながら

次の東金沢で一斉におりてガラガラになった。

 

さて、気になる点をひとつ。

福井から乗ってきたJRの車掌は

「乗り換えのご案内をいたします。IRいしかわ鉄道経由あいの風とやま鉄道富山行きは〜」

などと案内していた。

 

それに対し、

この列車の車掌さんはIRいしかわ鉄道云々と

一言も言わない。

 「次は森本です」「次は津幡です」と淡々としている。

 

倶利伽羅から先は「あいの風とやま鉄道」になるが、

車掌の案内は「次は石動です」としか言わない。

会社が変わることなど微塵も感じさせない。

 

JR側はもう別会社になったことをアピールしているようで、

3セク側は別会社になったことを公にしたくないような、

そんな印象もある。

 

そもそもこの車両も、であるが

乗務員も金沢出発時点から「あいの風とやま鉄道」の方であり、

会社をまたぐからと言って交代などしないようだ。

 

ではIRいしかわ鉄道の運転士や車掌は存在しているのだろうか、

そんな素朴な疑問もわいたりする(笑)

  

しかしながら変わるところは変わる、と

きちっとアピールしておくべきではないか。

それを一層感じるのは富山県に入ってからだ。

 

石動駅のホームには多くの乗客が待っていた。

そして改札口の脇には都会でお馴染みの端末が。

 

何と「あいの風とやま鉄道」はICカード

ICOCAが使えるのだ。

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それもよりによって、ICOCAである。

JRから見捨てられたのにわざわざICOCAを採用する

神経が私にはとうてい理解できない(笑)

 

 

 

もともと、富山は地方にしては交通系ICカードの導入が早かった。

きっかけはLRTの先駆けとも言われる「富山ライトレール」の開業だ。

平成18年の開業時点でICカードpassca」が導入されていた。

その後、富山地方鉄道も電車・バスで使えるICカード「ecomyca」を導入して「passca」と共通で利用できるようになっている。

さらに、「ecomyca」と「passca」は通常運賃より安く乗れることもあり、

市電もバスも地元の利用客はみんな「ピッ」「ピッ」とやっている(笑)

腰が曲がったおばあちゃんも使っているのを見た時は感動的ですらあった。

 

それを考えても、あいの風とやま鉄道が

ICカードを導入するなら「ecomyca」で良かったのでは、と思う。

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高岡市を中心とした呉西地区は別として、

加越能バス万葉線ICカード未採用)

富山市を中心とした呉東地区で

公共交通機関を日常的に使われてる方なら

そこそこ所持しているように思われる。

 

ただ、以上は「あいの風とやま鉄道」がICカードを導入するなら、

という前提にたった話だ。

 

ICカードは小銭を持たずに電車やバスに乗れる便利な存在ではあるが、

会社ごとに別のシステムを採用されても迷惑なだけだ。

 

富山にしろ金沢にしろ、中途半端に導入が早かっただけに

他との相互利用ができないままになっている。

現に私の財布にはSuica北陸鉄道のIca、地鉄のecomycaと

3枚のICカードが入っている。

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本音を言えば「あいの風とやま鉄道」がICカードを導入するのは

「やめとけばよかったのに」と思う。

 

まず、相互直通運転をしている

IRいしかわ鉄道とえちごトキメキ鉄道が

未対応であること、さらにもうひとつ。

 

例えば、だ。

北陸新幹線に乗って首都圏から富山を訪れた客なら、

ほぼSuicaなりPASMOなりをかなりの高確率で所持していると思われる。

 

ならば富山から高山線越中八尾を訪ねようと考えた時、

改札口にICカードの端末があればタッチしてしまうのが

いたって普通の感覚ではなかろうか。

 

ところが、だ。

このICカードJR西日本の路線で残った

氷見線城端線高山線は対応していない。

 

JRのシステムを採用しているのに

JRが使えないなんてこんな「けったい」な光景、

他にあるンだろうか?

