北陸徘徊人(元)

富山、福井、石川を中心にゆるーい旅を満喫中

乗車券は福井発福井ゆき〜福井駅での葛藤〜

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この週末、

相方と愛知県の岡崎へ行くことになった。

目的は友人夫妻に会うことだ。

 

福井から岡崎に行くとなれば、

普通に考えればJRの利用が一般的であると思われる。

北陸線米原へ出た後は、

新幹線でも東海道本線でもいい。

 

仮に名古屋まで特急「しらさぎ」の普通車指定席を利用しても

片道6350円、往復で1万2700円。

 

ただ名古屋だと「名古屋往復割引きっぷ」なるものがあり、

米原〜名古屋の新幹線も利用可で9870円。

岡崎までのJR往復運賃が1240円であるから、

1万1110円で往復できる計算になる。

 

名古屋まで高速バスを利用するのもいい。

福井〜名古屋の高速バスは片道3000円だが

往復だと5140円になる。

JRの往復運賃を足しても6380円と格安だ。

 

無論、青春18きっぷも使える。

 

ただ福井〜岡崎の往復、

これだと何とも面白くない。

せっかくだから北陸新幹線を含めることができないか。

 

私が最初に考えたのは高山線経由だ。

金沢〜富山を北陸新幹線に乗車して、

富山駅に乗り入れる唯一の在来線特急となった

ワイドビューひだ」で名古屋へ向かう。

 

飛騨川などの車窓も魅力的である。

岐阜まわりの一周乗車券にして、

岐阜〜岡崎を別途購入。

 

もうひとつ、長野経由も考えた。

北陸新幹線の新規開通区間を利用し、

中央線経由で名古屋へ向かう。

姨捨木曽川の車窓も魅力的である。

 

久しぶりに「振り子電車」の乗り心地も味わいたいし、

これなら善光寺のお詣りも出来る。

今まで近くて遠かった北陸と信州の時間短縮を

もっとも味わうことが出来るとも言える。

 

しかし、共に相方に却下された。

「だいたい何で名古屋行くのにそんなとこまで行くのよ」

まっとうな意見である。

まして相方は電車に乗ると5分で寝るという特技を持っている。

 

ただ、

北陸新幹線に乗りたいと最初に言い出したのは相方である。

私もああだこうだ言いつつも実は乗りたい。

乗りたくて乗りたくて仕方ない。

こうして無理やりでも行程に組み込まない限り、

福井県民にとって北陸新幹線は無縁な存在なのだ。

 

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「でも、最初から最後までなら乗ってみたいよね」

ネットで北陸新幹線の特設サイトを見ていた相方がポツリと言った。

富山や長野までなら不満だが、

東京までなら乗ると言うことか。

 

私は相方の「まさか」の一言に小躍りしたくなった。

 

友人夫妻に会うのは夜であり、

当日は朝からあいている。

東京経由で岡崎か、

それはそれで面白いかもしれない。

 

乗車券もきれいな一周になる。

まして珍しく相方が乗り気である。

 

 

 

私は早速計算してみた。

福井〜金沢〜東京〜米原〜福井の

乗車券は1万2960円。

福井〜金沢の指定席特急料金は乗継割引適用で850円、

金沢〜東京の指定席特急料金は6780円、

東京〜豊橋の指定席特急料金は3860円、

翌日は普通列車で福井まで戻れば合計2万4450円となる。

 

高いといえば高いが新旧新幹線の乗り比べも出来る。

 

すると相方は「このグランクラスって良さそうね」などと

恐怖の一言を述べた。

私は恐る恐る時刻表を開いた。

片道9000円程度の上積みかと思っていたら

何と1万3730円もする。

 

2万4450円から指定席分の520円を引いて足せば

1人あたり3万7660円と算出された。

 

ありえない(笑)

これだけの金額があればいまどき海外だって行ける。

 

そもそも東京に用事はない。

私は田舎者なので東京などと聞いただけで

少し構えてしまうところがある。

長野と違い、

特に行きたい場所がある訳でもない。 

 

ただ、

グランクラスは当然乗りたい。

乗りたいに決まっている。憧れの存在だ。

1編成にわずか18席。

専任アテンダントがつき、軽食も出る。

 

アルコールも飲み放題、らしい。

 

そこで私は見方を変えることにした。

 

「今乗らねばいつ乗る!」だ。

 

だいたいJRは食に対するサービスを切り捨ててきた。

以前の新幹線にはビュッフェもあったし食堂車もあった。

カフェテリアなんてのもあった記憶がある。

 

それが今となっては在来線特急の車内販売すら

風前の灯となりつつある。

 

ついでに書けば、

私は先日サンダーバードに乗ったが

こんな車内放送が流れた。

 

「当列車には車内販売はございません。なお、自販機も故障中でございます。あらかじめご承知ください」

 

乗る前に言え!てな具合である(笑)

 

民間企業である以上、

不採算部門をどんどん切り捨てていくのは仕方ない。

しかし、いかに早く、いかに大量に運ぶか、

そんなことを追求してきた結果、

JRという会社は旅の楽しみを奪ってきた。

 

そう、

このアテンダントによるサービスも

いつまで続けるか分からない。

新幹線の乗車率が芳しくなかった時など、

真っ先に切り捨てられるような気がする。

 

そうなればグリーン車よりちょっと豪華な

ただの椅子に成り下がる可能性もある。

永遠に続く保証は何処にもない。

こう考えれば1万3000円の追加投資も価値があるのではないか。

 

ただ、せっかく乗るなら2時間半で着く「かがやき」より

3時間かかる「はくたか」に乗りたい。

せっかく高い料金を払うのだ。1分でも長く乗りたい。

でも金沢〜東京2時間半も体感したい。。。

私は再び悩んだ。

 

そして、相方にこう告げた。

「せっかく乗るなら『はくたか』のグランクラスでゆっくり行こう、これが満席なら『かがやき』の指定席にしよう」

相方も納得してくれた。

 

先日、私と相方は福井駅にいた。

実際に行くのは先だが一応きっぷを買いにきたのだ。

 

この場に及んでも私はやはりケチな人間であった。

 

普段から飲んでもタクシーなど使わない。

2時間くらいなら「歩く」

そんな思考回路の人間である。

 

乗りたいがグランクラスはきっと満席だろう、

いや、満席であって欲しい、

実はそう願っていた。

 

「4席あいてます」

窓口の女性は言った。

「やった」と相方が喜ぶ。

 

支払いは2人分で7万5320円。

 

カードを出そうとして一瞬ためらった。

目的地は愛知県の岡崎だ。

バスを使えば2人でも1万5000円でお釣りが来る。

自分がとんでもなく馬鹿なことをしている、

そんな気がしてきた。

 

「しばらくもやしで生活だな」私は言った。

「もやしも買えないね」相方は笑った。