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北陸徘徊人

福井・石川・富山を中心にゆるーい旅を満喫中

えちぜん鉄道が新幹線高架を走る日

夜勤明けに若狭を出て福井に向かう。

距離にして約100キロ、国道を走れば2時間半。

この時間なら11時には福井に着く。

帰宅したところで相方は仕事でいない訳で、

「ムフフ、今日は昼間っから極楽湯に行って串かつでもつまみながらビールだ」

と、一人ニヤニヤしながらクルマを走らす。

 

福井の極楽湯はえちぜん鉄道の越前開発駅からほど近い場所にある。

ちょうどこの2日前、えちぜん鉄道福井駅周辺が新幹線高架に仮移動しており、

福井ではちょっとしたニュースになっていた。

えちぜん鉄道は27日、福井県福井市中心部で北陸新幹線福井駅部を利用した仮線での運行を始めた。福 井駅から0・8キロ区間は新幹線高架上を走り、区間内の踏切2カ所が同日撤去された。線路切り替えに伴い、福井、新福井、福井口の各駅は移設。長年親しま れた現駅舎は26日で役目を終えた。

 踏切は宝永踏切(東口都心環状線)と日之出踏切(さくら通り)がなくなり、東西の行き来がズムーズになる。

 一方、福井口西別院駅間には新駅「まつもと町屋」が開業。線路切り替えと新駅開業に伴い、ダイヤが最大5分変更された。

 仮線運行は2018年秋ごろまでの予定で、その間に現在の線路を高架化する。高架化事業は仮線運行の費用も含めて約174億円。3年間にわたり、新幹線高架にローカル鉄道が乗り入れるという全国的にも極めて珍しい光景が見られることになる。

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福井新聞9月27日付記事

せっかくなんで装いを新たにした「えち鉄」の様子もみてこよう。

 

ついこないだまで「暑い、暑い」とへばっていたのに、

福井の街にはすっかり秋の風が吹いていた。

日なたなら暖かいが日陰に入った途端に「寒い」と感じる。

アオッサの角を曲がれば、

長年に渡り放置されていた新幹線高架の上に、

えちぜん鉄道の電車が留置されているのが見えた。

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改めてえちぜん鉄道福井駅を見上げる。

そして先日まで使われていた駅舎を見て「?」となり、wikiで調べてみた。

気になったのは先日まで使われていた駅も「仮駅」でなかったのか、

と、いうことであった。

 

wikiによると福井駅周辺連続立体交差事業により

平成9年から仮線で供用開始とある。

さらに平成9年といえばえちぜん鉄道の前身である「京福電鉄」時代のことだ。

えちぜん鉄道になったのは平成15年。

要するにえちぜん鉄道福井駅は開業以来ずっと「仮駅」のままということか(笑)

 

「仮駅」と呼ぶにはあまりにも立派過ぎる駅舎に足を踏み入れる。

えちぜん鉄道にはいわゆる「自動券売機」は存在せず、

有人駅では乗車券の対面販売が行われている。

新・仮駅でもその伝統?は守られており、

きっぷ売り場の窓口が2つ設けられていた。

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隣にいた爺ちゃんが

「いやー立派な駅になって」と言えば

窓口の女性も誇らしげな笑顔を見せている。

越前開発までの乗車券、150円を購入。

 

改札口を抜けると待合室が設けられていた。

ベンチは木製でまさに「木の香り」がする。

ホームまでは階段が一直線に伸びている。

こりゃお年寄りは大変だな、なんて思ったが、

驚くべきことにしっかり「エレベーター」まで設置されていた。

 

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これは本当に3年間だけの「仮駅」なのだろうか。

 

ホームに上がると勝山行きの電車がとまっていた。

同じ高さにJRの福井駅も並んでいるのだが、

あちらが巨大な屋根と壁に覆われているのに対し、

この仮駅は随分と見晴らしがいい。

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つい数日前まで電車が走っていたかつてのホームも見える。

すでに解体工事も始まっているようで、

大勢の作業員の方の姿が見受けられた。

数年後にはその場所に高架橋が建設され、

ようやくえちぜん鉄道福井駅は「本駅(?笑)」となる訳だ。

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1両編成の電車は席が適度に埋まる程度の乗車率で福井駅を出発した。

運転席の後ろで前面展望を楽しむ。

複線のJR高架の隣に伸びる複線高架。

長らく放置されていた高架橋に仮とはいえ鉄道が走っているのだ。

素直に嬉しく思う。

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長年放置された高架橋で思い出したことがある。

それは高知県のごめんなはり線のことだ。

母親が高知の室戸の出身なもので、

帰省する度に「阿佐線」の立派な高架橋を眺めていた。

 

「おんちゃん、あれ線路やろ、いつできるん」

後免駅まで迎えに来てくれた叔父に、小学生の僕が聞くと

「おまえが生まれた頃までは安芸まで電車が走っとったンやけんどなー」

ハンドルを握りながら叔父は言った。

「お客さんおらんでなくなったのに、また線路作ってもなあ」

叔父の困った顔は何となくだけど記憶にある。

 

年上の従兄弟曰く「あれは土佐の万里の長城って言われとる」とのことだった。

言われてみれば納得の光景だった。

高校生の頃まで年に1、2回は室戸に帰っていたが、

一向に工事が進む様子はなかった。

 

そのうち僕は社会人になって、長らく室戸に行くこともなくなった。

それが平成14年に土佐くろしお鉄道として開業した。

小学生だった僕も20代後半になっていた。

 

「土佐の万里の長城」に列車が走るのだ。

いてもたってもいられず、僕は早速室戸に向かうことにした。

高架橋から眺める土佐湾はいつもにまして青く、美しかった。

奈半利駅まで迎えに来てくれた叔父は

「後免と違うて奈半利やったら迎えもラクや」と笑っていた。

 

その時の感動と今のえち鉄の仮線を比べるのもどうかと思うが(笑)

長らく放置されていた高架橋が有効活用されることは

何はともあれ喜ばしい。

 

それにしても、だ。

これに新幹線ができれば複線高架が3本並ぶということか。

とても福井とは思えぬ光景が広がりそうな気がする。

ほどなくして新福井。

2面2線の相対式ホームが設けられている。

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ここで線路は単線となり長いスロープで地上に降りる。

通常の高架化ならここで旧線と合流するのであろうが

降りたところに福井口駅が移設開業している。

福井口駅は勝山方面と三国方面への分岐駅であり、

車両基地もあるえちぜん鉄道の中枢駅だ。

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以前は3面5線もある立派な駅であったが、

このたび1面2線のシンプルな構造になった。

かつての駅は松本通りを挟んだ反対側に位置している。

福井口駅を出た電車は右に大きくカーブする。

ここで再び「?」となった。

この先、越前開発まで複線であった線路の片側が途切れている。

つまりは棒線化したということか。

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電車は越前開発駅に到着した。

初めて下車したが、恐ろしく狭い島式ホームだ。

「両側に電車が停車すれば息苦しいだろうな」

なんてことも考えたがこの駅も棒線化されているようで、

そのような光景は見ることがなさそうだ。

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駅からぶらぶら歩いて極楽湯へ向かう。

もう僕の頭の中はビール一色であった。

「今日は電車だとことん飲める♪」

うーむ、アカスリもやっちゃおうかな♪♪

ちなみにこの日は朝から何も食べていなかった。

 

徒歩数分で極楽湯に到着。

僕は玄関前で立ち尽くす。

 

極楽湯は「この日に限って」臨時休館であった。

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