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当然、越中八尾駅では何らかのトラブルが発生すると思われる。

まだこういった有人駅なら何とでもなるかもしれないが、

ワンマン列車で、無人駅で、となれば

JRの運転士にしても迷惑な話ではないか。

  

私がJRの運転士なら

「余計なことしやがって」と思うであろう。

 

乗客にしても

富山を訪れて10の楽しいデキゴトがあったとしても、

ICカードでトラブルが1つでも発生すれば

悪い印象しか残らないものではないか。

 

どうして自分たちがやろうとしているサービスが、

利用客に混乱を招くことに気づかないのだろう。

 

やはり乗客の視点が欠けているとしか言いようがない。

運輸系事業者によく見られる「便利」の押し売りだ。

 

私は暗澹たる気持ちになっていた。

 

8時36分、高岡に到着。

ホームは大勢の乗客が列をなして列車を待っており、

静かだった車内が一気に賑やかになる。

 

私が座っていた4人掛けのボックスシートも、

スーツ姿の若い女性たちに囲まれた。

どうやら新人研修に行くらしい。

ジャージ姿の男子高校生の姿も多い。

何か大会でもあるのだろうか。

 

8時38分、高岡を出発。

相変わらず車掌は

「あいの風とやま鉄道をご利用いただきありがとうございます」

とは言わない。

 

「次は越中大門です」

と、相変わらず淡々としている。

 

8時45分、小杉。

この駅のホームにも大勢の乗客が待っていた。

車内はぎゅうぎゅうである。

 

時刻表を見ると、

この列車の15分前に高岡発泊行きが先行している。

ところが

この列車の次は9時35分発まで間があく。

 

混雑して当然、であろう。

ただ、この列車、

まだ国鉄型の3両編成なだけマシな部類かもしれない。

 

JRからあいの風とやま鉄道に移管されて

初の平日となった3月16日の朝の通学時間帯、

それまで似たような時間に運転されていたのは4両編成であったのに、

やって来たのは2両編成で各駅で乗れない客が続出した、

なんて笑えないニュースも流れていた。

 

北日本新聞(富山の地元紙)では

4月17日の記事にも通勤・通学時における混雑がとりあげられており、

当地ではかなり深刻な問題となっているようだ。

 

ま、このことは北陸地区に521系が投入されてから、

福井でも石川でも問題とされていた点である。

基本3両が2両になれば混んで当然だ。

 

福井の小浜線なんて電化した時、

1両編成の電車が走りだし、

やはり大騒動となっていた。

 

ま、

小学生でも分かることを鉄道会社は平気でやる。

客の利便性など「どうでもいい」に違いない。

 

もうひとつ、素朴な疑問。

これまで普通列車以上に本数が多かった(数えた訳ではない)

特急列車がなくなり、自由 にダイヤが組めるようになった筈だ。

それなのにどうしてパターンダイヤを採用しないのか。

 

日中の高岡発富山方面など、

11時45分、泊行き

12時23分、泊行き

12時46分、泊行き

13時24分、富山行き

13時41分、富山行き

14時24分、黒部行きとなっている。

何の整合性も見られないダイヤといえないか。

 

11時45分、泊行き

12時15分、富山行き

12時45分、泊行き

13時15分、富山行き

この方が利用客もよっぽどわかりやすいと思うのだが。

 

ま、貨物列車が走ってるとか、

JR線の接続、限られた車両数でのやりくり、

素人では思いつかないような裏の世界があるのだろう。

 

それでも一度この鉄道でダイヤを組む担当者は、

伊予鉄遠州鉄道といった他の地方鉄道でも

見てきたらどうかと思う。

 

単線にも関わらず、見事に美しいダイヤである。

実際に乗りに行くと、

いつも「ほれぼれ」する。

いちいち時刻を調べなくても電車に乗れるって、

本当に素敵なことであるのだが。 

 

列車は神通川を渡る。

まもなく、終点の富山。

 

ようやく車掌は「あいの風とやま鉄道をご利用いただきありがとうございました」とアナウンスした。 

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