北陸徘徊人(元)

富山、福井、石川を中心にゆるーい旅を満喫中

大野・勝山気になってた所めぐり 〜黒谷雪崩防御擁壁・六呂師高原温泉・大矢谷白山神社〜

大野の山中に巨大な壁がある、

そんな話を聞いたのはいつだったのだろう。

 

ネットで調べてみると

テレビ朝日ナニコレ珍百景

進撃の巨人の壁みたいなものがある」

と、紹介されたらしい。

shingekikyojin.net

 

だがケーブル未加入の我が家では

テレビ朝日ナニコレ珍百景」の視聴はできない。

進撃の巨人」も聞いたことはあるが、

どんな物語なのかも知らない。

 

その存在を知る「きっかけ」があったはずだが、

何の心当たりもない。

だが無性に気になる存在であった。

 

先日のこと。

僕はこの巨大壁を見に行こうと決意した。

日頃の運動不足解消を兼ねて自転車で。

大野周辺には他にも気になる所がある。

 

僕には相方が「壁」に興味を示すと思えなかったので

「ちょいと出かけてくる」と言ったら

「自分も行く」などと言い出した。

 「・・・」

 

例えば相方と2人でクルマで出かけて、

ダムなんかを見かけると僕はついつい立ち寄ってしまう。

そして「よくぞこんなところに作ったな」と上から眺め、

さらに下から見上げたりしてコーフンしてたりする。

 

で、その間、たいがい相方は暇そうなのである。

最近だとクルマから出てこなくなった。

 

興味がないものに興味をもて、

なんて言っても無駄である。

だが「行く」というのに断ればややこしいことになる。

結局「ついでに風呂でも行くか」とクルマで出掛けることになった。

 

越前大野城を左手に見ながら国道158号線を進み、

ショッピングセンター「ヴィオ」の先で右折。

下黒谷の集落に入って、

はて、何処だと山側を見上げたら壁面の一画が見えた。

DSC09899.jpg

DSC09900.jpg

壁に近づく。

正式名称は「雪崩防御擁壁」。

看板に以下のような記述がある。

 

雪崩防護擁壁 羅漢像レリーフ

昭和二年(一九二七)、この場所において三戸の家が流出し、多数の死者を出した表層雪崩が発生。また、昭和五六年(一九八一)にも表層雪崩が発生しました。

再び飛散な死亡事故や家屋流出等が無いよう、永遠の無事故と安全を願う地域住民全員の想いを表すため、区民の要望により雪崩防護擁壁面に家長の面影に似せた壁画を制作しました。

壁画制作にあたっては、当時の黒谷観音住職で日本画家の徳岡政暁画伯に協力を依頼。観世音菩薩門(観音経)から経文を抜粋し、羅漢像が完成しました。

施工期間 平成四年から平成八年

高さ 十五・五メートル(基礎含む)

長さ 三〇〇メートル

 

ナニコレ珍百景」で紹介された、ということは

珍スポットとして認識されてしまうのかもしれないが、

この防護擁壁の建設に至るには悲惨な過去があったのだ。

 DSC09901.jpg

黒谷の防護擁壁は凛とした佇まいで、

小さな集落を守り続けていた。

 DSC09909.jpg

そして僕が行ったり来たりしていると、

相方は「寒いし早くお風呂に行こう」と言った。

 DSC09916.jpg

温泉を目指す前にもう一箇所寄りたいところがあった。

六呂師高原にある巨石群である。

「大野のエアーズロック」などと称しているネット記事もあった。

福井県 「六呂師高原」 エアーズロック – 北陸物語

 

記事の写真を見ると

確かにエアーズロックに見えなくもないが、

残念ながら僕は本家に行ったことがない。

 

巨石は突然現れた。

ただ、正直に言えば「意識していた」から見つけたが、

意識していなければ見落としていたような気もする。

 DSC09926.jpg

クルマを降りて近づく。

田んぼの中に「巨石」がある、というのはある意味異様な光景である。

相方もついてきてはいたが「早くお風呂に行こう」と言った。

 DSC09931.jpg

温泉は「六呂師高原ピクニックガーデン」へ向かうことにした。

ここも以前から気になる存在であった。

と、いうのも我が家の近所にこんな看板が掲げてある。

 IMG_0459.jpg

いったい何時から掲げてあるものなのかは不明であるが、

「驚異の温泉水 / 糖尿病・胃腸病・神経痛に卓効!」なんて表記に

妙に惹かれるものがあった。

幸いにも糖尿病・胃腸病・神経痛とは今のところ無縁であるが、

近々縁があるかもしれぬ。

 

それに高原で温泉という響きもいい。

僕は勝手に志賀高原にあるような温泉宿を思い描いていた。

 

しかしながらこの温泉、

福井の日帰り温泉を紹介するサイトなどを見ても

詳細な記事がほぼ見当たらない謎の温泉であった。

 

クルマは牧歌的な光景の中を駆け上がり、

看板に従って駐車場へ。

 

はて、温泉は何処だと思ったら

目の前のペンションみたいな建物に

「六呂師高原温泉」とある。

相方は「え、ここなん?」と言った。

DSC09934.jpg 

入浴料は一人520円。

脱衣所には「つるつる美肌の湯」「絶対湯冷めしない」などなど、

様々な文句が貼り付けてある。

 

男湯には先客が2人。

オジサンがせっせとペットボトルに湯を詰めている。

わざわざこんな山上まで来て持ち帰るくらいだから、

「糖尿病・胃腸病・神経痛に卓効!」なのであろう。

 

ただ、オジサンは素っ裸であった。

素っ裸のオジサンが湯を詰めるというのは

摩訶不思議な光景でもある。

 

浴室内にも「効能抜群な霊泉」など様々な張り紙がしてあった。

その文面を追いながら、なぜだか分からぬが、

探偵ナイトスクープの小枝探偵が「パラダイスやー」と現れそうな気がした。

 

細道を下って勝山へ。

下った先に大矢谷白山神社がある。

ここも以前から気になる存在であった。

 

勝山市観光協会の「隠れた名所スポット」によると、

次のように紹介されている。

 

平泉寺大矢谷白山神社の巨大岩塊

20mをこえる圧倒されるような巨大な岩塊です。泰澄大師が宿泊したという岩窟という伝承があります。

http://www.net-katsuyama.jp/docs/spot/place.php

 

クルマを降りた瞬間にぽつりぽつりと雨が降り始めた。

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境内に足を踏み入れた瞬間に、

底知れぬ大地のパワーを感じる。

そしてその光景を見た瞬間、思わず立ち尽くした。

DSC03883.jpg 

巨大な岩塊が拝殿を押しつぶしそうになっている。

一見するともともと拝殿があった場所に岩塊が転がってきて、

寸前で止まったようにも見えるが、

この岩塊が転がってきたのは3万年も前とのことだ。

よくぞこんなところに建てたものだと見入ってしまう。

 DSC03884.jpg

そのうち雨が強くなり始めた。

夢中になって写真を撮っていたら、相方の姿はない。

 

「せっかく勝山に来たしさ、大仏さんも見ていこう」

運転席に乗り込んだ僕は言った。

「寒くなってきたしこたつ布団買いにいかないと」

助手席の相方は言った。

 

今度は一人で来ようと思った。

 

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