北陸徘徊人(元)

富山、福井、石川を中心にゆるーい旅を満喫中

JR西日本バス若江線・新道口〜熊川宿右往左往〜

福井県の小浜と滋賀県近江今津を結ぶ

JR西日本バス若江線・新道口バス停に降り立つ。

目と鼻の先に「熊川宿」の看板が立っている。

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脇を通る国道303号線は何度となく行き来しているし、

「熊川宿」の存在も知ってはいたが

一度も足を踏み入れたことのない場所のひとつだ。

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ちょいとぶらついてビールでも飲むべと

上中駅からバスに揺られてやってきた。

 

鯖街道の由来

古代、若狭は朝廷に食料を献上する御食国(みけつくに)のひとつでした。 若狭の海で水揚げされた魚介類が京都へ運ばれ、 中でも「鯖」が主流を占めていたことから、「鯖街道」と呼ばれるようになりました。 若狭から運ばれた鯖が京の都に着く頃には、ちょうど良い塩加減になったと言われ、 京都のお祭りに欠かせないものとなっており、京都の食文化の中に今も若狭の魚が生きています。

 

熊川宿の歴史

豊臣秀吉に重用され若狭の領主となった浅野長政は、 天正17年(1589)に熊川が交通と軍事において重要な場所であることから、 諸役免除して宿場町としました。 熊川は江戸時代を通じて大いに繁盛し、 最盛期には1日に約1000頭もの牛馬が行き交ったといわれています。

(以上、熊川宿観光組合のパンフレットより転載)

熊川宿に足を踏み入れる。

並行する国道303号線は若狭と近江を結ぶメインルートであり、

行き交う車もかなり多いが、

こちらは至って静かというよりは閑散としている。

 

ただ、寂しいといった感じは受けない。

何でだろ、と考えたら用水路の存在が大きいように思う。

涼し気な水の音が、

古い町並みに絶妙なアクセントを与えているような気がした。

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とある建物を眺めていたら、

中からおばちゃんが「入っといで」と声を掛けてくれた。

画廊として使用されているこの建物は元交番であったとのこと。

おばちゃんがひとつひとつの作品を丁寧に説明してくれる。

「いっぱい写真撮って宣伝してなー」

おばちゃんは笑った。

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神社がある。

松木庄左衛門なる義民が祀られているという。

さきほどおばちゃんにもらったパンフレットによると、

松木庄左衛門は熊川の隣村、新道の庄屋であり、

小浜藩の年貢の増微び対し若狭一円の農民を救うために立ち上がった、 とある。

嘆願十数回その意思を曲げず、入牢され一人になっても願い続け、

慶安5年に日笠河原で磔刑に処せられ悲願を達成、

28歳の若さであったとのこと。

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ゆるい坂道を上がっていくと苔が美しい。

秋に来れば見事な紅葉が楽しめそうだ。

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小さいおっさんは熊川宿をぶらぶら歩く。

にわかに観光客が増えてきた。

中ノ町と呼ばれる一画が宿の中心のようで、

商店や素朴な土産物を売っている店も多い。

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宮沢賢治の童話に出てきそうな、

何ともノスタルジーな建物があったので入ってみた。

若狭鯖街道資料館、とある。

入館料は200円。

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同時に年配の夫婦が入ってきたが、

旦那さんの方が「200円かかるならいいや」と出て行った。

奥さんは「アホ」と言った後に

ハッとしたように僕を見て、

恥ずかしそうに出て行った。

 

受付のおばちゃんが出てきて

ポインタを片手に色々と説明してくれる。

それが仕事だからと言えばそこまでだが、

このおばちゃん、めちゃくちゃ博学である。

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後で受付を覗けばぶっとい本を開き、

パソコンに淡々と何かを打ち込んでいる様子が見えた。

おばちゃんと書いたが年齢的にはおばあちゃんと察する。

このおばあちゃんの話を聞くだけで200円の価値は充分にあると思う。

さっきの夫婦も入ればよかったのに(笑)

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上ノ町を過ぎると道の駅に出た。

ぼちぼち腹が減ってきたし、何か食べようと思う。

けど道の駅でってのも何だなーと

道路の反対側を見たらカフェがある。

 

その名も「SABA CAFE」

鯖とカフェの組み合わせも面白いと思って近づいてみたら

「Close」の札が掛かっていた。

「・・・」

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中ノ町に蕎麦屋があった筈、

そう思ってぶらぶら引き返したら見当たらない。

あれ、どこだったっけ?

端まで行って再び引き返すと

「本日の営業は終了しました」とある。

「・・・」

 

時計を見ると15時20分を過ぎた所。

 

2軒続けて「閉店」だと空腹度は何故か倍増する。

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仕方ないので道の駅に戻ることにした。

うーむ、予想外に歩いているような気がするぞ、、、

道の駅に再度到着。

この時点で熊川宿の端から端まで1・5往復。

 

ここのレストランがレジで先に注文する方式であったのだが、

メニューにアルコールの類は見当たらない。

「あの、ビールとかないンですか?」 と訊いたら

「ここには置いてないンですよー」

とテンション高めの男性店員は言った。

 

空腹には勝てなかったので「浜焼き鯖定食」を注文。

食べ終えてから隣の売店を覗いてみたが、

ここにもビールは置いてなかった。

「・・・」

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僕は再びバスに揺られて上中駅まで行き、

コンビニでビールを買った。

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